【買い物客の驚きの行動実態。調査の結果は?】
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4781610676
かつて、パコ・アンダーヒルの『なぜこの店で買ってしまうのか』という名著があり、この度、文庫化されました。
※参考:『なぜこの店で買ってしまうのか』
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4150504067/businessbookm-22/ref=nosim
これだけでも嬉しいのですが、本日ご紹介する一冊は、さらに嬉しい、消費者行動の分析モノ。
著者のサイモン・スキャメル=カッツは、ローラアシュレイや衣料品チェーンのネクストを経て、買い物客の行動調査を手掛けるコンサルティング会社を設立。現在はTNSグローバルのコンサルティング・ディレクターとして、コカ・コーラ、ユニリーバ、P&G、クリスチャン・ディオールなどのグローバル企業をクライアントに持つ人物です。
本書は、著者がこれらのクライアントから依頼を受け、手掛けたというさまざまなリサーチ結果を惜しげもなく紹介した一冊。
素晴らしい看板やショーウィンドウにお金をかけ、なるべく長く顧客に滞在してもらうために頻繁にレイアウト変更を行っているお店には大変残念な結果……いや、目からうろこの衝撃的な事実が書かれています。
本書によると、多くのお店で導入されているポイントカードには、売上を増やす効果はなく、ショーウィンドウや看板はほぼ見られていない。衝動買いされていると思われるソフトドリンクは、ほぼ計画的に買われているようです。
本書でわかるのは、買い物客はそれぞれ「ミッション」を持っており、さまざまなミッションを持つ買い物客に合ったレイアウトが用意されていないと、非効率が発生するということ。
その非効率がなければ、本来もっと買ってくれたであろうお客様が、買ってくれないということになりかねないわけです。
もう一つ、興味深かったのは、商品カテゴリーによって買い物客の行動が変わるということ。
牛乳などのカテゴリーでは、むやみに選択肢を増やしたり、POPを設置して迷わせてはいけない。逆にシャンパンなどのカテゴリーでは、参考になる情報を提供したり、変則的な並べ方が効く、というのは、売り場では直接役に立つ情報だと思います。
売場作りの参考に、またマーケティングの参考に、ぜひ読んでおきたい一冊です。
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▼ 本日の赤ペンチェック ▼
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◆ブランドの成否を左右する要素
1.商品の「魅力」
2.商品の「選ばれやすさ」
3.商品の消費時ないしは利用時の「満足度」
じつは店を選ぶときのいちばんの決め手になっているのは、場所だ。例えば、自宅や通勤路に近い店ほど利用されやすい
先進国の買い物客は通常、いくつかの店を使い分けている。例えば、週に一回、一週間ぶんの食料を買うときには、少し遠くの大型スーパーに行き、週の途中で生鮮品が足りなくなったり、一週間の献立が変わったりしたときには、近くの小さな店を利用するという具合だ。このように「店で果たすべきこと(ミッション)」はそのときどきの買い物によって異なる
ミッションが異なれば、店に求められることも異なってくる。店側はあらゆるミッションに備える一方で、得意とするミッションを持つ必要がある
大型スーパーは「典型的な客層」向けに設計されていて、世界じゅうどこでもだいたい似たデザインをしている。想定されているのは、三十五歳の母親がふたりの子どもを連れて、ショッピングカートを押し、家族の一週間ぶんの食材を買うという姿だ。しかしこれは誤りだった。調査では、三分の二の人が「臨時」の買い物で来店していた。その結果、ほとんどの人が数品の商品を買うために、広々とした食品売場を歩き回らなければならず、スーパーで不便をこうむっていた
最近は先進国と途上国の両方で、「買い物かごひとつ」程度の少量の買い物をする人が増えている。とりわけニューヨーク、ロンドン、モスクワなど、人口密度が高く、おおぜいの人が狭い家に住んでいる都市部ではその傾向が顕著だ
じつは、目的のものが見つかってはじめて、ほかのカテゴリに目を向ける余裕は生まれる
買い物客は目印となるブランドで売り場を見分けている
買い物客は「色と形」という単純化された視覚的な手がかりを使って、ブランドを認識している
特売品のコーナーが設置される場所も、だいたい決まっている。たいがいは陳列棚の端の部分だ。買い物客はそのことも記憶しているので、やはりそこでも特売の内容を読もうとしない
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『無意識に買わせる心理戦略』サイモン・スキャメル=カッツ・著 イースト・プレス
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/ 4781610676
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◆目次◆
第1章 なぜ買い物客に注目するべきか
第2章 買い物客はどういう目的で店に来るか
第3章 ウィンドウディスプレイに効果はあるか
第4章 買い物客は店内でどのように目当ての商品を探すか
第5章 買い物客は店内で何を見ているか
第6章 買い物客はどのように商品を選ぶか──「カテゴリ」の影響について
第7章 買い物客はどのように商品を選ぶか──「習慣化」の影響について
第8章 買い物客はどのように商品を選ぶか──「感情や感覚」の影響について
第9章 ふだん買わないものを買うとき、買い物客はどのように選ぶか
第10章 買い物客はどのように商品を記憶するのか
第11章 これからの買い物はどうなるか
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