【ラフリーが語る、P&G躍進の秘訣】
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4023312258
本日の一冊は、世界最強の消費財メーカー、P&Gの中興の祖として、売上を2倍、利益を4倍にしたA・G・ラフリーが、Thinkers50に選ばれた経営学者のロジャー・L・マーティンと共著でまとめた一冊です。
企業が勝つためにどうすればいいか、成長が鈍化した時、どのようにして次の手を打てばいいか、戦略立案の基本的な考え方が書かれています。
著者らによると、多くのリーダーは、戦略をビジョンと定義したり、計画と定義したり、旧来の方法の改善と定義したりして、悪手を指してしまう。
では、戦略とは、一体どう考えるべきものなのでしょうか?
著者らによるシンプルな回答は、以下の言葉に集約されます。
<戦略の核心は勝利であるべきだ。私たちの表現によれば、戦略とは調和し統合された五つの選択である。勝利のアスピレーション(憧れ)、戦場選択、戦法選択、中核的能力、そして経営システムである>
本書では、この5つの選択において、P&Gが何をどうやってきたか、実例を紹介しながら論を進めています。
「オレイ」ブランドの再生、ファイン・フレグランス事業の成功、世界的大成功を収めたSK-IIブランドの展開…。
読者は、これらの事例を読みながら、P&Gのマーケティングの秘訣や、問題解決プロセスを学ぶことができます。
著者らによれば、P&Gが今日の大成功に至ったのは、以下の5つの能力があるからだそうですが、本書を読めば、その強さが実感できると思います。
◆P&Gを独自の存在にした5つの能力
1.消費者知見
2.イノベーション
3.ブランド・ビルディング
4.市場攻略能力
5.グローバルな規模
ぜひチェックしてみてください。
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▼ 本日の赤ペンチェック ▼
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戦場とは、競争の場を絞り込む一連の選択を意味している。どの市場で? どんな消費者をめぐって? どんな流通チャネルで? どんな商品カテゴリーで? そして業界のどんな垂直的段階で? などである。この一連の問いが重要である。どんな会社も、全ての人にとっての全てのものにはなれず、だからどの戦場を選べば最も確実に勝てそうかを理解しなければならない
アジアのベビーケア市場は、非常に理に適っていた。見通し得る将来、世界の大半の新生児はアジアで生まれるからだ。洗剤や美容品も、ブランド価値、規模、消費者の好みなどの点で、新興市場向きだった。だからP&Gは、これら三つのカテゴリーでアジア市場参入を試み、それを果たした。二〇一一年、全社の総売り上げの三五%は発展途上国で得ている
P&Gでは、戦場選択は消費者の実像を探ることから始まる。何を欲し、何を必要としているのか? 彼女たちを顧客として勝ち取るために、その正体を知る投資は惜しまない。(中略)現CEOボブ・マクドナルドの説明によれば、「きれいごとは言いません。消費者理解では、深く掘り下げ、日常生活をしっかり見ます。当社が力になれる問題を懸命に探します。そこからビッグ・アイデアが生まれてくるのです」
フレグランス業界のもう一つの通り相場は、女性用の高級商品セグメントが主戦場であることだった。P&Gは最大手企業と正面衝突するのではなく、最も意外な、そのため抵抗が少ないところから攻めることにした。ヒューゴ・ボスで男性用香水市場を攻め、またラコステなどと提携してより若くスポーティーなイメージで切り込むことだ。儲かる女性向け市場をファッション・ブランドで攻める競争相手とは違うやり方だった。別の
戦場と戦法を選んだことで、彼らの戦略やビジネスモデルを攻められるようになり、能力開発につながり、勝機が見えてきた
競争相手と協力して競争のない分野でトップに立つやり方は、大きな意味を持ち、タイド・ドライクリーニング事業のような斬新なパートナーシップなどの類例を生んだ
成功する戦略は全て、低コスト戦略か差異化戦略のいずれか
効果測定をうまくやるには、期待する効果を事前にはっきりさせておくことだ
私がP&G生活を通じて学んだ最大級の教訓の一つは、簡潔さと明快さである。より明快で簡潔な戦略ほど、より良く理解され、定着しやすいため、成功の見込みが高いのだ。端的に言い表わせる戦略の方が、力を生みやすく、やる気を促す(ラフリー)
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『P&G式 「勝つために戦う」戦略』A・G・ラフリー・著 朝日新聞出版
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4023312258
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◆目次◆
序論 戦略の本当の働き
第1章 戦略とは選択である
第2章 勝利とは何か
第3章 どこで戦うか(戦場)
第4章 どう戦うか(戦法)
第5章 強みを生かす
第6章 管理システム
第7章 戦略を考え抜く
第8章 勝機を高める
結び 勝利への飽くなき追求
補遺A P&Gの業績
補遺B 戦略のミクロ経済学と二つの勝ち方
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