2012年12月5日

『P&G 一流の経営者を生み続ける理由』リック・トックウィグニー、アンディ・ブッチャー・著 vol.3060

【P&G人材輩出企業の秘密】
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4396650507

本日の一冊は、フォーチュン500の常連企業であり(2012年はグローバル86位、全米27位)、人材輩出企業として知られる、P&Gの秘密に迫った一冊。

同社のCEOを務めたA・G・ラフリーはじめ、P&G出身のトップビジネスパーソンたちがオムニバス形式で登場し、P&Gで学んだこと、なぜP&Gから優秀な人材が輩出されるのか、その理由について語っています。

中心となるのは、同社が大事にしている「コア・バリュー(核となる価値観)」という概念であり、これがいかに企業の発展にとって重要なのか、どの人物も異口同音に訴えています。

本書によると、コア・バリューとは、<企業、地域社会、そして家庭の活動の拠り所となる信条>であり、企業によってそれは消費者の利益だったり、製品の品質や機能、安全性だったりします。

P&Gのホームページを拝見すると、同社の場合、それは「誠実さ」「リーダーシップ」「オーナーシップ」「勝利への情熱」「信頼」ということになるようですが、これが製品と消費者、社員の間で共有されていることが重要なようです。

同社では、企業理念(Purpose)とコア・バリュー(Values)、行動規範(Principles)の3つをPVPと呼び、このPVPでもって世界12万人以上の社員を束ねているようです。

本書にはこのPVPのほかにも、P&Gで教えられる価値観や考え方、ビジネスの進め方について、興味深い記述があります。

マーケティングに関して例を挙げると、機能性ベネフィット(例:衣類や皿がきれいになること)とエンド・ベネフィット(自分や家族のためにそれができて嬉しい)の両方を考えること、変化を導くことで当該分野のリーダーとなること、市場の「空白」を探すことなど。

マネジメントに関しては、職場で起きたことを人に話したくなるような社風を目指すこと、革新や創造性が必要な時には、総意は災いのタネであることなど。

正直、もっと掘り下げて欲しかった気もしますが、なぜP&GのOBが他社に行っても活躍できるのか、その理由がおぼろげながらわかった気がします。

P&Gの強さの秘密を知りたい方は、ぜひ読んでみてください。

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▼ 本日の赤ペンチェック ▼
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相手のマイナス面を指摘するより、自社製品のプラス面を宣伝するほうがいいということです。実際、みんながマイナス面を言い合うようになると、その業界全体が衰退します
(ブラッド・ムーア ホールマーク・ホール・オブ・フェイム・プロダクションズ社長)

例えば、ある製品が衣類から汚れを、皿から油汚れを取り除くとしましょう。機能性ベネフィットは、衣類や皿がきれいになることです。しかし、エンド・ベネフィットは、自分や家族のためにそれができて嬉しいということです(中略)最高の宣伝は、何より人の心を動かす“エンド”ベネフィットを伝えることにつきるのです
(ブラッド・ムーア)

◆ポール・シャロン(キャンベル・スープ会長)が叩き込まれた5つの価値観
「高品質」「高潔」「消費者のニーズに応えること」
「徹底した分析」「教育に力を注ぐこと」

「神々は破壊したいと思う者に、四〇年間の繁栄を与える」
(アリストテレス)

事実上、変化を導くことです。それが当該分野のリーダーになる方法です。それは先を見通し、変化を先取りすることです、変化に対応するのではなく
(ジル・ベロー ペプシコ・ベバレッジ・アメリカ副社長)

ブランドン(ドミノピザCEO)は、一大転身をはかるリーダーに忠告があるという。最初の数カ月は「ただ口を閉じ、耳を傾け、学ぶことです。自分はどんな質問にも答えられる人間で、いかに頭脳明晰で経験豊かかをみんなに印象づけねばならないなどと思いながら仕事に就いてはいけません」

職場で起きたことを人に話したくなるような社風を目指す

必要な二、三のことに絞り、集中すれば、ほとんどのことはやり遂げられる

革新や創造性を求めたり、重大な変化を推し進めたりしているときには、総意は災いのタネだ
(ボブ・ハーボルド マイクロソフトCOO)

レーボヴィッツはP&Gで学んだ重要な教訓を思い出した。市場の「空白」を探すことだ

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『P&G 一流の経営者を生み続ける理由』リック・トックウィグニー、アンディ・ブッチャー・著 祥伝社

http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4396650507

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◆目次◆

まえがき──企業と私生活の価値を高めるコア・バリューA・G・ラフリー
Part1 業界No.1を維持し続けるリーダーシップ
Part2 コア・バリューを生かして能力を全開にする
Part3 コア・バリューとチームワーク
Part4 コア・バリューはビジョンを推進する
Part5 正しいことを行なう
Part6 人生を変える
あとがき──コア・バリューを持つことで、成功への道筋が明確になる
元P&G最高経営責任者 エド・アーツ

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