2014年4月8日

『エコノミストが教える経済指標の本当の使い方』 永濱利廣・著 vol.3549

【これで経済が読めるようになる。】
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本日の一冊は、金融のプロが注目する経済指標と、その見方・使い方を、第一生命経済研究所主席エコノミストである永濱利廣氏が解説した一冊。

経済指標を紹介した本は、これまでにも数多く出ていますが、本書の特長は、経済指標の基本を押さえつつ、まさに今、行われつつある経済政策(アベノミクス)の成否をウォッチするための指標も紹介している点。

GDPやGDE、GNIといった基本用語や、なぜアメリカ経済が重要なのか、それがどの程度日本経済と連動しているのか、アメリカのどの指標が日本の株価に影響を与えるのか、過去の事例やグラフをもとに、解説しており、参考になります。

また、耐久消費財を輸出して(不景気になると買い控えるアイテム)、生活必需品を輸入(不景気になっても輸出し続けなければならない)していることから、不景気になるとダメージを受けやすいという日本経済の構造や、じつはアメリカのISM(全米供給管理協会)の景況感指数が日本の株価指数に影響を与えるという話など、実践的な見方が役に立ちます。

バブル崩壊の予測に関しても、<生産年齢人口の比率がピークアウトするときに、多くの国でバブルが崩壊している>というデータが紹介されており、勉強になりました。

アベノミクスに関しては、<よい物価上昇になるためには、「食料・エネルギーを除く総合」のインフレ率が上がらなければならない><ちゃんとしたインフレになるかどうかは、失業率が下がるか、もしくは賃金が上がるか、そこをみなければ判断できません>という見方が提示されており、今後の動向を見守る上で、良い基準を持つことができると思います。

ぜひチェックしてみてください。

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▼ 本日の赤ペンチェック ▼
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景気がよくなる場合でも悪くなる場合でも、まず、はじめに動くのは需要です

日本でもっとも景気が動くのは、毎年10─12月期です。ボーナスが出て、クリスマスや、お正月を迎える準備があるからです

GDP速報値というのは、最終消費者が支出した総額から輸入総額を引いて計算しているわけですので、発表されているデータは、厳密にいうとGDPではなくてGDEなのです

1994年の第1四半期と比較すると、直近のGNIは実質で66兆円増えていますが、雇用者報酬は16兆円しか増えていません。半分も増えていないのです。名目ですと、GNIの1.9兆円の増加に対して、雇用者報酬は17兆円も減っているわけです

日本の場合、世界的に景気が悪くなると、輸出がものすごく減る一方で、輸入はそんなに減らないので、GDPはものすごく落ちることになる

アメリカの場合、自分が持っている住宅の価値が上がると、その価値の上昇分を担保としてお金を借りることができるのです。“Homeequity loan”といい、それで消費を増やすという傾向があります。ですので、個人消費と住宅投資というのが非常に重要

アメリカは金融緩和の出口に向かって、最終的には政策金利を上げる方向に舵を切るでしょう。そのタイミングの目安が、失業率6.5パーセントとインフレ率2パーセントという水準

日本の株価指数の動きを読むときにいちばんリンクする経済指標は、じつは日本のどの経済指標でもなく、このISMの製造業景況感指数

生産年齢人口の比率がピークアウトするときに、多くの国でバブルが崩壊している

よい物価上昇になるためには、「食料・エネルギーを除く総合」のインフレ率が上がらなければならない

結局、ちゃんとしたインフレになるかどうかは、失業率が下がるか、もしくは賃金が上がるか、そこをみなければ判断できません。アベノミクスが成功するかどうかを予測するために、このような経済指標が非常に重要になってくる

家計の収入が増えるためには、働く人が増えるか、賃金が増えるか、この二つに尽きます

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『エコノミストが教える経済指標の本当の使い方』永濱利廣・著 平凡社
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◆目次◆

第1章 そもそも経済指標ってなに?
第2章 なぜ、アメリカ経済は重要なのか
第3章 私たちの生活を左右するアメリカ経済
第4章 ユーロや中国経済のことも知ろう
第5章 日本経済は本当に復活するのか

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