2014年8月17日

『本は死なない』ジェイソン・マーコスキー・著 vol.3680

【Kindle開発者が語る読書の未来?】
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4062188619

本日の一冊は、アマゾンの初代Kindle開発者、ジェイソン・マーコスキーが語る、電子書籍&読書の未来。

本の歴史について語った部分や、著者の読書論などは正直、蛇足の感がありますが、電子書籍の端末やサービスが今度、どうなっていくのか語った部分は、興味深く読むことができました。

電子書籍のメモ機能や、フォースクエアのように書店でチェックインする方法、索引の充実、かつて書店が版元だった頃への回帰、すべての本がリンクされる「読書用フェイスブック」のコンセプト、まったく新しいタイプのしおり…。

いずれも興味深く、近未来予測として、参考になりました。

◆「Facebook for Books」の考え方
「Facebook for Books」、すなわち「読書用フェイスブック」のような形を提案したい。これは言うなれば、「究極的には、世界にはたった一冊の本しか存在しなくなる」という考え方だ。電子書籍も紙の本も、あらゆる本がリンクでつながり、世界中のすべての本が巨大な一冊を構成する一要素となる。ジャンルの区別もなく、複雑に絡み合うハイパーリンクですべての本がつながるのである。あらゆる本を包含する巨大な一冊の本。それが私の考える読書用フェイスブックだ。ある本を読みながら、リンクを辿ることで自然な流れで別の本に移ることができる

◆著者が考える新しい「しおり」
しおりを新しい形で蘇らせることはできると思う。ページの端を折る機能でも代用にはなるが、デジタルならではの方法も考えられる。しおりの役目はどこまで読んだのかを思い出させてくれることなのだから、その用途をさらに広げてみてはどうだろう。本の進行度だけでなく、その日に済ませる仕事や用事もあわせて思い出させてくれる。スケジュールをチェックし、大事なことを声で知らせてくれる秘書のようなしおりがあったらどうだろう

電子書籍同様、未完成な本ではありますが、インスピレーションを得るには、充分な内容です。

電子書籍分野でビジネスを仕掛けたい方、電子書籍を使ってビジネスを拡大したい方に、ぜひチェックしていただきたい一冊です。

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▼ 本日の赤ペンチェック ▼
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電子書籍のメモ機能に未来はあるのだろうか。その点では最近始まったReadSocialという新しいウェブ・サービスに注目したい。このサービスを利用すると、電子書籍にメモを追加できるだけでなく、ほかの利用者のメモに対してコメントを残すこともできる

4sqを書店に応用するというのはどうだろう。たとえば行きつけの本屋さんの特定のコーナーでチェックインし、その一角の書店員、あるいは「主(4sqで言うところのMayor)」として、友人におすすめの本を提示したり、その一角にある本に関する情報をコメントにして残したりするという形が考えられる

現行の電子書籍では、このような索引に込められた知識が軽視されている。多くの電子書籍には巻末に索引が添えられているが、本文と連動していないケースがほとんどだ。タップして該当の箇所に飛べるハイパーリンクが設定されていないことも多い

文筆を専門とする作家や販売に特化した業者が現れはじめると、出版業が複雑化して出版、著作、販売の3つが分化し、いまのような形態になった。ところが電子書籍が登場してから、再びこの3つが一元化されようとしている。現代でその役目を担おうとしているのは、出版社ではなく販売店である

「Facebook for Books」、すなわち「読書用フェイスブック」のような形を提案したい。これは言うなれば、「究極的には、世界にはたった一冊の本しか存在しなくなる」という考え方だ。電子書籍も紙の本も、あらゆる本がリンクでつながり、世界中のすべての本が巨大な一冊を構成する一要素となる。ジャンルの区別もなく、複雑に絡み合うハイパーリンクですべての本がつながるのである。あらゆる本を包含する巨大な一冊の本。それが私の考える読書用フェイスブックだ。ある本を読みながら、リンクを辿ることで自然な流れで別の本に移ることができる

しおりを新しい形で蘇らせることはできると思う。ページの端を折る機能でも代用にはなるが、デジタルならではの方法も考えられる。しおりの役目はどこまで読んだのかを思い出させてくれることなのだから、その用途をさらに広げてみてはどうだろう。本の進行度だけでなく、その日に済ませる仕事や用事もあわせて思い出させてくれる。スケジュールをチェックし、大事なことを声で知らせてくれる秘書のようなしおりがあったらどうだろう

作家としての才能だけでなく、IT技術に関する知識やマーケティングのセンス、統計学に関する知識も求められる。電子書籍革命によって作家に求められる資質も次第に変わっていくことになるだろう

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『本は死なない』ジェイソン・マーコスキー・著 講談社
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4062188619

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◆目次◆

1.本の歴史
2.電子書籍の起源
3.キンドルプロジェクトの始まり
4.キンドル2、さらなる高みへ
5.競争の始まり
6.神経生物学からみた読書
7.読書文化の存在意義
8.つながりを深める本
9.短命なテクノロジー
10.電子書籍の普及学
11.出版業界の革命的変化
12.わが蔵書はクラウドへ
13.グーグルが「読書用フェイスブック」になる日
14.グローバル化
15.変容する言語
16.本と教育
17.図書館の未来
18.電子書籍リーダーの未来
19.作家の未来
20.文化のデジタル化
21.読書は「廃れゆく技術」か
おわりに 最後のデジタル・フロンティア

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