【2012年を締めくくる名著】
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4822249417
今から40年前の1972年、ローマクラブによる『成長の限界』という警告書がベストセラーとなり、人々の環境問題への意識を急速に高めました。
それから40年後の今年2012年。
『成長の限界』の著者の一人であり、BIノルウェービジネススクール教授のヨルゲン・ランダースが、今から40年後、2052年の世界について論じたのが、この『2052 今後40年のグローバル予測』です。
邦訳の出版は2013年の1月8日ですが、BBMでは、発売に先駆けて、その中身を紹介したいと思います。
結論から先にお話すると、本書は来年一番のベストセラーとなるべき書であり、仮にそうならなくても、ビジネスパーソンのみなさんは、ぜひ読んでおくべき本と断言できます。
約500ページにわたる大著に、数多くの有識者の未来予測が掲載され、そこに著者が独自の解説を加えていく、じつに読み応えのある一冊です。
著者が描き出す2052年は、決して明るいものとは言えませんが、そのなかに個人が幸福に生きるヒント、さらには重大なビジネスのヒントが隠されています。
先進国が向かうサービス産業が、じつは生産性を上げにくい構造にあるという指摘、「文化」というキーワード、成長と衰退が同時に発生する「グロークライン」というキーワード、気になるエネルギー問題、食料問題への意外な答え…。
さすがに専門家の洞察は深く、示唆に富んでいます。
そして、キャリアに悩む多くの人にとって有用なのは、後半に登場する「20の個人的アドバイス」。
・収入より満足に目を向ける
・やがて消えていく物に興味を持たない
・大勢の人に荒らされる前に世界中の魅力あるものを見ておこう
・気候変動の影響が少ない場所に住みなさい
・社会不安に敏感でないものに投資しよう
・ビジネスで、高い成長性と高い利益率を混同しないように
これからの生き方・働き方の指針が得られる素晴らしいアドバイスが並んでおり、ここだけでもぜひ読んでいただきたい。
個人的には、以下のアドバイスが、一番グッときました。
<あなたは自分の未来の嗜好に影響を及ぼすことができるのだから、未来にふさわしいものを好きになればいいのである>
先進国にとっては、先行き暗いと言われる状況ですが、本書を読むことで、前向きな2013年を迎えられそうです。
出版されたら、ぜひ一読することをおすすめします。
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▼ 本日の赤ペンチェック ▼
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いったんオーバーシュートの状態に陥ると、持続可能な世界へ戻る道は二つしかない。つまり、しかるべき解決策を導入して「管理された衰退」に向かうか、あるいは、崩壊するか
かつての農業革命と同じくこの産業革命は、豊かな国では2052年までに完了するだろう。農業から製造業への労働者の移行も完了する。労働者はさらにサービスや介護分野へと移行してゆき、製造業に携わる人はごくわずかになる。そうなると人々の関心は、大衆へのサービスとケアの安定供給に向けられるようになるだろう
少なくとも成熟した市場では、文化的で公害を出さない非物質的な生産と消費が、「物」に取って代わるべきであり、その金銭的価値は高く設定されなくてはならない(カルロス・ジョリー)
労働力があまり上がらないのは、人口が減少するからで、それは都市化が進んで出生率が低下するからだ。その一方で生産性は、成熟国家が増えて、サービス産業と介護産業の比率が高くなるため、期待するほど向上しないと予想される。この二つの産業は生産性を上げるのが難しいからだ
21世紀も残り3分の1になる頃には、豊かな個人と衰退する社会という組み合わせが世界経済の標準になる。1人当たりの消費は、古き良き時代のように毎年増加するだろう。その一方で、経済全体、つまりGDPは減少の一途をたどる。これが「グロークライン」と呼ばれる状態だ。成長(グロース)と減少(デクライン)が同時に発生するのである
少なくとも2052年までは、十分な食料があるだろう。というのは、食料生産が増える一方で、需要は懸念されているほどには伸びないからだ
牛肉から鶏肉へと消費が移行すれば、同じ穀物量で3・5倍の人を養えるようになる
2052年には、多くの原料、特に金属は、アーバン・マイニングが天然資源の採掘を凌いでいるだろう。それは、地中から掘り出して精製するより、廃棄物から回収・再生利用するほうが、安くすむからだ
◆20の個人的アドバイス(一部紹介)
1.収入より満足に目を向ける
2.やがて消えていく物に興味を持たない
6.大勢の人に荒らされる前に世界中の魅力あるものを見ておこう
7.気候変動の影響が少ない場所に住みなさい
14.社会不安に敏感でないものに投資しよう
17.ビジネスで、高い成長性と高い利益率を混同しないように
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『2052 今後40年のグローバル予測』ヨルゲン・ランダース・著 日経BP社
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4822249417
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◆目次◆
序文 未来は何をもたらすか?
第1部 背景
第1章 未来についての懸念
第2章 2052年に向けて危惧される五つの問題
第2部 私の世界予測
第3章 私の予測の根拠
第4章 2052年までの人口と消費
第5章 2052年までのエネルギーとCO2事情
第6章 2052年までの食料事情
第7章 2052年に向かう非物質的未来
第8章 2052年の時代精神
第3部 分析
第9章 未来についての考察
第10章 五つのグループの未来
第11章 他の未来予測との比較
第12章 あなたは何をすべきか?
解説 地球社会への最後の警告(竹中平蔵)
付録&注
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