【大事な大事な「間」の話】
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4106104903
本日の一冊は、話題沸騰中、ビートたけしさんの『間抜けの構造』。
日本人にとって大切な「間」について、ビートたけしさんがエピソード・事例てんこもりで語った本ですが、いやあ、これは面白い。
政治家の失言、芸能レポーターの変な質問、本人や弟子の失敗談など、笑える「間抜け」の事例を紹介しつつ、一転、鋭い分析で、「間」の本質に迫っていく。
途中からすっかり引き込まれて、一気読みしてしまいました。
(まあ、どの本も一気読みはしているんですけれども)
著者によると、政治家が間抜けな失言をするのは、<自分がどういう立場にいる人間かがわかっていないから>で、<自分を客観視する能力がないからこういうことになる>。
いきなり鋭い視点が登場するわけですが、そんな著者が「間抜け」の本質、笑いの本質を突いた言葉がこれです。
<間抜けかどうか、というのは紙一重のもので、それは状況次第で変わるもの。当事者と客観的に見ている人の間には、まるっきり違う世界があって、それがちょっとずれるだけで思いっきり間抜けなことになる。だからおもしろいんだけどね>
では、われわれはどうやってこの「間」と付き合っていけばいいのか。本書には、議論に上手く入っていく方法として、以下の方法が紹介されています。
<議論の流れを、いかに相手に気づかれないうちに自分の持っていきたい方向に持ってくるか。そのためには、やっぱり岩を置いて堰き止めるんじゃなくて、板みたいなのをすっと差し入れて流れを変えないといけない>
<討論が上手くなる方法はまだあって、ちょっと長めにしゃべりたいと思ったら、「私の言いたいことは二つあるんですよ」とやる。「三つあります」というと、「おまえ三つもしゃべるのか!」となるから、二つがいい>
なるほど、さすが「間」が命の世界で生き抜いてきたベテラン。
笑ったり、感銘を受けたりしているうちに、あっという間にラストになるわけですが、そこでは、こんな人生訓が示されています。
<人生というのは“間”だと思った方がいいんじゃないか。我々の人生というのは、生きて死ぬまでの“間”でしかない。生まれたときの“点”と死ぬときの“点”があって、人生はその間のことに過ぎない。見つかるはずのない「生きている理由」を探すよりも、そう思った方が楽になる。おいらなんかはそう思うんだけどね>
仕事がうまくいかない、人間関係がうまくいかない、失業や失恋などで空白の時間を過ごしている…。
そんな方は、ぜひ手に取ってもらいたい。
きっと元気をもらえる一冊です。
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▼ 本日の赤ペンチェック ▼
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なんでこんなに間抜けな失言をするのかというと、自分がどういう立場にいる人間かがわかっていないからだ。自分を客観視する能力がないからこういうことになる
議論の流れを、いかに相手に気づかれないうちに自分の持っていきたい方向に持ってくるか。そのためには、やっぱり岩を置いて堰き止めるんじゃなくて、板みたいなのをすっと差し入れて流れを変えないといけない
討論が上手くなる方法はまだあって、ちょっと長めにしゃべりたいと思ったら、「私の言いたいことは二つあるんですよ」とやる。「三つあります」というと、「おまえ三つもしゃべるのか!」となるから、二つがいい
芸術家にとっては、「時代と寝る」ことがいいかどうかはわからない。生きている時代に評価されてチヤホヤされて良い思いをしたやつと、生きている間はまったく評価されずに、死んでから評価されることのどちらがいいかとなると、芸術家はやっぱり後者を狙わないとダメなんじゃないかな
うまい役者は「自分の方が不利だな」と思った場合は、一旦、“間”を外しておいてから、「ほら、自分の方がうまいだろう」という芝居を始めるんだよ
“間”というものを大事にするのは日本の長所でもあるけれど、その一方で、短所もそこにある。“間”を大事にするということは、つまり過剰に空気を読む文化でもあるわけで、そうするとゼロから何かを生み出す能力がどうしても弱くなる
やっぱり適度に“間”があったからよかったんじゃないかな。結果論だけど。その“間”によって思わぬ転機が生まれて、次々と新しいことにチャレンジできたわけだから
人生というのは“間”だと思った方がいいんじゃないか。我々の人生というのは、生きて死ぬまでの“間”でしかない。生まれたときの“点”と死ぬときの“点”があって、人生はその間のことに過ぎない。見つかるはずのない「生きている理由」を探すよりも、そう思った方が楽になる。おいらなんかはそう思うんだけどね
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『間抜けの構造』ビートたけし・著 新潮社
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4106104903
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◆目次◆
第一章 間抜けなやつら
第二章 “間”を制すもの、笑いを制す──漫才の“間”
第三章 お辞儀がきれいな人に落語の下手な人はいない
──落語の“間”
第四章 司会者の“間”を盗め──テレビの“間”
第五章 いかに相手の“間”を外すか
──スポーツ・芸術の“間”
第六章 映画は“間”の芸術である──映画の“間”
第七章 “間”の功罪──日本人の
第八章 死んで永遠の“間”を生きる──人生の“間”
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