http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4106105209
『反省させると犯罪者になります』。
先日、たまたま休暇で訪れた岐阜県大垣市の小さな書店で、思わず手に取ったのがこのタイトル。
著者は、臨床教育学博士で、立命館大学産業社会学部教授。現在、殺人などの重大な犯罪を犯した受刑者が収容されている刑務所で、更生のためのプログラムを実施している先生です。
本書によると、人間は悪いことをした時、「後悔」が先で、「反省」はその後。
にもかかわらず、そこで無理に反省を求めたり、「被害者の気持ちになれ」と迫ると、かえって再犯を促進する可能性があるのだそうです。
著者が調べたところによると、ほとんどの受刑者は、被害者に対して否定的感情を持っており、また「迷惑をかけた人リスト」を作らせても、被害者の名前ではなく、父母を挙げる。
スポーツやビジネスの現場でスパルタ教育をしている方には驚きかもしれませんが、<「反省文」は抑圧を生む危ない方法>なのだそうです。
では、人を更生させるには、一体何から始めればよいか。
本書には、その詳細が書かれています。
ちょっとだけヒントを言うと、まずは、反省させるのではなく、相手に不満を語らせること。
そこから相手の内面の問題に迫っていくのが、良いようです。
教育で悩む先生やマネジャー、親、コーチなどに、ぜひおすすめしたい一冊です。
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▼ 本日の赤ペンチェック ▼
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「後悔」が先、「反省」はその後
研究結果をみると、「迷惑をかけた人リスト」の上位に被害者を記した者は少なく、「予想外であったが約8割の少年は、被害者よりも父母や友人を上位に挙げている」
受刑者は自分自身が殺めた被害者に対して否定的感情をもっている
「反省文」は抑圧を生む危ない方法
言い方は悪いですが、私たちは子どもの問題行動を歓迎しています。なぜなら問題行動とは、「自己表現」の一つだからです
人は、自分がされたことを、人にして返すものです。優しくされれば、人に優しくすることができます。冷たくされると、人に冷たくしたくなります。そう考えると、人を傷つける人は、自分自身が傷ついていると理解できます。自分自身が傷ついているから、自分自身を大切にできないのです
素直に自分の気持ちを言えない人は、他者との間で良い人間関係をつくれなくなります。素直になれないということは、人に心を開かないということです。心を開かない人間に対して、他者は心を開いてくれません。ここに人間関係がうまくつくれない要因があるのです
人は、自分のことを理解してくれる人を、常に求めています
反省は「自分の内面と向き合う機会」を奪うこと
キャンベル共同計画によると、被害者の心情を理解させるプログラムは、驚くべきことに、再犯を防止するどころか、「再犯を促進させる可能性がある」という結果を報告しています
自己イメージを低くしていくと、社会に出てから他者との関わりを避け、孤立していく
刑罰は長ければ長いほど、罪は重ければ重いほど、それだけ人を悪くしてしまう
「被害者の視点を取り入れた教育」、すなわち被害者の心情を理解させ反省させる教育は、逆に受刑者の感情を抑圧させる方法になっている
自分の心の痛みに気づくことから真の反省が始まる
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『反省させると犯罪者になります』岡本茂樹・著 新潮社
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4106105209
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◆目次◆
第1章 それは本当に反省ですか?
第2章 「反省文」は抑圧を生む危ない方法
第3章 被害者の心情を考えさせると逆効果
第4章 頑張る「しつけ」が犯罪者をつくる
第5章 我が子と自分を犯罪者にしないために
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