2015年5月22日

『投資は「きれいごと」で成功する』新井和宏・著 vol.3958

【国内投信No.1「鎌倉投信」創業者初の著書】
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4478064857

スタンフォード大学ビジネススクールを見学してわかったことは、向こうの起業家は、お金儲けではなく、「社会の問題を解決するために起業する」ということ。

日本でも、そういう意識の起業家が増えてきていて、大変微笑ましいことですが、まさかそれが金融にも当てはまるとは思いませんでした。

本日ご紹介する一冊は、社会性と経済性を追求し、国内投資信託No.1を獲得した「鎌倉投信」創業者、新井和宏氏初の著書。(「R&Iファンド大賞2013」投資信託・国内株式部門にて最優秀ファンド賞を受賞)

「ガイアの夜明け」「プロフェッショナル 仕事の流儀」などで話題の著者ですが、じつはこの著者、かつてバークレイズ・グローバル・インベスターズで数兆円を運用し、破格の報酬を得ていたにもかかわらず、退職し、この鎌倉投信を立ち上げています。

本書では、その鎌倉投信が追求する投資のカタチを紹介。新しい時代の、新しい基準に基づいた投資法を紹介しています。

投資でもビジネスでも、他者を出し抜こうと思ったら、何か他者とは違う「基準」が必要ですが、著者は、そこに「社会性」という基準を用いています。

この「社会性」に「経済性」をプラスして導いたのが、本書でも示されている、「いい会社」の14の特徴。

具体的には、以下の要素です。

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◆「いい会社」の14の特徴
雇 人材の多様性
感 感動サービス
場 現場主義
創 市場創造
縁 地域を大切に
技 技術力
貫 オンリーワン
志 経営理念
W グローバルニッチ
炎 モチベーション
直 製販一貫体制
愛 社員を大切に
革 変化し続ける力
循 循環型社会創造

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本書には、ほかにも、鎌倉投信独自の方針が書かれており、競争という視点から見て、興味深い内容がいくつも散見されます。

・投資信託は「結い2101」のみ
・投機目的ではない投資家に直接販売する
・リターンの期待値(報酬控除前)を(短期金利プラス)5%に設定
・販売手数料は取らず、信託報酬だけ純資産額の1%(消費税別)
・1社あたりの比率を、純資産総額の1・7%に
・投資先の発行済み株式のうち、「結い2101」が持つ比率を5%未満に

なかでも、<信頼があるから「逆張り」ができる>と書かれた部分のたとえは的確で、こんな感覚で投資できたら理想的だと思います。

<もし欲しい洋服が明日半額セールになることがわかったら、あなたはいつ、その洋服を買いますか? おそらく相当な事情がある人以外は、明日まで待つでしょう。なぜなら、同じものを半額で買えるわけですから。でも投資の場合、そうはいきません。同じ会社の株であっても、半値まで下がってしまうと、「この会社はヤバイんじゃないか」と思ってしまう(中略)「資産の形成」のためには、下がっているときに買い、上がっているときに売るのが最も儲かるのです。このために必要なのは、「信頼」です>

読んでいてじつに清々しく、やっぱり投資っていいな、と思わされる内容でした。

品薄が続いているようですが、ぜひ入手して読んでみてください。

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『投資は「きれいごと」で成功する』新井和宏・著 ダイヤモンド社
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4478064857

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◆目次◆

はじめに
第1章 「きれいごと」で成功した非常識すぎる「8つの投資法則」
第2章 「投資は科学」から「投資はまごころ」へ
    ──「リターン」を再定義する
第3章 「経営効率の悪い小型株」で、「リスク」はチャンスに変わる
    ──「リスク」を再定義する
第4章 「安く買って高く売る」に必要なのは金融工学ではなく「信頼」
    ──「投資」を再定義する
第5章 「格付け」よりも大切な「8つの会社の見方」
    ──「経済指標」を再定義する
第6章 企業価値は、過去の成功ではなく「ずるい仕組み」を持っているかどうかで判断する
    ──「ビジネス」を再定義する
第7章 金融機関の役割は、お金に眠る「つなぐ力」で社会を動かすこと
    ──「金融」を再定義する
おわりに

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