【驚くほど実践的な相続本】
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4140884193
本日の一冊は、スタッフ全員が資産税のプロという、資産税専門のコンサルティングファーム、タクトコンサルティングの代表社員による一冊。
『大相続時代がやってくる』と、未来予測のようなタイトルがついていますが、じつは驚くほど実践的な本で、相続税のことが、対策も含めよくわかる内容となっています。
「うちは財産が少ないから相続税なんて関係ないよ」という方もいらっしゃると思いますが、実際はそんなに簡単なものではありません。
本書によると、裁判で争った相続事案のうち、財産総額で5000万円以下のケースが全体の70%強を占めているそうで、お金がない場合でも、備えておく必要がありそうです。
平成25年の税制改正のポイントを踏まえながら、どうすれば相続税の負担を軽くできるのか、どうすれば遺族の争いをなくすことができるのか、物質・精神両面での対策を説いており、じつに参考になります。
通帳で被相続人の財産総額をざっくり理解する方法や、「配偶者の税額軽減」の話、土地が一つしかない場合にもめない方法、小規模宅地の評価減を受けるためのポイント、遺言書の「付言」を利用して泥沼の「争続」を避ける方法など、まさに相続にあたって知りたいことが書かれています。
また、中小企業経営者におすすめな、アパートを使った節税法やタワーマンションを使った節税法、「デット・エクイティ・スワップ」(会社にとっての借入金を資本に振り替える方法)など、具体的な手法も書かれており、これ一冊で大体の悩みは解消できるはずです。
たくさんの相続現場を見てきた著者ならではのエピソードやノウハウが光る一冊。
分厚い相続本を読む前に、ぜひチェックしておきたい一冊です。
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▼ 本日の赤ペンチェック ▼
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相続放棄の申告は、相続の開始日(=通常は死亡日)から三ヶ月以内にしなければならない
土地が一つしかない場合には、たとえ小さくなっても等分して単独所有にしたほうがいい
◆特定事業用宅地
個人商店に後継者がいて事業を続けていく場合に限り、その土地の評価額を80%減にしてくれる制度
◆特定居住用宅地
家族が継続して自宅に居住することを条件に、80%の評価減
遺言書の内容にからめて、相続割合を決めた理由を書き添えておくといい
手堅い証拠になるのが、贈与税の申告書です。ただし、贈与税の申告書は、基本的には納税義務がある人しか提出できません。
ですから、基礎控除を超えない額、たとえば100万円の贈与では申告できないわけです。そこで、世間一般的に使われているテクニックが、111万円とか120万円などのように、基礎控除額をわずかに上回る贈与
寄付の場合には相続税などがかかりません
アパートを建てると節税になるというのは紛れもない事実
評価額を下げられる固定資産があることで、相続税の計算上、有利になる
相続対策としての効果が圧倒的に大きいのは、タワーマンションの購入(中略)同じ一億円を投資するのであれば、小さい土地に建っている大きな建物を取得するほうが有利
もし、社長からの運転資金の借入や未払い給与がある状態で社長が亡くなった場合、会社に対する貸付金や未収の給与は、社長の財産としてカウントされます
◆社長(故人)が会社に貸し付けをしていた場合に、遺族の税 負担をなくす方法
1.デット・エクイティ・スワップ
会社にとっての借入金を資本に振り替える方法
2.息子がお金を会社に貸し付けて、そのお金で父親の貸付金を返済してしまう
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『大相続時代がやってくる』田中陽・著 NHK出版
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4140884193
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◆目次◆
第一章 知らないと損をする相続の常識
第二章 なぜ相続はモメてしまうのか
第三章 財産の健康診断をしよう
第四章 遺言書のすすめ
第五章 賢い相続のテクニック
終章 六〇歳ではじめる相続対策
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