2014年8月14日

『孫子に経営を読む』伊丹敬之・著 vol.3677

【『孫子』を経営学者が読み解くと?】
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4532319420

本日の一冊は、戦略のバイブル『孫子』を、経営学者の伊丹敬之氏が読み解いた、興味深い一冊。

現代語訳と意味、さらには企業経営の文脈に当てはめた解説を付しているので、経営者には重宝する内容です。

孫子が考える「5つの鍵要因」に始まり、「7つの計」「勝ちを知るための五」「五危」など、孫子のエッセンスを上手に紹介しており、これから『孫子』を学ぶ人にとってもとっつきやすいと思います。

<一に道、二に天、三に地、四に将、五に法>

<七つの計とは、主の道、将の能力、天地の得失、法令の実行、兵たちの強さ、士卒の練度、賞罰の明確さ、である。この七つのポイントで相手と自軍を比較して、それで勝敗の行方を知ることができる>

◆勝ちを知るに五あり
1.戦うべき状況かどうか、判断できる者
2.現場の作戦行動を兵力の大小に応じて適切に工夫できる者
3.組織の上下で同じ思いと欲を共有している者
4.自ら深く考えて準備をし、相手が準備のないまま行動するのを待ちかまえている者
5.現場の指揮官たる将の能力が高く、最高責任者である君(経営者)は将のたづなをとっていちいちコントロールはしない者

『孫子』入門書としても読めますが、本書を読んで実際に戦略に立てることは十分可能なクオリティです。

ぜひチェックしてみてください。

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▼ 本日の赤ペンチェック ▼
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孫子の言葉の企業的含意の一つは、技術の最高指導は企業の指導者である経営者の責任である、技術者集団に全面的に委ねてはならない、ということになる

一に道、二に天、三に地、四に将、五に法

七つの計とは、主の道、将の能力、天地の得失、法令の実行、兵たちの強さ、士卒の練度、賞罰の明確さ、である。この七つのポイントで相手と自軍を比較して、それで勝敗の行方を知ることができる

◆勝ちを知るに五あり
1.戦うべき状況かどうか、判断できる者
2.現場の作戦行動を兵力の大小に応じて適切に工夫できる者
3.組織の上下で同じ思いと欲を共有している者
4.自ら深く考えて準備をし、相手が準備のないまま行動するのを待ちかまえている者
5.現場の指揮官たる将の能力が高く、最高責任者である君(経営者)は将のたづなをとっていちいちコントロールはしない者

「軍を患うる」ような言動だけは、経営者は避けなければならない。相当の忍耐が必要であろう。その忍耐の程度を語る名言が、イノベーションで有名なアメリカの化学メーカー3Mで、語り伝えられている。“The captain bites his tongue until it bleeds.”船長は、血が出るまで舌を噛んで、我慢する。もともとは、アメリカ海軍で伝えられてきた言葉だそうである

国も軍も、相手を破る(つまり戦って負かす)のは次善の策で、最上の策は国も軍も全うする、つまり相手も自分も傷つけないことだ、というのである

◆将に五危あり
1.必死になること。必死になると、思慮の浅い勇ばかりとなり、かえって敵の術中にはまる
2.必生である。生きようと思い定めることである。作戦の目的をそのように設定すると、消極的になってしまい、進撃のチャンスが戦場で生まれても、つい見送ってしまったりする
3.分速(短気、怒りっぽい)自分が侮られていると思うとカッとなって思慮に欠ける反応をしてしまう
4.廉潔(欲薄く、清廉)辱められることで、術中にはまる
5.愛民(兵士を救いたい気持ち)

敵の意表をつく奇が効果をもつためには、相手の予想をまず正で誘導する必要がある

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『孫子に経営を読む』伊丹敬之・著 日本経済新聞出版社
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4532319420

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◆目次◆

序 物理と心理の書、『孫子』
第一章 経営の本質
第二章 将のあるべき姿
第三章 兵の情
第四章 戦略の真髄
第五章 戦略的思考とは
第六章 「勢い」は経営の肝
結 余韻

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