2013年1月5日

『成功する会社はなぜ「写真」を大事にするのか』大谷和利・著 vol.3091

【ポルシェDMに1/3が反応?】
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4062952025

以前、『案本』の著者、山本高史さんにこんな質問をしたことがあります。

※参考:『案本』
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4844325442
「広告を作るとき、ビジュアルとコピーをどう使い分けていますか?」

これに対する山本さんの答えは、こうでした。

「ビジュアルでは、その商品を使った時に得られる世界観を、コピーでは約束をするのです」

これを聞いた時、いつかビジュアルの勉強をしっかりやりたい、と思ったのですが、気がつくと、あれから4年も経っていました。

designという言葉の本質は、「企てる」「意図する」ことにあると思いますが、これが自由自在に操れたら、マーケティング上は、相当有利になります。

本日ご紹介する一冊、『成功する会社はなぜ「写真」を大事にするのか』は、その戦略的なビジュアルの使い方について、ジャーナリストの大谷和利さんがまとめたもの。

ビジュアルを活用して成功したアップルやK-POPグループのKARA、ポルシェなど、興味深い事例とともに、どう写真を活用すれば良いのか、そのヒントと具体的ノウハウ、さらには写真の素材入手先まで記されています。

なかでも、興味深かったのは、DMを受け取った家のうち32%、じつに約3分の1が試乗の予約を受け付けるサイトにアクセスしてきたという、ポルシェの事例。

見込み客の家の前にポルシェを停めて写真を撮り、「あなたが思うよりも身近な存在です」のコピーで締めたDMは、まさに目からウロコでした。

残念だったのは、特定のストックフォトサービスに肩入れする記述が目立ったことと、内容の割に写真が少なかったこと。

ただ、これから写真を活用して情報発信しようとする企業には、参考になる本だと思います。

ぜひチェックしてみてください。

—————————————————
▼ 本日の赤ペンチェック ▼
—————————————————

1990年代の末に、他社が利用時の姿を想定して、コンピュータ本体の上にディスプレイを置き、その手前にキーボードやマウスを配した平凡な広告写真を使っていた中、アップルのビジュアルは、自社製品をアート作品のように扱った

戦略的なブランディングに用いられる写真は、コピーの文章の補完物ではなく、自らがそのブランドのストーリーを物語るものでなくてはならない

若年層、女性読者、ライトリーダーほど、より多くの写真、あるいはより大きな写真を求める傾向がある

◆コカ・コーラの役員紹介ページ
「役員紹介」などといった凡庸なものではない「リーダーシップ・ビューポイント」と題され、コカ・コーラというブランドを牽引するリーダーたちがビジネスの視点や展望を語るコーナーとして、はっきりと位置づけられている。特に重要な役職のページには、ショートビデオによるプロフィール紹介や、彼らがイベントやメディアに出演した際の映像、そして過去のインタビューなどがある

写真ライブラリに保存された写真であれば、必ずブランディングガイドラインに沿ったものなので、社員や関係者の誰もが安心して利用できる

顧客は、クルマを降りたときから、スタイリッシュな写真によって「イケア製品のある暮らし」や「レストランで食事をして帰る」といったライフスタイルのイメージを潜在意識に刷り込まれる。これにより、無意識のうちに買い物をする気分が盛り上がる

あるビジュアルが的確かどうかを判断する一つの基準は、リアリティである

キャッチコピーは「あなたが思うよりも身近な存在です」(中略)実は、試乗を申し込んできた人たちは、そのDMを見て本当にポルシェを身近に感じたのである。それもそのはず。ポルシェと一緒に写っていたガレージとドライブウェイは、自分の家のものだったからだ

ストックフォトサービスの検索ページでは、実際に直接入力された名詞や形容詞から、今、この瞬間に求められている写真の傾向がわかる

————————————————

『成功する会社はなぜ「写真」を大事にするのか』大谷和利・著 講談社
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4062952025

————————————————-

◆目次◆

はじめに ビジュアルを制する者はビジネスを制す
第1章 日本企業のウェブサイトはなぜお粗末なのか
第2章 中国の女優はなぜ海外で人気があるのか
第3章 群れから抜け出した会社のビジュアル戦略
第4章 視覚イメージを武器に躍進する日本企業
第5章 一枚の写真が会社の運命を決める時代
おわりに 個人も企業も「出る杭」が伸びてゆく

この書評に関連度が高い書評

この書籍に関するTwitterでのコメント

同じカテゴリーで売れている書籍(Amazon.co.jp)

NEWS

RSS

お知らせはまだありません。

過去のアーカイブ

カレンダー