【生き方の常識が変わる本】
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4041105129
本日の一冊は、ベストセラー『デフレの正体』で知られる藻谷浩介さんと、NHK広島取材班が、「課題先進国を救う究極のバックアップシステム」を提案した一冊。
行き過ぎたマネー資本主義を見直し、<「仕方がない」とあきらめていた支出を疑い、減らしていけば、「豊かさ」を取り戻すことができる>という主張で、具体的にはエネルギーやモノの購入を見直すアイデアが展開されています。
製材工場から出る木くずを圧縮し、円筒状にぎゅっと固めた「ペレット」を燃料とする試み、さらには自分たちで発電し、場合によっては売電する試みまで、これまでの常識を打ち破る試みが次々紹介され、まさに「目からウロコ」の内容です。
個人的に興味深かったのは、「直角に張り合わせた」ことで、鉄筋コンクリート並みの強度を実現するという、CLT(クロス・ラミネイティッド・ティンバー)。
木造で9階建てのビルが建てられるということで、今後、注目が集まりそうな気がしました。(これを使えば、快適な住環境が実現でき、さらにエネルギー量が減ることが予想されます)
著者が言うように、過度な分業と交換は、かえって人々を貧しくします。
<リカード的分業は、各自の守備範囲を明確に区分けすることができて、かつその守備範囲に重複がなく空白部分もできない、という条件が整った場合にはセオリー通りに有効>
まして、円安が進む今、エネルギーや食料を海外に頼らず、ある程度自給自足するというのは、生活の安心を得る上でも、重要なことだと思います。
生き方の一つのチョイスとして、ぜひ読んでおきたい一冊です。
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▼ 本日の赤ペンチェック ▼
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グローバルな経済システムに組み込まれる中で、「仕方がない」とあきらめていた支出を疑い、減らしていけば、「豊かさ」を取り戻すことができる。そして経済が「我々のもの」になっていくのだ
そもそも老後を豊かに暮らすためには、みんながみんな、例外なく、年金をもらうしかないのだろうか。「晴耕雨読」でいいではないか
「原発一基が一時間でする仕事を、この工場では一ヶ月かかってやっています。しかし、大事なのは、発電量が大きいか小さいかではなくて、目の前のものを燃料として発電ができている、ということなんです」
不必要な経費、つまりマイナスをプラスに変えることによる再建策もある
製材工場から出る木くずは先に述べたように年間四万トン。実は、発電だけでは使い切れない。そこで思いついた使い道が、また革命的だった。かんなくずを直径六または八ミリ、長さ二センチほどの円筒状にぎゅっと固めて、燃料として販売することにしたのである。木質ペレット、もしくは単にペレットと呼ばれる
私たちが取材した時点で、灯油一リットルはおよそ八〇セント。これに対し、同じ熱量分のペレットは、半分のおよそ四〇セント。つまり、ペレットは石油の倍のコストパフォーマンスを発揮できる
林業の哲学は「利子で生活する」ということ
その名もCLT。クロス・ラミネイティッド・ティンバーの略で、直訳すると、「直角に張り合わせた板」だ。それがどうしたのか。実は、たったこれだけのことで、建築材料としての強度が飛躍的に高まるのだという(中略)CLTで壁を作り、ビルにしたところ、鉄筋コンクリートに匹敵する強度を出せることが分かったのである
加工貿易立国モデルが、資源高によって逆ザヤ基調になってきている
リカード的分業は、各自の守備範囲を明確に区分けすることができて、かつその守備範囲に重複がなく空白部分もできない、という条件が整った場合にはセオリー通りに有効
地域の赤字は「エネルギー」と「モノ」の購入代金
真の構造改革は「賃上げできるビジネスモデルを確立する」こと
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『里山資本主義』藻谷浩介、NHK広島取材班・著 角川書店
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4041105129
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◆目次◆
はじめに 「里山資本主義」のススメ
第一章 世界経済の最先端、中国山地
──原価ゼロ円からの経済再生、地域復活
第二章 二一世紀先進国はオーストリア
──ユーロ危機と無縁だった国の秘密
中間総括 「里山資本主義」の極意
──マネーに依存しないサブシステム
第三章 グローバル経済からの奴隷解放
──費用と人手をかけた田舎の商売の成功
第四章 “無縁社会”の克服
──福祉先進国も学ぶ“過疎の町”の知恵
第五章 「マッチョな二〇世紀」から「しなやかな二一世紀」へ
──課題先進国を救う里山モデル
最終総括 「里山資本主義」で不安・不満・不信に訣別を
──日本の本当の危機・少子化への解決策
おわりに 里山資本主義の爽やかな風が吹き抜ける、二〇六〇年の日本
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