【定説の罠?】
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先日、あるベストセラー作家と『ビジョナリーカンパニー4』の内容について議論し、大いに盛り上がりました。
※参考:『ビジョナリーカンパニー4』
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その作家さんによると、あの本から得られた教訓は「妄想」と「規律」だそうです。
業績絶好調の時に、考えられうる悪夢のシナリオをすべて書き込んだというビル・ゲイツの「妄想力」、そして不確定な時代に勝つために必要な「規律」、最悪の事態を想定したアムンゼンの「準備力」…。
この3つは、不確実な時代に突入しても躍進できる企業の条件ですが、昨日行った富士登山でも、これが役立ちました。
登山家は、大きな荷物を背負って急峻な斜面を歩くわけですが、そのほとんどは、「備える」ためのものです。
雪の上を歩くためのアイゼン、暗くなった時、遭難した時のためのライト、非常食、酸素、けがをした時のためのキット…。
これらのほとんどは、何事もなく下山できた場合、「無駄」なものです。
しかし、命を守るという重要な目的を考えた場合、これらのほとんどは必要なものになるわけです。
本日の一冊『ビジネスについてあなたが知っていることはすべて間違っている』は、ビジネスの現場でまことしやかに語られる「効率」や「利益改善」「評価」「モチベーション」「時間管理」などのトピックについて、定説を覆す主張をした一冊。
著者は、イギリスを拠点とするビジネス・コンサルティング会社のCEOで、『Management Today』のコラム執筆者。
本書では、なぜビジネス現場で語られる「正しいやり方」が、間違った結果を生むのか、その理由を事例を交えながら解説しています。
なぜわざわざ手間をかけて品質を下げることが合理的なのか、なぜコストを削減しようとして採用凍結すると人員のパフォーマンスが低下するのか、なぜ粗利を基準に考えると失敗することがあるのか、なぜバックオフィスへの投資が生産性を強化することになるのか…。
経営をする上で大切な視点がいくつも登場する、じつに実践的な内容です。
ぜひチェックしてみてください。
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▼ 本日の赤ペンチェック ▼
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形ある製品であっても、その製品の価値は製造にかかった実際のコストではなく、そのもととなる知識にあるのであって、製造コストを基準に価格を設定することは意味をなさない
価格設定には喜ばしくも奇妙なねじれ現象があり、品質を下げることに資金を投入しても意味をなす。例を挙げて説明しよう。IBMは以前、法人向けレーザープリンターを売っていた。価格は1000ドルで、1分に10ページの印刷ができる製品だ。その後、IBMは小規模のオフィスあるいは自宅オフィス(SOHO)市場向けの製品を発表した。こちらの価格は500ドルで、1分に5ページを印刷できた。ふたつの機種の唯一の違いは、印刷速度の遅いほうのソフトウェアに、印刷を待つように命令する1行分のコマンドが加えられていたことだ
人間の心理をうまくついているという点でも、3は優れた数字だ。ふたつの選択肢(レギュラーとラージ)ではじめ、3番目の選択肢(エクストララージ)を加えると、たとえ誰もエクストララージを選ばなくても、売上を伸ばすことができる
「資金を使う唯一の理由は、それが投資に対して利益を生むからだ。つまり、使った以上のものが戻ってこなければ意味がない」(マイクのROIルール)
人員の平均的パフォーマンスを引き下げる方法として、採用凍結に勝るものはない
粗利益率は誤解を招く結果を生む。理由はどちらの場合も同じだ。マーケティング・コンサルタント会社にもコーヒーショップにも、「制限要因」がある。すなわち、できる仕事の量に制約があるということだ
早く成長したいと思うのなら、そうしない正当な理由がないかぎり、コストを増すか(結果、利益を犠牲にする)、リスクを増すかしなければならない
顧客にとって重要なことを評価基準にする
時間管理のための本当のカギは、不安を管理して、自分が何を無視しようとしているかを知り、自分がすべきだとわかっていることをすることである
ときにはバックオフィスに投資することが、フロントオフィスを強化する最善の方法になることもある
報奨制度は協力体制を阻害する
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『ビジネスについてあなたが知っていることはすべて間違っている』アラステア・ドライバーグ・著 阪急コミュニケーションズ
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◆目次◆
CHAPTER1 なぜ行き詰まるのか、どうしたら抜け出せるのか
CHAPTER2 価格設定
CHAPTER3 コスト削減
CHAPTER4 業績評価
CHAPTER5 予算と事業計画
CHAPTER6 行動原則
CHAPTER7 動機づけ
CHAPTER8 思考について考える
CHAPTER9 次にすべきこと
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