【意思決定を成功に導くWRAPプロセスとは?】
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4152094036
本日の一冊は、150万部ベストセラー『アイデアのちから』で、記憶に残るアイデアの法則(=SUCCES)を提唱し、話題となったチップ・ハース、ダン・ハース兄弟による期待の新刊。
※参考:『アイデアのちから』
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4822246884
今回のテーマは、意思決定ということで、人間が陥りがちな罠を避け、正しく意思決定する方法を説いています。
本書によると、意思決定には4つの罠があり、われわれのほとんどは、賢い人も含め、この罠にハマってしまいます。
◆意思決定の4つの罠
1.視野の狭窄(きょうさく)
2.確証バイアス
3.一時的な感情
4.自信過剰
ひとつずつ説明すると、まず「視野の狭窄」とは、ほかの選択肢を丸ごと無視して、ひとつの選択肢にスポットライトを当てる傾向のこと。
具体的には、<「どこにお金を使えば家族の暮らしが豊かになるか?」と考える代わりに、「新しい車を買うべきか否か?」と考えてしまう>思考のことです。
「確証バイアス」というのは、真実を求める代わりに確証を求めてしまう傾向のことで、結果、われわれは真実ではなく、自分の信念を裏付ける証拠を探してしまいがちです。これが2番目の罠です。
3つ目の「一時的な感情」は、感情のせいで大局的な視点を欠くことですが、インテルのアンディ・グローブは、ここに「後継CEOならどうするか?」という視点を持ち込んで、メモリー事業からの撤退を成功させました。
最後の「自信過剰」は、自分の未来予測が正しいと思い込むことで、本書には、この自信過剰のせいで電話の特許を買い損ねたウェスタン・ユニオン電信会社社長のウィリアム・オートン、ビートルズをオーディションで落としたデッカ・レコードの敏腕スカウト、ディック・ロウの残念なエピソードが紹介されています。
では、われわれはどうやってこの4つの罠から抜け出せばいいのか? 本書には、そのための「WRAPプロセス」が紹介されています。
W(選択肢を広げる Widen Your Options)
R(仮説の現実性を確かめる Reality-Test Your Assumptions)
A(決断の前に距離を置く Attain Distance Before Deciding)
P(誤りに備える Prepare To Be Wrong)
Aは若干無理がありますが(笑)、この4要素で、意思決定の確度が上がるのは、間違いなし。
意思決定にまつわる、さまざまな実験結果、研究成果も併せて楽しめる、興味深い一冊です。
ぜひチェックしてみてください。
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▼ 本日の赤ペンチェック ▼
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どんなに分析が優れていても、意思決定のプロセスで公平な話し合いの機会が与えられていないと、意味がない
直感が正確なのは、十分な訓練を受けた分野だけだ
一九九三年、ナットがこの手間のかかる方法で一六八の意思決定を分析したところ、驚くべき結論が出た。彼の調査したチームのうち、ふたつ以上の選択肢を考慮していたのは二九パーセントにすぎなかった
別の選択肢があることをほんのちょっと匂わせるだけでも(「このお金で別のものが買えますよ」)、購入判断を改善するには十分なのだ
並行作業を行なったデザイナーの広告は、雑誌の編集者や広告のプロからの評価が高く、実際のテストでもウェブサイト上のバナー広告のクリックスルー率が高かった
マルチトラッキングのメリットを得るには、有意に異なる選択肢を生み出さなければならない
人生で「AかBか」と迷ったら、答えは「両方」かもしれないと考えるずうずうしさが必要だ
視野の狭窄を抜け出すには選択肢が必要だ。そして、新しい選択肢を生み出すいちばん基本的な方法は、自分と同じ問題を解決した人を見つけるというものだ
「誰が正しいかなんて議論するのはやめよう。むしろ一つひとつの選択肢について、この選択肢が正解であるためにはどのような条件が必要かを考えてみよう」(ロジャー・マーティン)
信頼できる情報がほしいなら、専門家を見つけろ。ただし、訊くのは過去と現在の話だけにとどめよ。未来については訊いてはいけない
私たちは他人にアドバイスするときの方が、最重要な要因に注目しやすい
核となる優先事項を貫く
未来を“幅”で考えなければ、私たちのスポットライトは未来の出来事の“最善の予測”へと固定されてしまう
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『決定力!』チップ・ハース、ダン・ハース・著 早川書房
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◆目次◆
第1章 意思決定の四つの罠
第2章 視野の狭窄を避ける
第3章 マルチトラックする
第4章 自分と同じ問題を解決した人を見つける
第5章 逆を考える
第6章 ズームアウトとズームイン
第7章 ウーチングする
第8章 一時的な感情を乗り越える
第9章 核となる優先事項を貫く
第10章 未来を“幅”で考える
第11章 アラームをセットする
第12章 プロセスを信じる
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