【美しく生きるために】
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本日の一冊は、小説家であり、ベストセラー『老いの才覚』の
著者、曾野綾子さんによる人生訓。
※参考:『老いの才覚』
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もともとは、「波」「オール讀物」「SAPIO」などのエッセイをまとめたもので、老いとどう向き合うか、どうすれば充実した人生が歩めるか、潔く生きるには、といったヒントが記されています。
安直な勧善懲悪の思想ではなく、人間社会の現実を冷静に述べているあたり、共感できます。
「事業仕分け」や「東日本大震災」など、エッセイのなかには、ちょっと前のトピックも含まれていますが、著者の洞察と、そこから得られる人生訓は、やはり生き方の参考になると思います。
今回最も気になったのは、「美に殉じることは、最も人間的な選択」と見出しがつけられた文章。
お金に代わる指標を求めている現代のビジネスパーソンにとって、「美」は次の指標となり得るものだと思っていますが、著者は、この「美」に関してこんな言葉を記しています。
<美とは、欲得の計算を遠く離れて、自分が美しいと思う姿に殉じることである>
どう死ぬかを考えることは、善く生きることにつながっていると信じていますが、本書はそのヒントを与えてくれる一冊です。
ぜひチェックしてみてください。
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▼ 本日の赤ペンチェック ▼
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流行を追いかける人におもしろい個性などない
健全な食欲に恵まれているということは、健康の基本だろう。そしてさらに、その食欲に合わせて食べたいものを食べられる社会的、経済的余裕を持っていることは、人間としてほとんど最高の贅沢だと考えていいのである
寛容とは無関心の別名にすぎない
命も財産も運命から「拝借」している
群の先頭に行く方が前方がよく見えそうなものだが、一番後から行く方が状況をよく理解できることも多いから、世の中はおもしろいのだ
大人になるということは、せめて裏表くらい作れるということだ。大人になっても態度に、正当な理由のある裏表もないような人間は、成熟していないのである。「ぶっ殺してやりたい」と思っても、実行しないのが、まともな大人ということだ
人間の奴隷はその隷属の状態からみても悲惨だが、至高な神の命令を受けて働く「神の奴隷」は、現世で最も上等な仕事に就くのである
出版界の端っこにおいてもらって生きていると、円満具足ないい人ばかりが仕事をするのではないことがよくわかってくる。疑い深い人が内容のしっかりした本を作るだろうし、女々しい性格の作家にしか分裂しかかっている家族の不幸など書けないものだ
簡単に和など信じていたら、それが元で命を落とす。この地球上に普遍的なのは、むしろ相手を信じないことだ。自分と家族と味方を守り、そのために戦うことなのである
人間は万能である必要はない
働きたくない者は、食べてはならない
美とは、欲得の計算を遠く離れて、自分が美しいと思う姿に殉じることである
格差解消が世界の主流になったから、芸術はどんどん衰えている
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『人生の原則』曾野綾子・著 河出書房新社
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◆目次◆
第一章 人は人、自分は自分としてしか生きられない
第二章 命も財産も運命から「拝借」している
第三章 ほんものの平和には、苦い涙と長年の苦悩がある
第四章 終わりがあればすべて許される
第五章 失意挫折を不運と数えてはいけない
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