2013年4月30日

『経営センスの論理』楠木建・著 Vol.3206

【経営センスの源泉とは?】
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4106105152

どんなに仕事がデキる人でも、独立するとかなりの確率で失敗するわけですが、それはひとえに「経営センスがあるかないか」にかかっています。

ブックオフ創業者で、「俺のイタリアン」「俺のフレンチ」を手掛けられた坂本孝さん、先日お会いしたBOO FOO WOOの岩橋麻男さんなど、成功する経営者は、かなり若い時から経営経験を積んでおり、結果として「経営センス」を持っているものです。

本日の一冊は、この正体不明の「経営センス」というものに、ベストセラー『ストーリーとしての競争戦略』の著者、楠木建さんが挑んだ一冊。

※参考:『ストーリーとしての競争戦略』
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4492532706

経営センスの正体は何なのか、どうすればそれを身につけられるのか、数多くの企業、経営者を研究してきた著者が、持論をコンパクトにまとめています。

アナリシス(分析)ではなくシンセシス(綜合)、客観的な「良し悪し」ではなく主観的な「好き嫌い」、「できるかできないか」よりも「思いつくかつかないか」。

非連続的な変化を生む、「経営センス」の正体にぐいぐい迫っており、じつに興味深い内容です。

具体例として、ZARAやサウスウエスト航空はじめ、好調企業の戦略を分析しており、こちらも参考になりました。

ひとつ、著者によるZARAの分析をご紹介しましょう。

<ZARAが独創的だったのは、みんながパドックでわいのわいのと「予想の勝負」をしていたときに、「第3コーナーで馬券を買う」という戦略を構想したことにある(中略)「何が売れるか考えてつくる」のではなく「売れているものをつくれば売れる」という発想の転換である>

著者いわく、<イノベーションは、「できるかできないか」よりも「思いつくかつかないか」の問題であることが多い>。

この「思いつき」「ひらめき」こそ、経営の醍醐味ですが、それがどう戦略につながっていくのか、明快に示した点が興味深い。

著者の身体的な悩みの話が長すぎて、やや中だるみしますが、そこを除けば、参考になる内容だと思います。

ぜひチェックしてみてください。

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▼ 本日の赤ペンチェック ▼
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スキルとセンスを区別して考える必要がある。アナリシス(分析)とシンセシス(綜合)の区別といってもよい。スキルというのはアナリシス的発想の産物だ

「この事業は期待収益率が高い」とか「マーケットの伸びが期待できる」といった理由で物事が決まる。そういった良し悪しの判断も確かに重要なのだが、それは客観的なものであるだけに、他社も大体同じようなことを考えて、同じような結論に至る。それだけでは他社との差別化を可能にするような面白みのある戦略にはならない。会社のなかで、「好き嫌い」で物事を議論したり、説明したり、決定したりする機会がもっと増えてもいい

オンとオフの境界線をどこに引くかという問題は、その経営者の経営スタイルを知るうえで決定的に重要なポイント

「ビジネスモデルを転換せざるを得ない」とか、「中国に出ていかざるを得ない」とか、「ざるを得ない」というけれど、そもそも誰も頼んでいないのである。ビジネスの根本原則を再確認する必要がある。それは「自由意志」だ

ZARAが独創的だったのは、みんながパドックでわいのわいのと「予想の勝負」をしていたときに、「第3コーナーで馬券を買う」という戦略を構想したことにある(中略)「何が売れるか考えてつくる」のではなく「売れているものをつくれば売れる」という発想の転換である

スマートフォンがますます軽く薄くなる。画像も鮮明になる。音質もよくなる。消費電力が少なくなる。こうしたことはすべて技術の「進歩」であるが「イノベーション」ではない。イノベーションの本質は「非連続性」にある

イノベーションは、「できるかできないか」よりも「思いつくかつかないか」の問題であることが多い

◆利益の源泉
「景気」「業界の競争構造」「戦略」

多様性それ自体からは何も生まれない。多様な人々や活動をひとつの目的なり成果に向けてまとめあげなければ意味がない。ようするに多様性の先にあるもの、つまり「統合」にこそ経営の本領がある

これは!という商売センスの匂いのする人を抜擢して、早い段階から、小さい単位であっても商売丸ごとをやらせることだ

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『経営センスの論理』楠木建・著 新潮社
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4106105152

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◆目次◆

第1章 「経営者」の論理
第2章 「戦略」の論理
第3章 「グローバル化」の論理
第4章 「日本」の論理
第5章 「よい会社」の論理
第6章 「思考」の論理

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