2013年1月14日

『経営の定石<50項>』佐藤肇・著 vol.3100

【祝・3100号】
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/489101301X

本日の一冊は、2008年のリーマンショックで売上が3分の1、85億円の大赤字を出しながら、リストラ・給与カット一切なしでV字回復を成し遂げたスター精密(東証一部)の社長、佐藤肇氏による、経営指南書。

著者は、社長業の激務の傍ら、「佐藤塾」で地元静岡の若手経営者に経営指導をしており、本書では、その経営のエッセンスが50項目の「定石」としてまとめられています。

売上の増加が見込めない今日の経営環境にあって、どうすれば収益を改善できるのか、どうすれば危機にあっても会社を潰さないでいられるのか。

P/L(損益計算書)ではなく、B/S(貸借対照表)を重視した経営の本質が書かれており、じつにためになります。

本書によると、リーマンショックの際、著者が社員に指示したことは、大きく2つでした。

その2つとは、ひとつは「売上を減らせ。絶対に無理に売るな」ということ。もうひとつは「在庫を減らせ」ということです。

なぜ無理に売ってはいけないかというと、以下のロジックです。

<売れないからと売価を下げて、販売経費を増やし、営業部員も増やせば、結局売上は増えてもそれ以上に経費がかさみ、結局は赤字の上乗せになるばかり。さらに、無理に掛け売りで商品を押し込むから、売れるほどに運転資金が苦しくなる>

<売上だけを追っていたら、間違いなく倒産する時代>に、どうすれば健全な経営ができるのか、どうすれば収益性を高められるのか。

本書には、この点が事細かに書かれています。

実際の経営数字を追いながら勉強するので、経営力がつくことは間違いなし。

お値段は約1万円と張りますが、経営者ならぜひ買って読んでおきたいところです。

ぜひチェックしてみてください。

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▼ 本日の赤ペンチェック ▼
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リーマンショックが起こって、私が社員に指示したことは大きく2つある。ひとつは「売上を減らせ。絶対に無理に売るな」、もうひとつは「在庫を減らせ」である

無理に売上を増やそうとすれば、必ず値下げしなければならない。言うまでもないが、いったん価格を下げればそれが市場価格となる

第一に「健全性」、次に「収益性」を大事にし、身の丈に合った成長をしていかなければならない。それがこれからの経営の定石であり、もっといえば、いつの時代でも変わらぬ経営の本質

とにかく借金をせずに資金は自前で捻出すべきであるが、それにはバランスシートを小さくするというのが、収益性を高めるやり方なのである

在庫を減らす方法は売るか、造らないか、この2つしかない

スター精密は仕入れの支払い期間が必ず回収よりも遅くなるように、常に支払いサイトを長くしていたから、買掛債務で資金が調達できた

これから良くなるものを手掛け、悪くなるものを捨てる

大事なことは、常に自社を成長産業の中に置くということ

付加価値の伸びがGDPの伸びを下回っていれば、その事業は既に斜陽化しているものと考えよ

企業の収益目標は付加価値に対して内部留保5%を最低目標として、できれば10%を目標とせよ

5%の内部留保を確保するためには、営業経費は売上総利益の約87%未満に抑えなければならない

社員個々の給料は上げるが、人件費の総額は下げよ

なぜ世の多くの社長は、中高年齢者を積極的に雇用して、給与を半分にしないのかというのが、私の素朴な疑問である

設備投資は原則として、減価償却費の範囲内とせよ

設備投資の優先順位は、耐用年数の短いものから実施する

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『経営の定石<50項>』佐藤肇・著 日本経営合理化協会出版局
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/489101301X

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◆目次◆

序 今なぜ経営の定石が重要なのか~大赤字からのV字回復へ
赤字85億円にビクともしない経営
奇策が通用しない時代
1.最も基本的な定石
2.会社の方向づけのための定石
3.収益向上への定石
4.人件費の定石
5.設備投資の定石
6.先行投資の定石
7.運転資金の定石
8.銀行取引の定石
9.税務署に対する定石
10.絶対に会社を潰さない定石
11.日常運営の定石

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