【ディズニーランドを経営的に見ると?】
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本日の一冊は、ディズニーアニメをこよなく愛するという公認会計士の著者が、ディズニーランドを「会計」の視点から分析した、異色のビジネス書。
最大手外資系コンサルティングファーム「ローズ社」に入社したいディズニーマニアの主人公・神田美姫が、東京ディズニーランドで行われるローズ社の最終面接に挑む、というストーリーです。
最終面接の課題は、ディズニーランドにかかわるさまざまな数字を、「フェルミ推定」で導くという、いかにもコンサル的な課題。
具体的には、こんな質問が出されています。
「ディズニーランドの1日の来園者数を答えろ」
「USJ975万人に対し、ディズニーランド、ディズニーシーの来園者の合計が2750万人である理由」
「1日の客単価」
「オリエンタルランドの経営者の報酬」
「ディズニーランドの借金はどのくらい?」
主人公の美姫は、これらの問題を、面接官である「野獣」の助けを借りて解いていくわけですが、この思考プロセスを学べるのは、ストーリーものならでは。
将来起業する方、親の跡を継いで経営者になる方にとっては、良いトレーニングになると思います。
最終的には、損益計算書、貸借対照表、キャッシュフロー計算書という、いわゆる財務三表の基本をスッキリ理解できるようになっており、会計の入門書としても重宝します。
ストーリー的には、人間観が浅い、単純すぎるなど、突っ込みどころはたくさんあるのですが、勉強のツールとして考えると、なかなか面白い本だと思います。
ディズニーが好きな人もそうでない人も、ぜひチェックしてみてください。
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▼ 本日の赤ペンチェック ▼
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「では正解を言おう。2013年3月期の平均単価はチケット収入4483円、商品販売収入3860円、飲食販売収入2259円、合計1万601円だ」
「ディズニーで働きたい人はいくらでもいる。供給が多いから、給料は上がりにくい。それが現実だ。高い給料をもらいたければ、供給が少ない分野を狙わなきゃ」
「オリエンタルランドが一番多く持っているのはJR東日本の株だが、同じ時期に、JR東日本もオリエンタルランドの株を持っている。つまり、お互いの株を保有し合っているんだ」
「わかった! ハウス食品といえばカレーね! スポンサーになれば、広告宣伝だけじゃなくて、自社商品をパーク内で提供できるのね。お客さんが多いから、ここに出店すれば売上も伸びるはず」
「これはオリエンタルランドのおおまかな沿革だ。上場から2年後にディズニーシーとその付属ホテルの建設に着工、3年でオープンにこぎつけたのは、単なる偶然ではない。ディズニーシーとホテルミラコスタをつくるのにかかったお金は3000億円以上。オリエンタルランドは上場して市場から1405億円も調達している。それですべてを賄えるわけではないが、大きな資金源となったのは間違いない」
「売上と費用はお金の出入りの一部をとらえたものにすぎない。本当のお金の動きを知りたければ、キャッシュフロー計算書を見ることだ」
「売上が変動するなら、そのための費用も変動費にしたほうが合理的だ」
「忘れちゃいけないのは、本当に大事なものはつねに固定費だということだ」
「資産を見るときはな、それにひもづく負債もあわせて検討することが大事なんだ」守男は重大な秘密を打ち明けるかのように、もったいぶった口調で言った。「ウチのような規模だと資金に余裕があるわけじゃないから、設備投資をするときは、銀行からの借入に頼らざるを得ない。だから、新規投資で資産が増えたぶんだけ借金も増える」「資産と負債はまさに表裏一体ということですね」
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『ディズニー魔法の会計』秦美佐子・著 中経出版
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◆目次◆
第1話 なぜディズニーランドはいつも満員なのか?
──「売上」を支える立地・顧客・客単価
第2話 夢の国の維持費はいくらか?
──「コスト」からわかる経営の実像
第3話 夢の国の建設費はいくらか?
──着実な「投資」で「資産」を増やす
第4話 夢の国は借金だらけ?
──資金調達手法のメリット・デメリット
第5話 縮小する業界で生き残る方法
──シングルソース・マルチユース戦略
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