2012年8月7日

『マイ・フレンド・マイケル』フランク・カシオ・著 Vol.2939

【成功者マイケル・ジャクソンの教え】
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4864101787

本日の一冊は、生前のマイケル・ジャクソンと家族ぐるみで親交を持ち、のちにビジネスパートナーとしても活躍したフランク・カシオ氏による回顧録。

ビジネスマンの本に限らず、優れたノンフィクションは、人生に何らかの教訓を与えてくれるものですが、本書もまたそんな一冊です。

本書には、ニューヨークの名門ホテル「ヘルムズレイ・パレス」でVIP担当をしていた父・ドミニク・カシオの縁で、マイケル・ジャクソンと出会い、その後、彼のビジネスや一連のスキャンダルに巻き込まれることになる著者の半生が、事細かにつづられています。

マイケル・ジャクソンを巡る数々の疑惑、スキャンダルへの回答と、著者が見た真実、知られざるMJとのエピソードがつづられており、ファンにとってたまらない一冊でしょう。

しかしながら本書は、ビジネス書としても楽しめる点が、これまでのMJ本と違うところ。

マイケル・ジャクソンが若き日の著者に語った人生訓や、オックスフォード大学での名スピーチ、MJが愛読していた自己啓発書、さらにはヒットの法則まで、じつに興味深い内容が盛り込まれています。

あくまで話の中心は、著者とMJとの交遊録、そして誤解されることの多かったMJのスキャンダルの真相ですが、時折挿入される感動エピソード、そして人生訓が、学びをもたらしてくれます。

頂点に立った者でなければわからない孤独や不信、さらには人間の持つ醜さ、負の側面など、普通の生活では経験できないことが、たくさん書き込まれています。

何の分野であれ、頂点を目指す方は、ぜひ読んでみてください。

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▼ 本日の赤ペンチェック ▼
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5歳の子どもみたいに弾ける曲なら、永遠に残りつづける

マイケルに本が嫌いだというと「だったら一生無知で馬鹿のまま過ごすことになるよ。君はその気になればどんなことだって実現できる。でも、知識を身につけなければゼロだ。今、僕が百万ドルあげると言ったら受けとるかい? それとも百万ドルを稼ぐ方法を知りたい?」僕には答えがわかっていた。「稼ぐ方法」「そうだ。それがわかっていれば、稼いだ100万ドルを、200万ドルに増やせるからね」マイケルが僕に最初に読ませたのは『積極的考え方の力─ポジティブ思考が人生を変える』(ノーマン・V・ピール著)という本だった

ジョナサンは、自分にただのカモメとして生きる以上の人生があることに気づいた。いま目の前にあるものがすべてではないと知ったのだ。マイケルは、このジョナサンのように生きたがっていた。みんなが無理だと思うところまで飛んで、誰も経験したことのない人生を歩む。「君はジョナサンになりたい?それともふつうの鳥になりたいかい?」よくこう尋ねられたものだ

ふたりを教養ある人間に育てたいと願っていたマイケルは、何かにつけてものごとを教えていた。何かが壊れたときはしくみについて説明する。雨が降っていれば水の循環について教える

ネヴァーランドに来た人は誰もが童心に返る。実業界の有力者さえも同じだ。水風船の砦でもはしゃぎまくり、しかも何時間も投げあいでエキサイトしたあとで、マイケルとの契約をまとめるのだ(マイケルはいつも、ネヴァーランドに連れてくるのが一番確実に契約を結ぶ方法だと言っていた)

マイケルはよく、曲が自然に生まれてくると言っていたが、実際には曲作りのために大変な努力をしている。制作過程は曲ごとに違っていたが、たいていはメロディーの一部から入って、そこに詞をつけていた。相変わらず最新のヒット曲に耳を傾け、トップテン・リストをチェックし、気に入った曲があれば何度も繰り返し聴いていた

彼は天性のディレクターだ。スタジオに入ってくるとみんなとハグし、前日から進展があった部分を各人から聴いていく。すべての音を耳に入れ、気になる部分があれば、けなすのではなく相手がやる気を起こしそうな言い方で指摘する。大声を上げたりキレたりせず、常に敬意を払いながら、言いたいことははっきり言っていた

「人はみな、子ども時代の産物です。でも私は違います。“子ども時代の欠落”の産物なのです。驚きに満ちたかけがえのない時間を、私は経験できませんでした。親や身内の人たちの愛情に包まれて、世の中のことなど気にせず自由にはしゃぎまわり、一番気にかかるのは月曜日の綴りテストの勉強──そんな時期を、私は体験できなかったのです」(オックスフォード大学でのスピーチ)

一度、マイケルがこんなことを言ったのを覚えている。「フランク、ひとつのことをきちんと終わらせたほうがいい。いっぺんに300もやっちゃだめだ。ひとつも終わらないよ」

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『マイ・フレンド・マイケル』フランク・カシオ・著 飛鳥新社

http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4864101787
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◆目次◆

プロローグ
第1章 新しい友達
第2章 夢の国へ
第3章 平凡な日常に、さようなら
第4章 驚きの世界
第5章 犠牲
第6章 ふたつの「世界」
第7章 歴史をつくる者
第8章 ふたりの旅と「マインドマップ」
第9章 父親マイケル
第10章 ステップアップ
第11章 新しい役目
第12章 ネヴァーランドで暮らす
第13章 100の曲
第14章 無力
第15章 急展開
第16章 どん底
第17章 ショウは続く
第18章 幕間
第19章 おかしな行動には理由がある
第20章 誤解
第21章 嘘の告発
第22章 審判
第23章 和解
第24章 信じられない出来事
エピローグ

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