【ヤマト流、市場拡大の方程式】
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4822274187
本日の一冊は、日経ビジネスの人気連載「経営教室」を書籍化したもの。
先日ご紹介した、マクドナルドCEO原田泳幸氏の『成功を決める「順序」の経営』と、同じシリーズの一冊ですが、個人的にはこちらの方が発見がありました(原田さんの本を読み過ぎているせいかもしれませんが)。
※参考:『成功を決める「順序」の経営』
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4822274195
今回、講師(著者)を務めるのは、ヤマトホールディングス社長の木川眞さんです。
ヤマトホールディングスといえば、カリスマ経営者・小倉昌男氏が宅急便市場を切り拓いて以来、国内外のマーケットを次々と開拓してきている進取の気性あふれる企業。
ゴルフ宅急便、スキー宅急便、クール宅急便、そして最近では、高齢者向けの御用聞きビジネスにも取り組んでいるようです。
本書でもっとも注目したいのは、このヤマトホールディングスの、マーケット拡大の方程式。
1.オンリーワンの商品を生み出す
2.ライバルの参入を受け入れ、競争環境を生み出す
3.拡大する市場の中で圧倒的なナンバーワンになる
4.最終的にデファクトスタンダード(事実上の標準)となる
以上4つのステップは、ビジネスの「型」として覚えておきたいものです。
未来の市場を創り出すための手順が、きちんとまとめられた良書。地味ですが、これは要チェックの一冊です。
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▼ 本日の赤ペンチェック ▼
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論理の重視と退路を断つというのは、小倉の個人的な歴史でも繰り返された。そして、宅急便の誕生にもかかわっている
ヤマト運輸が宅急便というサービスを生み出したことで、通信販売という産業が花開いた。インフラとなることで他産業の成長を促した典型例
我々はお客様の話を聞くことから始めます。全国約6万人のセールスドライバーが、お客様の細かなニーズを集めてくる。今あるサービスへの不満だけではありません。困っているけれども解決策のないことを探ってくるのです。仕方ないと思って諦めていること。ここに、オンリーワン作りのヒントがあります
通販の究極の姿というのは、好きな時に、好きな場所で、好きなものを受け取れるということだと思うんです。極端な話、「×時×分に銀座を通りかかるので、そこで商品を受け取ります」という世界です。これは、現状ではさすがに難しいですが、個配の方向性は変わらないと思います
マーケットセグメントが大きすぎるとお客様のニーズは絞り込めません。そもそも巨大市場の10%を取るためにどんな商品を作るのか。想像できますか。そうじゃなくて、お客様が本当に喜ぶ可能性のあるサービスは何か。セグメントをぐっと絞り込めと言うんです。そして絞り込んだマーケットの5割を取ろう、と。1000億円の10%も200億円の50%も、売り上げは同じ100億円ですから
オンリーワン商品作りの3カ条
その1[プッシュ型でなくプル型]
その2[狙いを絞り込む]
その3[利益を先取りしない]
市場が成長している段階では、商品単体の機能を差別化することで競争に勝つ。事実、宅急便の誕生以降、立て続けに新サービスを導入している。一方で市場が成熟すると、商品の機能だけで差別化を図ることが難しくなるため、機能を組み合わせるなどして競争の土俵を変える必要がある
2012年7月以降、岩手県西和賀町に住む一人暮らしの高齢者の自宅にある機器を設置しています。赤、緑、黒の三つのボタンがついており、赤を押すと押した本人の家族や地元の社会福祉協議会に連絡が届きます。緊急事態を伝えるボタンですね。緑は安否を伝えるボタン、黒を押すと直後の自宅に電話がかかってきて、買い物代行などの御用聞きを頼むことができます
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『未来の市場を創り出す』木川眞・著 日経BP社
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4822274187
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◆目次◆
プロローグ 「サービスは先、利益は後」の継承者
1時間目 「宅急便」のDNA 需要創出のサイクルを回す
2時間目 競争が広げる市場 戦う土俵を変えて勝つ
3時間目 需要創出のゴール なくてはならない「土台」になる
4時間目 ネットワークの再構築 モノ作りや農業は物流でさらに輝く
5時間目 改革を生む組織作り 経営理念は行動で示す
解説 サービス・マネジメントの先駆者
(藤川佳則・一橋大学大学院国際企業戦略研究科准教授)
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