【主婦の需要をあなどってはいけない。】
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4785504633
みなさんは、「月刊Mart」という雑誌をご存じでしょうか?
食べるラー油や糀ジャム、「ル・クルーゼ」のブームを仕掛け、主婦向けのカリスマ雑誌として君臨する、男性にはあまり知られていない媒体です。
本日の一冊は、この「月刊Mart」の創刊編集長であり、250万部売れたムック『ビーズ・ニュース』の仕掛け人でもある大給近憲(おぎゅう・ちかのり)さんが、そのヒットの理由と、「主婦の気分」を分析したマーケティング本。
「気分が市場を動かしている」と著者がいうように、確かに最近のヒットは気分から生まれているものが多いのですが、本書では、その「気分」の背景に迫っています。
・「そもそも主婦に見られたくないんですけど」
・「家事は苦痛。だからかわいい雑貨で気分を上げるんです」
・飾るだけのやかんというものがある
・ママ友と行けるから、コストコはテーマパークになる
われわれはつい、「読者は好きだから買う」と思ってしまいがちですが、じつは嫌いな自分でも食べられそうだから、嫌な家事が楽しくなるから、という理由で買うアイテムがある。
この視点は、実際にリサーチしないとなかなか手に入らないと思います。
男性からしたら、「なぜこんなモノが売れるのか」の「なぜ」を明確にし、現在の消費のトレンドを見事浮き彫りにした、注目の論考。
タイトル的に、ビジネス書としては失敗でしょうが、これは「買い」の一冊だと思います。
マーケター、商品企画の担当者は、ぜひ読んでみてください。
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▼ 本日の赤ペンチェック ▼
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メーカーも新商品としてイチ押しというわけではない、バイヤーも瓶詰めとしては価格が高いと躊躇するように見られていた商品、それをMart読者は1位に選んでしまったのです。それが桃屋の「辛そうで辛くない少し辛いラー油」でした
◆2012年に発売されたP&Gの「アロマジュエル」
洗濯のときに使うものですが、洗剤でも、柔軟剤でもありません(中略)単純に洗濯の際、衣類に香りをつけるものです。品名も「衣類用香りづけ剤」という、なんとものんびりした構えの商品。ところが、売れに売れました
「そもそも主婦に見られたくないんですけど」
「家事は苦痛。だからかわいい雑貨で気分を上げるんです」
「かわいい雑貨を買うために、食費を節約しています」
「やり繰りしても、おいしいパンやスイーツは買ってしまいます」
一番象徴的なのが、「ル・クルーゼ」や「ダウニー」を使う前に飾ること。日用品として使うのが日常だとすれば、飾ってディスプレーすることは、自分の家に非日常的な空間をつくりだす演出なのです
どうしてもキャップはピンクでなければならない
いまMartでは、「ママの4時間プロジェクト」という企画を立ち上げています。略して「ママヨン」という言い方をしています。「幼稚園に子供を通わせる主婦が、お見送りとお迎えの間にできた時間をどう自分のために使うか」ということがテーマです
1987年の発売以来、絶大な支持を受け、ホームベーカリーは爆発的なヒット商品となっています。パナソニックの発表によれば、累計生産台数はいままで400万台以上。2005年以降は、この不況の中においても2桁成長を続けています。2011年は総出荷台数が過去最多の79万台にも及んでいることから、多くの世帯にホームベーカリーが普及してきている状況です
監修となってもらえる料理研究家を探すよりも、読者が求めているパン屋のレシピを一つでも多く取り上げること
◆ひと振りするだけで普通の料理が「おもてなしの一品」になる
「ジョニーズ ガーリックシーズニング」
「クレイジーソルト」
「どんなものがいいのか、私たちと同じ目線で、雑誌に紹介してください」
Martという雑誌は、ある意味、この二次創作をできるだけポジティブに捉えることにしました
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『「主婦の気分」マーケティング』大給近憲・著 商業界
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/ 4785504633
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◆目次◆
第一章 主婦は「気分」で買物をする
第二章 主婦は「ママ友コミュニティ」で買物をする
第三章 Mart読者たちの「ヒット&ブーム」
第四章 主婦たちの「気分」のインサイト
第五章 「気分」の共有が市場を変えていく
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