2013年12月22日

『トップリーダーが学んでいる5年後の世界経済入門』 中原圭介・著 vol.3442

【5年後の世界は?】
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4534051433

本日の一冊は、ビジネスリーダーが知っておくべき今後の世界経済の動向を、エコノミストの中原圭介さんが述べた一冊。

冒頭で<中国への工場移転メリットはすでになくなっている>と述べた上で、人件費上昇や環境問題、反日運動など、いわゆる「チャイナリスク」について述べ、今後はシェール革命で湧くアメリカや、アジアの親日国との関係を強めるべき、と述べています。

企業が海外進出する際、考慮するのは人件費とエネルギーコストですが、この2点において、アメリカが急速に魅力を高めています。

<2013年8月のボストンコンサルティンググループの調査では、アメリカ南部の生産コストは、主要先進国の中で最低水準>。

また、<シェール革命によって、アメリカでの天然ガスの価格は、欧州の3分の1、日本の5分の1程度にまで下がっている>そうです。

大消費地アメリカで安価な労働力とエネルギーが得られる時代に、世界がどう動いていくのか。本書では、著者の見方が示されています。

シェール革命による食糧価格の下落、エネルギー価格の下落による中東、ロシア経済の後退など、世界経済全体に与える影響を、著者独自の視点で分析しており、参考になります。

また、ブラジル経済が抱えるリスクや、欧州が長期低迷する危険性など、海外投資をする人にとっても、気になる論点が示されています。

これまでに出された著作と重なるところもあり、正直、目新しさには欠けますが、最新の世界経済の動向を押さえる上で、参考になる一冊です。

ぜひチェックしてみてください。

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▼ 本日の赤ペンチェック ▼
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中国への工場移転メリットはすでになくなっている

2013年8月のボストンコンサルティンググループの調査では、アメリカ南部の生産コストは、主要先進国の中で最低水準

安いエネルギーコストと人件費に加え、世界最大の消費地に近いというメリットを考えると、今後、世界中の企業が生産拠点を中国からアメリカ南部へシフトしていく

1立方メートルに含まれる直径2.5マイクロメートル以下の超微粒子状物質であるPM2.5の平均濃度は、年平均10マイクログラムが上限とされています。また直径10マイクロメートル以下の「PM10」の平均濃度は、20マイクログラムが上限です。そして、いずれもこれらのガイドラインに示された平均濃度の3.5倍に達すると、長期的な死亡リスクが15%も高くなるといわれています(中略)中国のPM2.5の平均濃度は、都市部で76マイクログラム

シェール革命によって、将来原油は供給過剰になる

今後、中東では、原油が余ってくるでしょう。ロシアでは天然ガスが余ってきます。そのようなことからも、原油価格は、あと1~2年でピークアウトすると思います

今後、バイオエタノール事業に進出した日本企業は、少なからず痛手を被ることになる

電気自動車は売れな。次世代の自動車は燃料電池車だ

ブラジル経済は誰もが予想すらできない危機に襲われる危険性が大なのです。すでに自動車ローンを中心に債務不履行が急増しており、それは小売業や不動産業にも及びつつあります

この先、鉄鉱石の価格が下落傾向に転じることになれば、ブラジルは貿易赤字国に転落してしまう

中国よりも日本びいきの国に投資せよ

これから「民主化」する国にはチャンスがある

グローバル企業が、最後のフロンティアであるアフリカ全土に進出し、アフリカが高成長を達成して人件費が上がってくると、すべての伸びしろを失うことになります。このとき、資本主義の限界がはっきりと見えてくることは避けられないでしょう

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『トップリーダーが学んでいる5年後の世界経済入門』中原圭介・著 日本実業出版社
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/ 45340514331

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◆目次◆

1章 中国は崩壊もありうる
   これからは投資すべきでない
2章 アメリカは製造業大国になる
   エネルギー価格下落を再評価すべき!
3章 世界各国への投資のタイミングはいつか?
   どこの国と付き合うべきか?
4章 「チャイナ・プラス・ワン」から「アメリカ・プラス・ワン」へ
   アメリカは“よいデフレ”によって復活する!
5章 日本はこれからどうするべきか
   グローバル化の中でのリーダーの戦い方
6章 世界で生き抜くために今からできること
   日本の力を活用せよ

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