【目標額1兆円!セブンのPB戦略とは?】
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4023312207
本日の一冊は、年間10億円以上売るアイテムが92アイテム(2012年度)、既に4900億円の市場規模になっているという、セブン&アイ・ホールディングスのPB(プライベート・ブランド)を徹底研究した一冊。
著者は、雑誌「販売革新」の編集長、「商業界」の取締役編集局長などを経て独立した緒方知行氏と、月刊誌「2020 Value Creator」の編集長、田口香世氏。
目標金額1兆円。安売りせずにバリューを売るセブンプレミアム(セブン&アイ・ホールディングスのPB商品)の考え方、競争力の源泉に迫った、興味深い一冊です。
ホテル仕様のふわふわのタオル、大ヒット商品「金の食パン」、既にトータル1億杯の商いとなっている「セブンカフェ」…。(厳密には、カフェはセブンプレミアムではない新サービス)
実際に利用されている方が、数字を見たら、その規模にビックリするのではないでしょうか。
PB商品といえば、先日ご紹介した『情熱商人』にも、ドン・キホーテの安田会長のPB戦略が書かれていました。
※参考:『情熱商人』安田隆夫・著 月泉博・編著 商業界
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/478550451X
同書によると、これからのマーケット拡大に必要なのは、海外市場とプライベート・ブランド。
どうやらPBは、これからの国内小売業の成長のカギを握る、重要なファクターと言えそうです。
では、セブンプレミアムの開発は、どのようにして進められているのか。もちろんすべてを知ることはできませんが、紹介されていて興味深かったのは、誰でもヒット商品が作れるという、「マーチャンダイジング・プロセスシート」の存在でした。
「マーケティング」のステージから始まり、「仮説設定」「商品開発」「価値訴求、価値伝達」、最後に「検証」へとステージが進むシート。どうやらここにPB商品開発のヒントがありそうです。
もちろん、こうした取り組みによって、ナショナル・ブランドを抱える従来のメーカーと緊張状態に陥るのは必至。(本書を読む限り、今のところうまくやっているようですが…)
メーカーにとっても、小売り企業がどんな手を打ってくるのか、知る上で貴重な一冊だと思います。
ぜひチェックしてみてください。
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▼ 本日の赤ペンチェック ▼
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大規模流通企業同士の競争になると、互いにスケールメリットを武器とするので、中規模や小規模と競争するのと違って、これが決定的な差別化の武器とはならなくなる。結局、その安売り競争は、互いに利益なき繁栄を競い合う形になってしまう。ここで論理的必然性として登場してくるのが、他では売っていない、独自商品──オリジナル商品を持って、他との競争上の差別化策を追求することだ
6割の人たちが価格を求めているからといって、皆そこに殺到し、安売り競争に明け暮れ、PBもその発想のもとでつくられている。しかし、そのなかで、誰も目を向けようとしないから、4割のほうはがら空きとなっている
今や定番となった人気のロングセラー商品に、セブン-イレブンのメロンパンがあるが、これは1994年に初めて売り出されてから、なんと18回以上もリニューアルが繰り返されている
◆専用工場での生産の三つのメリット
1.専用の優れた原材料で商品がつくれる
2.専用の生産設備へのイノベーション投資が可能となり、自身が求める高い品質レベルの商品の生産が、高い効率で可能になる
3.専用のレシピによって、商品の生産ができる
セブン-イレブンの場合、だいたい100~120店で一つの専用工場
高い専用工場比率に代表されるような、整備された事業インフラを持つことによって、セブン-イレブンは、差別化された商品の開発が可能になる
「人気があって売れているものほど飽きが早い」(鈴木敏文氏)
開発したもののリフレッシュ、リニューアル(中略)セブンプレミアムでは、そのための体制を持っている。「プレミアムライフ向上委員会」というサイトがそれである。インターネットを利用したモニタリングで、お客さまの声を聞いて、絶えざる商品革新を進めていくための仕組みだ
セブンプレミアム商品は、セブン-イレブンのために開発されたPBではない。セブン&アイ・ホールディングスのPB商品として開発されたものである。それが、直近の2013年2月末で終わる2012年度決算時点で、このPB商品の総販売額のなんと約75%を、セブン-イレブンが売っている
店頭で食べてみて、試しに2枚切りを買って帰ったお客さまが、リピーターになって次は6枚切りを買っていく──そのような購買行動が多く見られた
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『セブンプレミアム進化論』緒方知行、田口香世・著 朝日新聞出版
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4023312207
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◆目次◆
第1章 鈴木敏文会長インタビュー 価値あるものは必ず売れる!
第2章 PB商品の歴史をたどる
第3章 セブンプレミアム商品開発の原点
第4章 プロジェクト、始動
第5章 マーチャンダイジング・プロセスシート
第6章 協働・協創相手を選ぶ、支える
第7章 絶えざる商品革新
第8章 商品の価値伝達・訴求の工夫と実践
第9章 お客さまの心をつかむヒット商品開発事例集
第10章 売上高1兆円を目指して──セブンプレミアムの進化は進む
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