2014年10月2日

『競争の科学』 ポー・ブロンソン、アシュリー・メリーマン・著 vol.3726

【これは名著だ。人生を成功に導く「競争」の科学とは?】
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4788908166

本日の一冊は、『このつまらない仕事を辞めたら、僕の人生は変わるのだろうか?』『間違いだらけの子育て』などの著書を持つ、ジャーナリストのポー・ブロンソンと、弁護士としてビル・クリントン政権で働いた経験を持つアシュリー・メリーマンが、「競争」についての研究結果・考察をまとめた一冊。

ハーバード大学、スタンフォード大学、カリフォルニア大学……世界中の研究者たちによる研究成果をもとに、われわれがどう「競争」と付き合えばパフォーマンスを最大化できるのか、興味深い考察を提供してくれています。

子どもにどんな環境を与えれば、適切な競争環境になるのか、という点にも言及しており、教育本としても活用できそうです。

みなさんご存知のように、「競争」には、われわれのパフォーマンスを高める効果がありますが、じつはこれ、個人差があるそうです。

著者によると、<人間には、パフォーマンスを上げるためにストレスを減らす必要がある人と、ストレスを増やす必要がある人の2種類がある>そうで、本書ではこのことを、トリプレットの「50:25:25の法則」として紹介しています。

◆50:25:25の法則
トリプレットは実験結果に基づき、「50%」「25%」「25%」の割合で子供たちを3つのカテゴリーに分類できることを発見した。すなわち、全体の半分の子供は、競争することで大きなメリットを得ていた。4分の1は競争の影響をほとんど受けず、わずかにタイムを縮めていただけだった。残りの4分の1は競争にうまく対処で
きず、タイムを落としていた

タスクを行う人数が多くなるほど競争者のパフォーマンスが低下するという「N効果」や、競争に対する男女の性差についてもコメントしており、じつに興味深い内容です。

<成功の見込みが高いとき、男女の間に野心の差はなくなる。むしろ女性の方が積極的になる。男性は、勝つ見込みの少ない勝負にも賭けることがある。ときには、愚かしいまでに勝ち目のない戦いに挑むこともある。だが、女性はそのような賭けをしない>

古代ギリシャ人は「競争」を肯定的にとらえ、偉大な文明を築き上げましたが、われわれ日本人も、そろそろ「競争」の大切さに気づくべきです。

自分を律し、個人・組織双方のパフォーマンスを高めるために「競争」を利用する──。

新たなモチベーションの上げ方のヒントが得られ、じつに良い勉強になりました。

名著ですので、これはぜひ読んでみてください。

———————————————–
▼ 本日の赤ペンチェック ▼
———————————————–

冷静になることが必要なのは、一部の人のみである。他の人にとっては、それとは正反対の方法、すなわち、興奮し、活動的になり、ときには腹を立てることの方が、不安を乗り越えやすい

◆50:25:25の法則
トリプレットは実験結果に基づき、「50%」「25%」「25%」の割合で子供たちを3つのカテゴリーに分類できることを発見した。すなわち、全体の半分の子供は、競争することで大きなメリットを得ていた。4分の1は競争の影響をほとんど受けず、わずかにタイムを縮めていただけだった。残りの4分の1は競争にうまく対処で
きず、タイムを落としていた

実験対象の飛行隊内では、成績下位者同士が集団を形成していた。彼らは成績の良い者と絶えず比較されるのを避け、自らを隔離しようとしたのだ

ガルシアとトーはこの現象を「N効果」と名づけた。すなわち、N(タスクを行なう人数)が多くなるほど、競争者のパフォーマンスは低下する

見物者がいると、学習者のパフォーマンスは下がり、熟練者のパフォーマンスは上がる

初心者は肯定的なフィードバックから、熟達者は批判からメリットを得る

断続的な監視は、継続的な監視よりも効果的

成功の見込みが高いとき、男女の間に野心の差はなくなる。むしろ女性の方が積極的になる。男性は、勝つ見込みの少ない勝負にも賭けることがある。ときには、愚かしいまでに勝ち目のない戦いに挑むこともある。だが、女性はそのような賭けをしない

勝者総取り方式を選択したのは男性が73%だったのに対し、女性はわずか35%だった

「大きな池の小さな魚であることは、男子には良くない影響をもたらす」とジャクソンは述べている。「結論として、女の子はできるだけ良い学校に行かせ、できるだけ優秀な子に囲まれるようにするのが望ましい。男の子は、できるだけ優秀な教師がいる学校に行かせるべきだが、競争が厳しすぎる環境に置くべきではない」

怒りの感情で問題に立ち向かう人は、人生満足度や幸福感などの尺度で測定する「心の知能指数」が高いことがわかっている

————————————————

『競争の科学』ポー・ブロンソン、アシュリー・メリーマン・著 実務教育出版
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4788908166

————————————————-

◆目次◆

第1章 唾液は語る
第2章 競争相手との関係
第3章 環境的要因
第4章 遺伝子の酵素
第5章 男女の違い
第6章 幼少期の環境
第7章 獲得型と防御型
第8章 ポジティブとネガティブ
第9章 競争のホルモン
第10章 チームのヒエラルキー
第11章 競争とイノベーション
第12章 公正なる競争

この書評に関連度が高い書評

この書籍に関するTwitterでのコメント

同じカテゴリーで売れている書籍(Amazon.co.jp)

NEWS

RSS

お知らせはまだありません。

過去のアーカイブ

カレンダー