http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4872906004
本日紹介する一冊は、敗戦、バブル崩壊、東日本大震災まで、数多くの危機を乗り越え、「消臭ポット」「消臭力」などのヒット商品を生み続けた「名物社長」、エステー株式会社会長の鈴木喬氏による初の著書。
BBMで以前、『愛されるアイデアのつくり方』を紹介した時、<もっとも感銘を受けたのは、苦しい状況下で部下を責めず、チャレンジさせたエステー経営者の度量>とコメントしましたが、本書はまさにその経営者、鈴木氏の度量の秘密がわかる一冊です。
担当編集者も度々、「私がこれまでつくってきた本で一番の出来」と言っていたので、期待して読んだのですが、これは強烈な本でした。
サラリーマン時代は、日本生命で法人営業の指揮をとり、年間1兆円の売上達成、エステーの社長就任演説では、「俺の目にかなわないヤツは叩き殺してやる」と脅しをかけて大ナタをふるい、東日本大震災直後には、CM放映に踏み切った…。
あまりの破天荒さと楽観主義、それとは裏腹な周到さに、経営者として素直に感銘を受けました。
経営者は、性悪説でないと務まりませんが、それだけでは人はついてこない。著者は、この辺のバランスも取れています。
<経営というものは算盤玉だけでできると思ったら大間違いだ。片手に算盤、片手に心意気。この2つがなければ、会社は脆い。それが、僕の経営哲学だ>
なかでも感動したのは、東日本大震災直後のCM放映に関する、鹿毛康司氏とのやり取り。
ここを読めば、社長の仕事が何であるか、その本質がよくわかると思います。
<「商売のことは全部忘れろ。いいな、とにかく心を込めるんだ」
「わかりました」
ここで彼は表情を曇らせて、こう言った。
「バッシングが来るかもしれません」
「俺が社長だ。お前が社長じゃない。俺が命かけるんだ。お前は関係ない。お前は、心だけ込めりゃいいんだよ」>
過激な物言いに抵抗感のある方もいらっしゃるかもしれませんが、マキャベリの『君主論』を座右の書とする著者だけあって、現実主義と理想主義のバランスが取れています。
綺麗ごとばかりが横行する現在にあって、読んでいてじつに痛快な一冊でした。
ワンマン経営者に普段、苦しめられている経営幹部、部長クラスは読まないのが吉。
経営者、あるいはこれから起業する方は、ぜひチェックしてみてください。
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▼ 本日の赤ペンチェック ▼
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社長は担当者じゃないんだから、過度に一生懸命になったらダメだ。その昔言われたのは、英国海軍では、兵隊に塹壕を掘らせるときに将校は絶対に手伝わないということだ。それは、兵隊のやる仕事だと。そのかわり将校は、雨が降っても傘もささず、レインコートも着ずに立っている。やせ我慢だ。そして、全体を視野に入れながら、大きな指示を出す。この英国海軍の伝統こそリーダーシップだ
挑発は「する」ものであって、「乗る」ものではない
経営には、常に博打の要素がある。どんなに理屈で考えても決断できない選択を迫られることがある。ここで尻尾を巻いて逃げてるようでは「結果」は出せない。必要なのは「博才」だ
まず、怖れられろ。慕われるのは、その後だ
僕は、どこかの社長が新聞や雑誌に出たら、切り抜きを持ってくるように秘書に言ってある。すぐに電話をかけるのだ。相手の秘書は必ず、社長に繋げてくれる。そして、「感服しました」と伝える。折悪く、社長がいなければ秘書に伝える。電話するには時間が経ってしまったと思えば、簡単な手紙を差し上げる。すると、喜んでいただけて、「一席設けましょう」なんて話になる。そこで築いた人間関係を大切にすればいい
「成功」を見切るのが、一流の社長
率先垂範で頑張ってると確実に管理限界を超える
経営というものは算盤玉だけでできると思ったら大間違いだ。片手に算盤、片手に心意気。この2つがなければ、会社は脆い。それが、僕の経営哲学だ
社長は群れるな、逆を行け
「在庫過多で潰れた会社はあっても、品切れで潰れた会社はない。めでたいことじゃねぇか。まだ売れ残っている在庫はある。それを売ってこい! “売れる商品”は勝手に売れる。そうじゃないのを売るのが諸君の腕の見せ所だ!」
「商売のことは全部忘れろ。いいな、とにかく心を込めるんだ」
「わかりました」
ここで彼は表情を曇らせて、こう言った。
「バッシングが来るかもしれません」
「俺が社長だ。お前が社長じゃない。俺が命かけるんだ。お前は関係ない。お前は、心だけ込めりゃいいんだよ」
いい加減な見通しで採用数を増やすのは三流経営者のすることだ。会社は筋肉質にしておくに限る
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『社長は少しバカがいい。』鈴木喬・著 WAVE出版
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4872906004
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◆目次◆
第1章 社長は社長をやれ。
第2章 社長はカッコつけるな。
第3章 社長は「人間」を知り尽くせ
第4章 社長は心意気をもて。
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