2014年11月25日

『ユニクロ対ZARA』齊藤孝浩・著 vol.3780

【ユニクロ、ZARA強さの秘密とは?】
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4532319617

本日の一冊は、アパレル世界1位のZARA(インディテックス)と、同じく4位のユニクロ(ファーストリテイリング)を徹底比較した一冊。

著者の齊藤孝浩氏は、総合商社、欧州ブランド日本法人、アパレル専門チェーンを経て、ファッション流通コンサルタントとなった人物。

本書執筆のため、関係者に独自インタビューを行ったそうで、ZARAに関しては、本拠があるスペインのガリシア州ア・コルーニャおよび本社の取材を行ったそうです。

ZARAとユニクロは、同じファストファッションではありますが、本書を読む限り、まったく違う戦略でこのアパレルビジネスに挑んでいることがわかります。

1年で52週、毎週欠かさずチラシを折り込むユニクロに対し、0.3%の低水準と目される低広告宣伝費のZARA。

大国ドミナント出店戦略を採るユニクロに対し、グローバル分散出店戦略を採るZARA。

欠品を避けるユニクロに対し、個々の商品の販売期間がわずか4週間というZARA…。

この両者のやり方の違いが、今後どう勝敗を分けるか、注目したいところです。

製造、販売、広告宣伝の参考に、また戦略の生きた事例として、ぜひ読んでおきたい一冊です。

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▼ 本日の赤ペンチェック ▼
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ユニクロのように1年で52週、毎週欠かさずチラシを折り込むファッションチェーンはありません

ZARAは店舗こそ最大の広告宣伝と考え、賃料は高くても、ブランドイメージと顧客のアクセスを優先して、好条件の立地の物件、ランドマーク的な物件に厳選して出店することをポリシーとしています

アパレルの国際物流において、最もコストがかかるのは国内物流加工、すなわち、輸入した商品を国内の物流倉庫に運んだあと、店舗ごとに品番・カラー・サイズ別に振り分けることです。ユニクロではこの作業を国内で行わなくて済むようにするため、海外工場での箱詰めの段階ですでに品番ごとにカラー・サイズを組み合わせて梱包し、それをそのまま店舗に届けている

ユニクロは店舗で売り逃しをしない商売人を育て、ZARAは顧客が望む商品の情報を汲み取るマーケッターを育ててきた

全品OFFセールというものは、売上そのものは底上げされるかもしれませんが、売れ筋商品ばかりがますます売れ、死に筋商品の計画乖離はさほど変わりませんから、死に筋商品に対する根本的対策にはなりません

ZARAにとってシーズン最初の商品企画、売上の約25%に相当する商品はデザイナーによる仮説ですが、シーズンに入ってからつくり足す残りの約75%は、店頭での顧客の反応を毎週吸い上げてデザインされた改良商品です。そのため、ほかのファッションブランドではシーズン初めのコレクションが最も充実し、その後、時間が経つにつれて上澄みが取られて魅力が失われ、顧客に飽きられていくのに対し、ZARAの場合は、シーズンが進行すればするほど、顧客が欲しがる商品で満たされ、逆に魅力が増していく

ZARAは36~37%の原価率で、値下げは平均10%程度に抑え、最終的に60%相当の粗利益率をあげているモデルです

ユニクロは毎週期間限定セールなどを実施し、たくさん値下げしているように見えても、その割合は業界標準よりは10%も低く抑えています

ベーシックカジュアルSPAのガリバー企業が存在する先進国においては、ユニクロの成長も限定的と考えられます

ZARAが新しい市場に進出して拡大する条件は、その国の女性の社会進出が進み、さらにキャリアアップに対する関心が高まるステージに入ること

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『ユニクロ対ZARA』齊藤孝浩・著 日本経済新聞出版社
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4532319617

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◆目次◆

第1章 ファッション流通の常識を変えた2つのブランドと2人の起業家
第2章 「部品倉庫」のユニクロ「クローゼット」のZARA
第3章 ローコスト徹底のユニクロ 超高速空輸のZARA
第4章 「つくったものを売る」ユニクロ 「売れるものをつくる」ZARA
第5章 「小売業」のユニクロ 「製造業」のZARA
第6章 「松竹梅戦略」のユニクロ 「ポートフォリオ手法」のZARA

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