【キャラクター活用が、企業と国家の命運を握る?】
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4140884266
2013年の書籍の市場規模は、7851億円だったそうですが、同じコンテンツでも、これをはるかに超えてくるのが、いわゆるキャラクター商品の小売市場規模。
前年比4.5%の減少とはいえ、何と1兆5340億円です。
最近は、サンリオがライセンスビジネスで成功して業績を伸ばしているようですが、今後、「キャラクター」は、日本が世界に向けてビジネスをする上で、非常に重要な役割を果たすと目されています。
本日ご紹介する一冊は、この日本における「キャラクター」人気の理由と、今後のキャラクタービジネスの可能性を、法政大学社会学部教授で、自称「キャラクター依存症」の青木貞茂さんが述べた一冊。
「ゆるキャラ」ブームの背景から、日本で「むひょキャラ(無表情キャラ)」がウケる理由、成功したキャラクターのバックストーリーなど、さまざまな点から「キャラクター」を論じており、じつに興味深い一冊です。
ちなみに、ハローキティに口がない理由に関しては、こう説明しています。
<「ハローキティ」に口がないことは、嬉しいときには一緒に嬉しがってくれて、悲しいときには一緒に悲しんでくれる存在になるから好都合>とその理由を説明しています。
あくまで社会学的なアプローチであり、ビジネス的視点が少ないのが玉に瑕ですが、広告論・ブランド論を専門とする著者の視点が多少入っており、マーケティングのヒントとしても読めると思います。
小手先のプッシュ型マーケティングが通用せず、かつ共感を得ることが重要な時代、キャラクターの活用は、企業成功のカギを握っていると思われます。
うまく当たれば、ライセンスビジネスも夢じゃない。キャラクタービジネスの可能性を知りたい方は、ぜひ読んでみてください。
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▼ 本日の赤ペンチェック ▼
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成熟を拒否するようになり、未熟が認められる現代のような社会では、人々は完全なものよりも不完全なものに魅力を感じる
江戸時代の代表的戯作者である式亭三馬は、自身がプロデュースした化粧水「江戸の水」の広告のために、自作の「江戸水幸噺」(一八一二年)の中で「おしろいのよくのる薬江戸の水」として登場させました
(1)自己同一化する強い物語のキャラクター=時間型=成長型
(2)自己投影できる弱い物語のキャラクター=無時間型=非成長型
「物語」というのは、もともと「人はなぜ生まれ死ぬのか」「人はなぜ世界の中で意味ある存在なのか」をわからせるために作られたものです。それを「物の怪」、つまりモノが化けて主人公になって楽しく語っていく。モノが語るから物語なのです
「くまモン」が有名になるきっかけとなったシンボル・ストーリーは、大阪でスタートしています。大阪プロレスとコラボし、「おばかタレント」のスザンヌを宣伝部長にして、一緒に吉本新喜劇に出演するなどしました。また、「くまモン」が、知名度アップのために大阪で名刺一万枚を配らなければならないノルマを課せられ、それを苦に失踪したと、熊本県知事が記者会見を行い、ネットで配信したりしました
キャラクターの原画にアウラを感じるという経験をすることは、私たちにはほぼ不可能です。むしろ、あそこでもみた、ここでも接したという認知の広がりが、事後的に原画の価値を決めています
マスメディアでなくても情報発信ができる時代だからこそ、地方のご当地キャラクターが普及した
今や私たち自身が情報を集め、キャラクターを発掘し、育てていく時代なのです。これは、一種の育成ゲームのようなものです
現代日本においては、パリのルーブル美術館に匹敵するような、日本のサブカルチャーを集積したシンボリックな聖地が必要です。そういう聖地があれば、多くの外国人が聖地巡礼を果たすべく、日本にやってくるようになるでしょう
二〇二〇年の東京オリンピックにおいても、クールジャパンのシンボルとしてキャラクターが活躍してほしい
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『キャラクター・パワー』青木貞茂・著 NHK出版
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◆目次◆
第一章 キャラクターに依存する日本人
第二章 キャラクターが持つ力
第三章 「ゆるキャラ」の先祖たち
第四章 武器としてのキャラクター思考
第五章 ブランドの価値とは何か?
第六章 企業のブランドをキャラクター化する
第七章 国家ブランドをキャラクター化する
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