【鈴木敏文氏に学ぶ、小売再生ノウハウ】
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4023311529
以前、知人のお店の集客を手伝っていて、痛感したことがあります。
それは、どんなにマーケティング力を駆使しても、オペレーションがなっていないと客は逃げていくということです。
最近は戦略本ブーム、ビジネスモデル本ブームですが、どんなに優れた戦略・ビジネスモデルを採用しても、基本ができていないビジネスは、必ず衰退します。
また、一時は優位性を築けたビジネスも、環境の変化、顧客ニーズの変化とともに、変わることを余儀なくされる場合があるのです。
本日紹介する一冊は、もともとセブン-イレブン・ジャパンに営業ライセンスを与えた立場ながら経営に行き詰まり、セブン-イレブン・ジャパンに救われた米サウスランド社を、鈴木敏文氏がどう立て直したか、流通ビジネス専門ジャーナリストの緒方知行氏がまとめた一冊です。
2012年、わが国流通業界で初めて単体チェーンとして年商3兆円の大台を突破したセブン-イレブン。
そのノウハウは、これまでにいろんな本で紹介されていますが、本書は、そのノウハウが企業再生の現場でどう活かされるのか、詳細を検証できる、貴重な資料です。
在庫問題、安易なディスカウント、サプライヤー任せの品揃え…。典型的なダメ小売のパターンに陥っていた米セブン-イレブンを、鈴木氏は「不易の経営思想」で変えていきます。
この経営思想とは、ひと言でいうと<変化対応と基本の徹底>。
ここでいう基本とは、<とことんお客さまの立場に立って考え、実践すること>で、具体的にはセブン-イレブンの「基本四原則」につながっていきます。
その基本四原則とは、1.フレンドリーサービス、2.クリンリネス(清潔さ)、3.鮮度管理(食で言えば味や鮮度や安全・安心など)、4.品揃え(欠品のない品揃え)。
なかでも本書では、小売業の要である4の品揃えについて、細かく言及されています。
<たとえコストがかかっても最小ロット単位の発注・納品に切り替えるべし>
<POSに頼って品揃えし、また生産・デリバリーを行っていけば、商売は縮小均衡に陥る>
<売れたから発注するのではない。(自分が)売れると思うから、注文するのだ>
鈴木氏の言葉を引用しながら、商売の基本ノウハウとスピリッツが学べる、じつに有意義な一冊です。
ぜひチェックしてみてください。
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▼ 本日の赤ペンチェック ▼
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変化対応と基本の徹底──これは、リーダー鈴木敏文の創業以来、一貫して変わらない不易の経営思想である
鈴木はこの「業態革新」の考え方に、安易には与しない。「往々にして間違いやすいのは、それぞれの業態内において、個別企業が企業改革に取り組むべきなのに、それを避けて、安易に新しい業態開発によって活路を開こうとすることだ」
たとえコストがかかっても最小ロット単位の発注・納品に切り替えるべし
「日本流も、アメリカ流もない。あるのはお客様流だけだ!」(鈴木)
「店の汚れは商品の心に溜まった垢」という表現が昔からある
単品管理の徹底実践なくして、発注精度のアップは実現されない
POSという道具を活用するために不可欠なことは、「仮説・検証」に基づいた仕事の進め方が前提としてなければならないということ
「POSに頼って品揃えし、また生産・デリバリーを行っていけば、商売は縮小均衡に陥る」と、彼は言うのである。そして
「POSは売れ筋商品発見の道具ではない。逆に、死に筋商品発見の優れた道具である」と世間一般の通念を否定したのである
「売れたから発注するのではない。(自分が)売れると思うから、注文するのだ」と、以前鈴木が言ったことがあるが、発注者が「これは売れると思う」と考え、積極的に売ってみようと意思を持って発注行為をするかどうかで、同じものでも売れ行きは大きく変わるのである
土壌がないところに、日本でいい結果を出しているからといって、高いレベルのものを持っていっても活きない
たとえば、夏場に必ず登場してくる冷やし中華の例がある。納得できるまで何度も何度もつくり直しを命じ、ダメ出しする鈴木に、開発担当者は「そうは言っても、これはよく売れています」と反論した。それに対し鈴木は「売れているから問題なのだ。このレベルの質でたくさん売れているということは、それ自体、セブン-イレブンの商品に対するイメージをおとしめてしまうことになる」と、厳しくつくり直しを命じたという
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『鈴木敏文のセブン-イレブン・ウェイ』緒方知行・著 朝日新聞出版
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4023311529
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◆目次◆
プロローグ
第1章 破綻、そして再建への着手
第2章 再建への成算
第3章 安売りをやめろ
第4章 お客さま流への意識改革
第5章 発注権を店に委ねる
第6章 仮説・検証に基づいた単品管理
第7章 マーケティング・カンパニーへの脱皮
第8章 新しいコンビニエンス価値の創造
第9章 若き経営陣の手腕
第10章 再び飛翔へ
エピローグ
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