2014年8月22日

『L70を狙え!』吉本佳生・著 vol.3685

【70歳以上の女性に売る時代?】
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4532319455

本日の一冊は、人気エコノミストであり、ベストセラー作家でもある吉本佳生さんが、今後、70歳以上女性(=L70)のマーケットが有望だと喝破した、注目のマーケティング本。

日本の人口が今後、大幅に減ることは既に予想されていますが、本書では、そのなかでも2050年まで増え続ける70歳以上人口に注目。

そのなかでも特に有望と目されている70歳以上女性(=L70)の動向を、データも交えながら解説しています。

L70の消費を見ていくと、

<ケチケチせずに高いモノをバンバン買って、いちばん上質な食生活を楽しんでいる>実態が浮かび上がってきます。

上質な食事を楽しみ、<エアコンは高いモノを、電子レンジは安いモノを買う>、<理髪料やパーマネント代をたくさん支出する>…。

今後、団塊ジュニアが70代になれば、高齢者の高学歴化が進み、学歴効果で「海外旅行」「英語学習」のニーズも高まると予想されています。

知れば知るほど奥深い、L70の消費動向を押さえており、じつに興味深く読むことができました。

<そもそも、シニア割引をして高齢者向けの鑑賞料金を下げることが、価格戦略として正しいかどうかを、きちんと考え直すべき>
<宅配サービスよりも、お店に来てもらうべき>

という指摘は、現在の対高齢者マーケティングを見直す良いきっかけとなるのではないでしょうか。

経営者、マーケターはぜひチェックしてみてください。

———————————————–
▼ 本日の赤ペンチェック ▼
———————————————–

傾向として2050年ごろまでJ70の人口は大幅に増えます

ケチケチせずに高いモノをバンバン買って、いちばん上質な食生活を楽しんでいるというのが、70歳以上世帯の真の姿

単純に運転免許保有者数と寿命(余命)を考えて計算すると、L70向けの自動車市場は10年で倍以上に拡大しそうです

学歴効果が強力に働く「海外旅行」「英語学習」

どの年齢層にも、いちばん高く買う鮮魚があります。世帯主30代は「いわし、たい、ぶり」、40代は「あじ、いか」、50代は「かれい、さけ、さば、さんま」、60代は「まぐろ」と「さしみ盛り合わせ」です。世帯主70歳以上の世帯は、「かつお、たこ、えび、他の鮮魚」でいちばん高い価格を支払っています

「演芸・演劇・舞台鑑賞」もなお増える余地

そもそも、シニア割引をして高齢者向けの鑑賞料金を下げることが、価格戦略として正しいかどうかを、きちんと考え直すべきです。2時間座って映画を観ても疲労が残らないように、もっと快適なシートを用意して、差額料金のかたちで高い鑑賞料金をもらうほうが、映画館にもL70やG70にも利益があるのではないかと思われます

70歳以上の世帯が理髪料やパーマネント代をたくさん支出するのは、「購入頻度」が多いからです(中略)時間に余裕があるという事情もあるでしょうが、“お店のスタッフとのコミュニケーション”を楽しむことも、大きな目的になりやすいのでしょう

実際に高く売りやすいのは「おカネには余裕があるが、時間には余裕がない顧客」

買い物の時間にたっぷりと余裕がある顧客に対して、価格差別などの作戦を駆使して高く売ろうとするのは、実際には失敗しやすい

観光スポットで車椅子対応をすすめると、来客を増やす効果が大きい時代になりつつある

70歳以上の女性たちが目をつけた芸術や文化が流行し、これが下の年齢のひとたちに伝わって、若い人たちのなかでも流行するというパターンが、これからはつぎつぎに出現する

宅配サービスよりも、お店に来てもらうべき

L70は、便利さや最新機能に対してあまりおカネを支払いません。心の豊かさが感じられるコミュニケーションに対して、おカネを支払うのです

————————————————

『L70を狙え!』吉本佳生・著 日本経済新聞出版社
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4532319455

————————————————-

◆目次◆

第1章 L70と“エンゲル係数の呪縛”
第2章 ギャップが消費を大幅に押し上げる
第3章 成長のチャンスを見逃していないか?
第4章 装いと健康にL70がおカネをかけられる理由
第5章 集まるところさえあれば、L70が日本経済を牽引する

この書評に関連度が高い書評

この書籍に関するTwitterでのコメント

同じカテゴリーで売れている書籍(Amazon.co.jp)

NEWS

RSS

お知らせはまだありません。

過去のアーカイブ

カレンダー