【藤田晋氏、起業家精神を語る。】
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4344023633
本日ご紹介する一冊は、日本を代表する若手ベンチャー起業家、サイバーエージェント創業者の藤田晋さんによる起業本。
ベストセラーとなった『渋谷ではたらく社長の告白』から8年。
ネットバブル崩壊、買収危機、ライブドア事件による戦友・堀江氏の逮捕、無謀と思われたブログサービスへの挑戦など…。
さまざまな苦難を経験しながらも前進を続け、サイバーエージェントを1から1400億円を超える企業に育て上げた著者が、それぞれの成長フェーズで何を考えていたのか、その内なる声が聴ける、じつに興味深い一冊です。
起業本の価値というのは、起業に際し、背中を押してくれることか、困難を乗り越える考え方・マインドを学べることにあると思っていますが、本書は、どちらかと言えば後者のタイプ。
小倉昌男さんの宅急便が最初赤字であったように、アマゾンの事業がずっと赤字で各メディアや株主からバッシングされたように、サイバーエージェントのアメーバ事業も、当初はひどい評価でした。
事実、あるメディア企業の社長からは、こんなことも言われたようです。
「サイバーさんはアメーバさえやらなければ良い会社なのにね」
著者は、こうした批判に対し、「収益は一切見ない」「ひたすらページビュー数を増やす」という方針を打ち出します。
結果、アメーバブログは2011年に300億ページビューを達成し、アメーバピグなどのヒットもあって、同社の黒字化に大きく貢献したのです。
本書には、著者が感銘を受けたというラッパーILL-BOSSTINOの言葉が紹介されていますが、これこそが、起業家精神の本質でしょう。
「孤独、憂鬱、怒り、それを3つ足してもはるかに上回る希望」
──ひさびさに読んでいて、元気をもらえる一冊でした。
これから起業を目指す人、起業家精神を取り戻したい経営者に、特におすすめしたい一冊です。
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▼ 本日の赤ペンチェック ▼
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社員を新たに採用するのにかけるコストよりも、長く働いてもらうためにお金を使ったほうが安くて効果的
これから先、ネットの利用者層は若者中心からシニア層に広がります
起業家という職業自体が若者にとって憧れの対象にならなければ、日本社会で起業する人の数を増やすことはできない
新しいサービスやデバイスを自分で使って試さないのは、ネット業界の経営者としては失格
収益化に本気で取り組まなくとも、自然と損益分岐点を超えていくような事業でなければ、本当に収益力のある事業に育つことは望めません。どんどんメディアのサイズが大きくなり、それに勝手に売上がついてきて黒字化する。それが私の理想でした
大体メディアは月間30億ページビューくらいを超えると、広告が自然と集まり始めます
「いつその赤字が止まるのか?」
そんな質問を受けると、社内で言っていたのと同じ調子で繰り返し答えていました。
「売上は一切見ていません」
「30億ページビュー超えたら勝手に売上は伸び始めるでしょう」
(どんなに無関心でもずっと同じことを言い続けるんだ)
(言い続けたことが現実になって初めて信頼を得るんだ)
この考えは、上場してから黒字化するまで、投資家からの罵声を浴びながらも決算報告をしていた経験から学んだことです。投資家にとっては、社長の発言に一貫性があることが安心感につながるのです
「孤独、憂鬱、怒り、それを3つ足してもはるかに上回る希望」(ラッパーILL-BOSSTINOの言葉)
幻冬舎の見城社長から聞いた言葉で気づかされました。
「全ての創造はたった一人の『熱狂』から始まる」
「新しいことを生み出すのは、一人の孤独な『熱狂』である」
「絶望しきって死ぬために、今を熱狂して生きろ」私は見城さんが贈ってくれたこの言葉を、いつも胸に刻んでいます
今でも変わらず、私は起業家なのです
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『起業家』藤田晋・著 幻冬舎
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4344023633
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プロローグ
第1章 暗闇の中で
第2章 土台作り
第3章 追い風
第4章 手痛い遅れ
第5章 ライブドア事件
第6章 逆風
第7章 進退をかけて
第8章 熱狂の後
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