2013年9月22日

『人を感動させる仕事』前刀禎明・著 vol.3351

【アップル、ディズニーで学んだこと】
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4479794085

本日の一冊は、ソニー、ベイン・アンド・カンパニー、ウォルト・ディズニー・ジャパン、AOLジャパンを経て、ライブドアを創業、2004年にはアップル・コンピュータのマーケティング担当バイスプレジデントと日本法人代表取締役を兼務した著者が、「価値創造」の本質を述べた一冊です。

人を感動させるアイデアや製品を生み出すには、どんな考え方をすればいいのか、著者の持論が述べられた、興味深い論考です。

出版の現場にいると、いわゆるアイデア発想力に長けた人というのがいて、その他大勢の仕事を凌駕する実績を出している。

みんなそれぞれ、本気で良いと思ったものを世に出しているわけだから、これはもうセンスの違いだろうと勝手に思い込んでいたわけですが、このコメントを読んで、考え方を改めました。

<一つのアイデアしか浮かばない人には、何が正しくて何がダメなのか、なぜそのアイデアが使えないのか、どこが無駄なのかはわかりません。アイデアが10、20、あるいは100思い浮かぶ人になって、ようやくどれが必要でどれが要らないかという違いがわかってきます>

そう、これはおそらく、選択肢の数の問題なのです。

では、アイデアの数を増やすにはどうしたらいいか。

そこで使えるのが、本書で提案している「発散思考」です。

発散思考では、論理性や関係性を考慮に入れず、とにかくさまざまなものを取り込んでいく。

そして、これを「収束思考」によって結びつける。アイデア発想の王道ですが、確かにこれで、選択肢の数は増えます。

あとは、これをどう、独自のアイデアにつなげるか。

著者はそのために五感で「体験」することの重要性を説いています。

日本でiPodを普及させた張本人が、「道を歩きながらiPodを聴くな」というのが面白いですが、それほど、語感を閉ざすことの弊害が大きいということなのでしょう。

本書にはほかにも、クリエイティブな仕事をするための心構えや、未来を創るためのヒントがたくさん書かれています。

<何かを加えるのではなく、逆に引き算できることはないか>
<こんなものがあるべきだ>
<未来に対するイマジネーション>

ぜひ読んで、良い刺激を受けてください。

本書には、著者が影響を受けた、スティーブ・ジョブズやウォルト・ディズニー、大賀典雄などの言葉も紹介されており、読み物としても、自己啓発書としても楽しめる内容です。

ぜひチェックしてみてください。

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▼ 本日の赤ペンチェック ▼
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一つのアイデアしか浮かばない人には、何が正しくて何がダメなのか、なぜそのアイデアが使えないのか、どこが無駄なのかはわかりません。アイデアが10、20、あるいは100思い浮かぶ人になって、ようやくどれが必要でどれが要らないかという違いがわかってきます

道を歩きながらiPodを聴くな

消費者が潜在的に求めているもの、何となく「欲しい」と思っているものを、「これでしょうか?」と形にしてみせ、「そうそう! それが欲しかったんだ!」という共感と感動を買い手に呼び起こし、購入への行動を促すのが、エンパサイザー組織や社会にエンパサイザーを標準装備すべき時代

途方もない目標を楽しむ山師になれ

成功するために本気で取り組み、挑戦し、それでも失敗した。いわゆる「本気の失敗」をするべきだと僕は思っています。悔しい思いをするからこそ、「いったい何が悪かったのだろう?」「次こそ成功するぞ!」と真剣に学ぶことができます

技を盗むというのは、「観察・質問・実験」のサイクルを何度も繰り返し、いろいろ試行錯誤を取り入れながら技術を体得していくこと

大切なのは「欲求・努力・喜び」のプロセス

スティーブ・ジョブズは、「製品を売るな、夢を売れ」と言い続けました

ルールや基準が変わってしまうと、それまでのものが一気に陳腐化することがある

発想の原点は、あるモノやコトが目の前に提示されたときに、そこに何かを加えるのではなく、逆に引き算できることはないか

スティーブも、「今、手元にある技術で何ができるか」という発想ではなく、常に「こんなものがあるべきだ」というビジョンありきの考え方でした

「未来に対するイマジネーション」こそ数字に勝つ

マジョリティもマイノリティも一時の状態に過ぎない

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『人を感動させる仕事』前刀禎明・著 大和書房
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4479794085

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◆目次◆

第1章 最初に考えるべきこと
第2章 自分だけの基準を持つ
第3章 「-1+i」を手に入れる
第4章 モメンタムを巻き起こす

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