【「好き嫌いで決める会社」の骨太経営】
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名著『小倉昌男 経営学』に、宅急便の祖、小倉昌男氏が岡田社長率いる三越を切った武勇伝が載っています。
※参考:『小倉昌男 経営学』
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経営において、『誰と付き合うか」が大事なのはもちろんですが、同様に、「誰と付き合わないか」も大事です。
なぜなら、「嫌な取引先」は、売上こそ与えてくれますが、利益的にはマイナスになることが多いから。
加えて、従業員の自尊心が傷つけられたり、モチベーションが低下したり、ロクなことがありません。
本日の一冊は、そんな「嫌な取引先」を「切ってよい」と断言した、過激なビジネス書。
著者は、社員20数人の下請け町工場ながら、「無借金経営」「取引先1600社以上」を誇る、中里スプリング製作所の代表取締役社長、中里良一氏です。
「日本一楽しい町工場をめざす」をキャッチフレーズに掲げ、その「非常識経営」でこれまで計655回メディアに登場(2013年8月現在)。
読んでみたら、なるほどタイトルが過激なだけでなく、経営の要点をしっかり押さえた主張であることがわかりました。
中里スプリングには、一番頑張った社員が嫌な取引先を切る制度があるのですが、その代わり、一件切る度に社長が10件の仕事を取ってくるようにしているそうです。
値引きや受注に対するポリシーも明確で、決して相手に依存しない経営を志しています。
・お客様が本当にコスト競争力を高めるためなら協力する
・「他社が◯◯円だから下げてくれ」という値引き要求は断固拒否
・信頼してくれる会社なら、負け戦でも最後まで尽くす
・専用機を導入したり、新たに設備投資をしたりする必要のある仕事は取らない
調子が悪い日は黄色の作業着を着れば適当に休める、「オンリーワン」を尊重するため、同じ名字の社員は採用しない、など、とにかく制度がユニークで面白い。
タイトルだけ見て嫌悪感を感じる方もいると思いますが、主張は極めてまっとうなので、ぜひ読んでみてください。
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▼ 本日の赤ペンチェック ▼
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友達を選ぶとき、学校の部活動を選ぶとき、休日の旅行先を選ぶときなど、いろんなものを決める基準は「好き嫌い」だったと思う。でもなぜか、多くの会社はビジネスにおいては「儲かるか儲からないか」を再優先にしている
1件断ると10件の仕事が減ってしまうなら、先に10件、仕事を取ってくればいいじゃないか
気持ちが貧しくなるような仕事はやめよう
もの作りは、一番プライドが保てる仕事だ。だが、いざ作ったものを売ろうとすれば、プライドが傷つく場面が多い。だから、ウチでは「みんなはプライドが保てる仕事をやってくれ。プライドが傷つく新規営業は、私がやるから」と役割分担をしている
私は「気は心」だと思っているから、お客様が本当にコスト競争力を保つためにコストダウンをしなければならない、なんとかコストを下げたいと望まれるなら、可能な限りその要望に応えたいと思う。
ただし、よその会社と比べて「別の会社は1個10円の見積もりが出ているから、おたくも下げてくれ」といった言い回しをするような取引先からの値引き要求は、断固拒否する
勝ち戦だけを選んで乗るような生き方はしたくない。勝ち戦であろうが負け戦であろうが、信頼してくれたお客様に尽くし抜く。それが、中里スプリングの志だ
資本力のない会社が、「儲かる、儲からない」で仕事を選んでいると、親事業者に利用され、使い捨てにされてしまう
私はこの一件以来、専用機を導入したり、新たに設備投資をしたりする必要のある仕事は取らないと決めた
数の少ないバネの注文は、技術のある職人が1つずつ手作業で作らないと対応できない。だが、規格化すれば熟練工でなくても機械でどんどん作っていける。私は、209種類のバネを「ロングタイプ」といって長いまま作っておいた。お客様が自分で好きな長さにカットして使えるようにしたのだ。緊急事態でバネが必要になったお客様は、ウチのロングタイプを買い、とりあえず応急処置としてカットしたバネを使う。その間に、ウチはそのお客様に「本当に必要な寸法のものを作りましょう」と提案する。こうすると、1つの仕事で2回、商売ができるわけだ
会社の規模は「経営者が幸せにしてやりたい人数」で決めればいい
同じ名字の社員は採用しない
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『嫌な取引先は切ってよい』中里良一・著 角川書店
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◆目次◆
序章 わが社が「嫌な取引先」を切ってよい理由
1章 気持ちが貧しくなる仕事はしない
2章 会社は下請けでも、心は下請けになってはいけない
3章 社員に好きなようにやらせれば社員も会社ものびる
4章 「優秀な社員」はいらない。「好きな社員」だけいればいい
5章 組織や役職も「好き嫌い」で決める
6章 ものづくりは「自由な発想」と「愛情」でうまくいく
7章 月1回の「夢会議」で自分の夢を飛躍させる
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