【人生の「転機」の乗り越え方】
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4775941224
日々、忙しいなかで本を読んでいますが、そんな状況でも、思わず読みふけってしまう、そんな本があります。
本日の一冊は、われわれが人生で何度か直面する「トランジション」(転機・節目)について論じた、不朽の名著。
初版から25年たった今、この『トランジション』は41刷り、51万部も出版され、今なお売れ続けている、ロングセラーです。
土井も38歳の頃に経験しましたが、人生には「トランジション」しなければならない状況がたびたび訪れます。
では、実際にどんな時にトランジションが必要か、本書の説明部分を読んでみましょう。
<「何かが終わる時期」「混乱や苦悩の時期」「新しい始まりの時期」>
<第一のターニングポイントは、「あなた自身の二本の足で立つ」というフレーズに象徴される、依存からの分離・独立へのトランジションである。第二のターニングポイントは、「人生の午後(ユングの用語で人生の後半を意味する)」のどこかで訪れる「杖とか支え、いわゆる三本目の足を獲得する時期」である>
卒業や独立、事業の成功もある意味トランジションするタイミングになりますが、われわれは、その都度、自分自身の内面を再定義していかなければなりません。
トロイア戦争の勇者オデュッセウスの物語のように、ある時からわれわれは、<かつては彼を助けたものすべてが、彼の行く手を妨害する>という経験をします。
また、自分に名声を与えた若いころのやり方を捨てる必要があり、やがて名声そのものも捨てなければならなくなるでしょう。
──じつに含蓄に富んだ、深い話です。
人生のどの時期に、何を考えて行動すればよいか。自分が「終わり」や「始まり」、「喪失・空白」の時期にどう精神的に対処すれば良いか、ヒントが示されており、じつに参考になりました。
4月は、始まりの時期。「トランジション」ぜひ読んでみてください。
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▼ 本日の赤ペンチェック ▼
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「終わり」はトランジションの第一局面である。第二局面は「喪失・空白」の時期であり、やがて納得できる生活パターンや方向性が見いだされる。そして第三局面が新たな「始まり」である
何かの「始まり」を可能にするのは、何かの「終わり」なのである
人は夢を実現した時、奇妙な感慨にとらわれる。「これがそうなのか? 今まで何とかしようと頑張ってきたのはこのためなのか?」
夢がかなわないとわかることは、多少なりともいまいましいものだ。しかし、それが新しい活動への門を開き、かつての夢を追っていては達成不可能だったような新たな業績に導くこともある。夢を追いつづけたために生じた葛藤や混乱から解き放たれ、済みきった水の中で自己や仕事について考え直すことによって、多くの人は真になすべきことやあるべき姿を見いだすのである
「柱住期」というヒンドゥー教の言葉が示すように、そこに入るトランジション期には、人は社会的活動に背を向け、思索と研鑽の時を過ごすために、ひとりで森に入っていくのである
オデュッセウスは、その物語のいたるところで、人生の不思議な綾を体験する。かつては彼を助けたものすべてが、彼の行く手を妨害するのである
おかわりのように、彼にとって最も困難な課題は、彼を中年期に導き名声を与えた若いころのやり方を捨てるということなのだ
男性は男性的な性質を大量に消費し、女性的性質は少ししか使わない。しかし、人生の後半に至れば女性性を使わなくてはならない。一方、女性は、それまであまり使っていない男性的性質を活性化することが可能となるのである
「ウーティス」はオデュッセウスが巨人に名乗った名前だが、ギリシャ語で「誰でもない人(nobody)」という意味である(中略)この最初の戦いでオデュッセウスが立ち向かった巨人が、ポリュペモスという名前だったのも偶然ではない。それはギリシャ語で「有名な」という意味なのである
(人生の)最終章では、森の住人の時期に学んだことを明らかにし、他者に還元していくのである
時間がたつにつれて、私は名詞のアイデンティティよりも、「~しているところ」という感じのアイデンティティが好きになってきた
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『トランジション』ウィリアム・ブリッジズ・著 パンローリング
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◆目次◆
第I部 変化が必要なとき
第1章 トランジションのただなかで
第2章 人生はトランジションの連続である
第3章 人間関係とトランジション
第4章 仕事とトランジション
第II部 トランジションの過程
第5章 何かが終わる
第6章 ニュートラルゾーン
第7章 新たな何かが始まる
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