【ピカソが金持ちだった理由】
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/447801759X
本日の一冊は、貨幣論・情報化社会論を専門とし、複数の事業・会社を経営する著者が、「お金」や「資本主義」の本質をわかりやすく説いた読み物。
タイトルとなっている『なぜゴッホは貧乏で、ピカソは金持ちだったのか?』は、ピカソが資本主義の本質をよく理解して金持ちになったからで(ピカソの遺産の評価額は約7500億円)、実際、ピカソは自分の絵の値段を吊り上げるため、以下のような方法を取ったようです。
・新しい絵を描き上げると、なじみの画商を数十人呼んで展覧会を開き、作品を描いた背景や意図を細かく説いた(心理的な価値を上げ、買い手も増やすことで値段が上がる)
また、ピカソは支払いの際、小切手を好んで使ったそうですが、それにはこういう理由があったようです。
<商店主は、小切手を銀行に持ち込んで現金に換えてしまうよりも、ピカソの直筆サイン入りの作品として部屋に飾るなり、大事にタンスにしまっておくだろう。そうなれば、小切手は換金されないため、ピカソは現金を支払うことなく、実質的にタダで買い物を済ませることができる>
このように、本書の冒頭では、ピカソがいかに金儲けに長けていたかが示されるのですが、本書の意義は、資本主義の本質を説き、われわれにこれからの生き方を指し示すことにあります。
個人が信用創造(キャピタライズ)を行い、時に物々交換を行い、極力所有しない生き方。
これからの世界がどんな方向に進むのか、ひとつのヒントを示していると思います。
ぜひチェックしてみてください。
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▼ 本日の赤ペンチェック ▼
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人は、作品という「モノ」にお金を払うのではない。その「物語」を買うのだ、と彼は知っていた。そして、たくさんの画商が集まれば、自然に競争原理が働き、作品の値段も吊り上がる。ピカソは、自分の作品の“価値を価格に変える方法”、今でいえば“マネタイズ”の方法をよく知っていたのだと思う
ピカソは次のように考えた。商店主は、小切手を銀行に持ち込んで現金に換えてしまうよりも、ピカソの直筆サイン入りの作品として部屋に飾るなり、大事にタンスにしまっておくだろう。そうなれば、小切手は換金されないため、ピカソは現金を支払うことなく、実質的にタダで買い物を済ませることができる
お金の達人は、究極的には、お金を使う必要がないのだ
21世紀は、この信用創造(キャピタライズ)を、企業のみならず個人がもっと行うようになるだろう
信用の土台がある関係では、お金を介さない“物々交換”が成り立つ
これからの僕たちにとって大切なことは、お金を使うときに、それはいったい何の対価なのか、いったん立ち止まって考える姿勢
消費とは「今の感情」のためにお金を使うこと、投資とは「将来」のためにお金を使うこと
投資とは、成功した者(多少のお金を得た者)がこれから成功する者に、たすきをつなぐ行為である
使命を探すのではなく、私欲(ノイズ)を削る
HBS出身者が持つ信用を抜きにして、普通の人が彼らの手法を真似たとしても成功はおぼつかない。僕らが学ぶべきは、彼らが起業してからの事業手法ではない。むしろ起業“以前”に彼らが貯めてきた学歴を含めた信用のつくり方のほうなのである。信用を築くために、学校や会社を含め一流の組織に帰属することはやはり有効な戦略である
今後は、みずから通貨を発行する、つまり信用創造を行う会社同士が、お互いの信用をベースに強固な連合をつくっていくだろう
◆信用創造の2つの軸
1.価値を貢献し続けること
2.信念(プリンシプル)を守ること
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『なぜゴッホは貧乏で、ピカソは金持ちだったのか?』山口揚平・著 ダイヤモンド社
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/447801759X
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◆目次◆
序章 お金とは何か?
1.ハゲタカが跋扈し、お金でお金が殖えた時代
2.自分の価値をお金に換える覚悟と難しさ
(バリューtoマネー)
3.企業や個人が国家に代わってお金をつくる世界へ
(クレジットtoマネー)
4.お金を媒介とせず、モノや価値を直接交換できる環境の広がり
(バリューtoバリュー)
5.信用でつながる新たなコミュニティづくり
:資本より信用を貯めよう(クレジット・ライン)
付録 お金について身につけたい3つの習慣
おわりに
参考図書
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