2014年10月26日

『やる!』唐池恒二・著 vol.3750

【「ななつ星in九州」が大成功。JR九州会長、唐池恒二氏の経営哲学】
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4761270330

九州新幹線全線開業、駅ビル「JR博多シティ」、地域を元気にするデザイン&ストーリー(D&S)列車、飲食や農業への積極進出、そして大成功を収めた超豪華列車「ななつ星in九州」…。

本日ご紹介するのは、社長就任以来、さまざまな新規事業を手掛け、次々と成功させてきたJR九州会長、唐池恒二氏による注目の新刊。

2016年の株式上場を前に、投資家にとっても気になる一冊です。

『やる!』という豪快なタイトルから、何となく予想はできていましたが、全体を通じていわゆる「精神論」が展開されています。

こう書くと、普通は読む気がなえるのですが、じつはこの精神論が、本書の魅力なのです。

「気」「夢みる力」「手間」「誠実」

現実主義の人間なら、うんざりしてしまいそうなキーワードが、この人にかかると、経営でもっとも大切なエッセンスに変わる。それも具体的に、です。

たとえば著者は、「気」「夢みる力」について、こう説明しています。

<夢みる力は「気」を呼び込み、集め、つくっていく>

<「気」を呼び込む四つの法則>
1.迅速できびきびとした動き
2.明るく元気な声
3.スキを見せない緊張感
4.つねに成長しよう、向上しようとするどん欲さ

また、「誠実」についても、それを分解してこう説明するのです。

<「誠実」には二つの意味がある>
・「嘘、偽りやごまかしがなく思いやりのある行動や心の持ち方」
・「手抜きをしない、手間をかける」

この「精神論」を、社員とのコミュニケーションに活かすとどうなるか。本書のなかの具体例を紹介するので、ご覧ください。

<私はいつも社員たちにこう言っています。「五年後、一〇年後に入ってくる、まだ見ぬ後輩社員たちのために、われわれは手間をかけるんだ」その人たちが誇りを持って働ける会社、やりがいのある会社を私たちがつくる。一〇年後に入ってくる人たちに引き継ぐために>

<「今、JR九州にとって農業が一番大事なんだ。だから、君がそれをゼロからつくってくれ。たしかに、今はJR九州にとって農業による売上げはちっぽけなものかもしれない。でも、この事業がこれからのJR九州を支えていくことになるんだ」社員に夢を見させるための方向と、能力と、やる気、この三つを強く理解してもらい、気を満ち溢れさせるのです>

組織を引っ張っていくため、社員やお客様、地域に夢を見せるため、リーダーはどう考え、組織に「気」を充満させていくか。

現場での実例をもとに語られており、じつに勉強になりました。

新規事業やネーミングのヒントも散りばめられており、最終的には精神論どころかじつに実践的な内容だったと思います。

JR九州に投資検討している方はもちろん、今後のビジネスのヒント、リーダーシップの秘訣を知りたい方にも、ぜひ読んでいただきたい一冊です。

———————————————–
▼ 本日の赤ペンチェック ▼
———————————————–

業績が悪化したからといって倒産する会社はあまりありません。世間から信頼をなくしてしまい、「あそこの会社は誠実じゃない」と思われた会社が倒産していくのです

「ガラスぐらいちょっと汚れてもいいか」とリーダーが気を緩めてしまえば、社員は誰一人として、絶対にガラスを拭かなくなります。つまり、組織のリーダーが意識を高くしなければ、社員はそれより上にはいかないということです

「とにかく、なんでもやってみる」が成長と進化を生む

トップが「なんでもやってみろ!」と言わないと、社員のモチベーションは上がらない

私は、マーケティングの基本は試すことだと思っています。事業はなんでも試す、トライする。それでダメならやめればいい。何に対してもトライしなくなったら企業は滅びます

私はいつも社員たちにこう言っています。「五年後、一〇年後に入ってくる、まだ見ぬ後輩社員たちのために、われわれは手間をかけるんだ」その人たちが誇りを持って働ける会社、やりがいのある会社を私たちがつくる。一〇年後に入ってくる人たちに引き継ぐために

「今、JR九州にとって農業が一番大事なんだ。だから、君がそれをゼロからつくってくれ。たしかに、今はJR九州にとって農業による売上げはちっぽけなものかもしれない。でも、この事業がこれからのJR九州を支えていくことになるんだ」社員に夢を見させるための方向と、能力と、やる気、この三つを強く理解してもらい、気を満ち溢れさせるのです

◆「気づき」の三段階
1.お客様の存在に気づく
2.お客様の行動に気づく
3.お客様の気持ちに気づく

深く話を突き詰めれば突き詰めるほど、最大公約数のビッグデータではなく、具体的なマーケティングの理由づけができていく

鹿児島県対大分県の対決キャンペーンとして、「バーサスキャンペーン」をやったことがありました。販促のコピーは次のような感じです。「鹿児島と大分、あなたはどっちに行きますか?」

七両編成、九州は七県と連想していき、「北斗七星」という言葉がひらめきました。これは、一つの目指すものとしていいなと思いました。そこで、北斗七星をさっそく辞書で引いてみたところ、和名で「ななつ星」と出ているわけです。「ほーお、ななつ星かあ」私の頭の中で、ビビッと来ました。まさに、マグマが噴火した瞬間でした

————————————————

『やる!』唐池恒二・著 かんき出版
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4761270330

————————————————-

◆目次◆

第1章 夢みる力!
第2章 気づく!
第3章 伝える!
第4章 やる!
最終章 ありがとう

この書評に関連度が高い書評

この書籍に関するTwitterでのコメント

同じカテゴリーで売れている書籍(Amazon.co.jp)

NEWS

RSS

お知らせはまだありません。

過去のアーカイブ

カレンダー