【赤城乳業の秘密。】
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4267019533
本日の一冊は、「ガリガリ君」で有名な赤城乳業の経営の秘密を、ローランド・ベルガー会長の遠藤功さんが取材した一冊。
2012年の売上高353億円。
2000年に年間1億本を突破した「ガリガリ君」は、2012年には何と年間売上本数4億3千万本を突破しています。
本書では、そのきっかけとなったマーケティングや、ワクワクする仕掛け、商品開発の源泉となっている同社のマネジメントについて、深く掘り下げています。
後継者のために、売上高の半分にあたる大規模投資を行う社長、アイスを作る機械に「あいちゃん」「りょうくん」「スザンヌ」などと愛称をつける現場スタッフ、チャレンジを恐れない社員…。
経営コンサルタントとして数多くの企業を見てきた遠藤氏が、<知れば知るほど、いくつもの新鮮な「驚き」と出会い、ワクワクすることばかりだった>という赤城乳業とは、一体どんな企業なのか。
その詳細が書かれており、読者の知的好奇心を満たしてくれる一冊です。
ガリガリ君を食べるのに、本来スプーンは要らないはずなのにオリジナルスプーン置場を設置したり、真冬の札幌でガリガリ君の着ぐるみを着てアイスの試食会をしたり、とにかくやることが破天荒。
ガリガリ君らしさとは、「元気」で「楽しくて」「くだらない」ことだそうですが、本書で登場するエピソードも、それを伺わせる内容です。
本書によると、乳製品を扱っていない同社が「赤城乳業」となったのは、アイスクリーム大手である「○○乳業」に追いつきたいという思いからだそうですが、もうここからして違う。
人事評価に関しても、部下が上司を評価する制度になっており、本書には、その評価基準が載っています。
◆営業本部の上司の評価基準
S:尊敬している。自分自身の目標の人物である
A:尊敬している。仕事にやりがいを感じさせてくれる
B:学ぶ点は多いが物足りなさがある
C:あまり期待していない
D:早くこの上司から離れたい
商品は知られているのに、会社内部のことはほとんど知られていない不思議な企業、赤城乳業にここまで迫った本も珍しい。
ガリガリ君ファンにも、楽しめるエピソードが満載の一冊です。
ぜひ読んでみてください。
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▼ 本日の赤ペンチェック ▼
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「未来に向けて伸び続けるためには、新工場はどうしても必要だ。よほどのバカな人間じゃないとこんな決断はできない。私の後を継ぐ人間にさせるのは酷だ」井上は未来を見据え、社長しかできない英断を下した。32年前、売上高がわずか40億円の時に、22億円の工場建設を決断した。今回の建設投資は100億円を超える。2007年の売上高は232億円。売上高の2分の1もの大規模投資であるのは、31年前と一緒だった
アイスをつくる機械には、それぞれ名前がつけられている。
「あいちゃん」「りょうくん」「スザンヌ」「イチロー」など、それぞれの現場スタッフの思い入れたっぷりのネーミングだ
ガリガリ君らしさとは「元気」で「楽しくて」「くだらない」ということだ
スーパーのアイス売り場にオリジナルスプーン置場を設置したのも、“小ネタ”のひとつである。「ガリガリ君食べるのにスプーンなんていらないじゃん!」とネット上で話題になった
「ガリガリ君」が国民的アイスキャンディと称される大きなきっかけとなったのは、2010年の日本サッカー協会とのコラボだった。サッカーワールドカップの日本代表と連動し、「ガリガリ君ソーダ SAMURAI BLUE」を期間限定で発売したのだ
たとえ失敗しても“ペナルティ”によって帳消しとなり、通常の人事考課には影響を与えない。むしろ挑戦したことは加点として評価される
質問項目の最後には、きわめてストレートな質問が用意されている。それは「あなたの上司を評価すると?」という質問だ。回答の選択肢として、営業本部では次の5つが用意されている。
S:尊敬している。自分自身の目標の人物である
A:尊敬している。仕事にやりがいを感じさせてくれる
B:学ぶ点は多いが物足りなさがある
C:あまり期待していない
D:早くこの上司から離れたい
「会社のため」を考える前に、「自分のため」をまず考える。自分を知り、自分を好きになり、目の前の仕事を好きになる。それができれば、そうした「場」を与えてくれている会社という組織にも愛着が湧くはずである
難しい意思決定をドライブするのは、間違いなく「未来への責任」である。未来を見据える経営者に、人はついていくのである
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『言える化 「ガリガリ君」の赤城乳業が躍進する秘密』遠藤功・著 潮出版社
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4267019533
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◆目次◆
プロローグ こんなに面白い会社がまだ日本にはあったんだ!
第1章 躍動する若者たち
第2章 「強小カンパニー」への道程
第3章 ドリームファクトリーの建設
第4章 「ガリガリ君」大ブレーク!
第5章 「言える化」こそ競争力
第6章 自分のために働け
第7章 躍動する若者たち、再び
エピローグ 「アイス」の会社は「愛ス」の会社
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