【スイス時計界のカリスマ!】
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4344022939
本日の一冊は、インパクトあるデザインと斬新なマーケティングでセレブリティの心を掴んで離さない人気時計ブランド「ウブロ」(HUBLOT)の中興の祖、ジャン-クロード・ビバーのマーケティング手法に迫った一冊。
ビバーは、「スイス時計界のカリスマ」「時計界のスティーブ・ジョブズ」と異名を取るカリスママーケターで、その思想とアイデアには、正直舌を巻きます。
たとえば、予算ゼロで臨んだ1983年のバーゼルワールド(世界的な時計・宝飾品のイベント)。当時、ブランパン(Blancpain)を始めたばかりのビバーは、注目を集めるため、こんな手を打ちます。
<本来腕時計が入るべき展示ディスプレイを壊したんだ。そうすれば不審に思って人が集まってくるだろ。しかも展示ブースの中は人だらけで入れない。タネを明かすとみんな友人なんだ。つまりサクラだったんだけど、そのおかげで注目が集まり、バイヤーたちが腕時計を見たいと殺到したんだ>
また、F1運営組織のトップ、バーニー・エクレストンが強盗に襲われ、ウブロの時計が奪われた時には、バーニー本人の勧めに従って、顔に大きなあざを負ったバーニーの写真を使い、常識外れの広告を打ちました。
広告コピーは、以下の通りです。
See what people will do for a Hublot.
(人々がウブロが欲しいがために何をするか見てみなさい)
「ウブロは暴力と人種差別に反対します」
もちろん、奇策だけではありません。むしろ注目したいのはその思想の方で、氏は古臭い機械式腕時計に価値をつけるため、「芸術性」や「ステータス」、「遊び心」「勝者のイメージ」などを加味していくのです。
そのため、世界中のセレブリティと関係づくりをしたり、アイルトン・セナ財団をサポートしたりするのですが、ブランドにありがちな有名人囲い込みとはちょっと様相が違います。
彼らは純粋にビバーの「遊び心」に感化され、ウブロを身に着けることにワクワクしているのです。
では、セレブリティの心を掴んで離さない、ウブロの「遊び心」とは一体何なのか。
その本質こそが、本書の核心であり、ブランドビジネス成功の要諦です。
かいつまんで言えば、以下のようになるでしょう。
・テイストを捨てずに現代的に進化させる
・中核モデルを増やさず、「限定モデル」でリピーターを刺激する
・ムーブメントを守るケースの他に飾りのケースを作ることで、
素材やデザインで遊べるようにする
・あえて気力も体力も漲っていないと着けられない時計にする
ほかにも、ビバー流ネーミングの極意や優れたチーム作りの秘訣、人生哲学などが盛り込まれており、じつにウブロの本らしい、遊び心にあふれた一冊となっています。
カリスマ経営者らしいエッジの効いた主張と、成熟して得た人生訓のバランスがたまらない。
普通の生き方、働き方に満足できない方に、ぜひ読んでいただきたい一冊です。
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▼ 本日の赤ペンチェック ▼
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「ビジネスと人生に大切なのは、自分自身を信じることなんだ」
セレブリティたちの『自腹で欲しい!』という感情を動かしたのなら、その思いは必ずユーザーにも届く。だから、ウブロが組む相手を決める条件はひとつだけ。それは、“既にウブロの腕時計の愛用者であること”。そしてビバーは彼らへの感謝をこめて、素早くサポートする
「疑念を抱くということは大切なことだ。そうすれば直感的なアイディアに対して行動を起こすときにも、慎重に慎重を期することができる。つまり疑問は、“直感の良き友”だと思う方が賢明だ」
◆成功の3大原則
・ユニークであること(UNIQUE)
・常に最初であること(FIRST)
・違うこと(DIFFERENT)
「どんなに優れたテクノロジーであっても、50年後に修理ができなくなるクォーツの腕時計が高級品になることはない。その点、機械式腕時計なら100年前の製品でも修理して使うことができる。それは“芸術”だからだよ」
「現在の腕時計が置かれた立場を考えるなら、iPhoneの存在意義を考えてみるといいだろう。本来の用途である通話に使用する割合は、ホンの1割くらい。それ以外の9割は写真を撮ったり、音楽を聞いたり、インターネットを見たり、メールを書いたりというような、新しい付加価値のために費やしている」
「腕時計とは気持ちを奮い立たせる物でなければいけない」
走れる者、守れる者、繋げる者、自己を犠牲にできる者。それらが舞台を整えてくれるから、4番は輝ける
「セナはあのイモラサーキットのレースで、トップを走行したまま天に召された。あの瞬間から、誰も彼を追い抜くことはできなくなったのだ。つまり彼は永遠の勝者ということなんだよ。ウブロは常に成功者、勝者のための腕時計でありたい。だからこそセナの“もう負けることがない”というストーリーに惹かれるんだ」
人生の基盤は、分け合うことにある
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『成功者はなぜウブロの時計に惹かれるのか。』篠田哲生・著 幻冬舎
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4344022939
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◆目次◆
CHAPTER1 直感を信じる
CHAPTER2 リスクを負う
CHAPTER3 物づくりの本質
CHAPTER4 組織改革
CHAPTER5 仕事とは本来、温かいもの
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