【「美魔女」ブーム仕掛け人のマーケティング論】
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4799312316
モノが売れないと言われる昨今、それでも爆発的に売れるモノは存在しています。
「美ST」という月刊誌をご存じでしょうか?
ご存じない方も、おそらく「美魔女ブーム」の火付け役となった雑誌、と言えばわかると思います。
40代女性から絶大な人気を誇り、若い世代からはおそらく煙たがられるコンセプト。
でも、そんな「美魔女」のコンセプトが、この「美ST」のヒットを後押しし、「国民的美魔女コンテスト」の驚異的なメディア露出(広告費換算で計89億円)、USTREAM視聴100万達成につながったのです。
本日ご紹介する『「欲望」のマーケティング』は、その「美魔女ブーム」の仕掛け人、山本由樹さんが、そのマーケティングの一部始終と、独自のマーケティング論を展開した一冊。
「言えない欲望」から読者の本当のニーズを察知し、ターゲットの絞り込みとコンセプト作りを行う。
賛否両論あるのをわかった上で「暴投」する、大胆なマーケティング手法は、読んでいてワクワクします。
また、長年女性週刊誌を手掛けていた著者ならではの女性読者の感情のとらえ方は、大いに参考になりました。
著者によると、<人間が他者に抱く感情には、大きく分けて4段階ある>。
それは、下から順番に、「同情→共感→賞賛→嫉妬」の4段階で、一旦スターになった人は油断すると、「嫉妬」の段階に入ってしまう。
「嫉妬」の段階に入った場合は、謝罪して「同情」レベルからやり直せば、また復活できるというのです。
ほかにも、読者ターゲットの心に響くディテールの作り方や、BRAND+REAL+NEWS+WEBでブランドを作る「ブランニューの法則」など、参考になる話がいくつもありました。
いいモノを作っていれば売れる時代は、雑誌においても終わり。
それを証明したのが、宝島社のブランドムックであり、この「美ST」が仕掛けた「美魔女ブーム」です。
これからは、何を売るにも、企画力と仕掛けの力が必要不可欠な時代。
ヒット力を身につけるために、ぜひ読んでおきたい一冊です。
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▼ 本日の赤ペンチェック ▼
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雑誌をつくっているとよくわかるのですが、世代の感性は5歳刻みで変わってきます。35歳~39歳までと40歳~44歳までとは、まったく違う人種と言っていいほどです
「言えない欲望」にこそ、その人の本当の姿がある
「45歳から若くなりたいと思ったら、ファッションよりも美容なんだ」と。そしてビューティー誌創刊のコンセプトが生まれた
◆インタビュー時の関係構築のためのキーワード
1.共感 2.共有 3.告白
肝要なのは、告白がはじまったら必要以上に「驚かないこと」と「意見を言わないこと」
この美魔女コンテストには裏テーマがありました。それは「人妻再評価コンテスト」とも言うべきテーマです(中略)美しくなった妻が、外の世界で美しいと再評価されたら? きっと夫たちは妻の美しさを再認識して、妻の元にもどってくるのではないか?
もっと売りたいという欲が、ブランディングの一番の敵
「SST」という造語(シミ・しわ・たるみの頭文字を組み合わせたもの)をつくり、この造語によって、もっとカジュアルな感覚で女性の加齢について語れるベースをつくりました
無難な表現は何も言っていないことと同じ
◆人間が他社に抱く感情の4段階
同情→共感→賞賛→嫉妬
女性月刊誌はすべてこの「共感と賞賛」を狙ってつくられています
情報に体温を乗せることが、「絞り込む」ための近道
ディテールこそ、コアなターゲットに刺さるものでなければなりません
「絞り込む」ためには冒頭くらいがちょうどいい
私たちは否定ではなく肯定によって「時代の感性」を理解しなければなりません
◆ブランニューの法則
BRAND+REAL+NEWS+WEB=BRNW(ブランニュー)
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『「欲望」のマーケティング』山本由樹・著 ディスカヴァー・トゥエンティワン
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4799312316
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◆目次◆
PART1 本当の欲望を聞き出せているか?
PART2 絞り込めているか?
PART3 巻き込めているか?
PART4 揺るがせているか?
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