2012年5月5日

『部下育成の教科書』山田直人、木越智彰、本杉健・著 Vol.2845

【ステージ別に部下を育てる】
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4478020442

この4月から新卒を入れてわかったこと。

それは、「社員はステージごとに教えることが違う!」という、ごく当たり前のことでした。

毎年、新卒が入ってくる従来型の大企業であれば、この認識は当然あると思いますが、戦力のほとんどが中途採用の中小企業では、おそらくどの社員もいっしょくたにして教育を行っているはず。

経営者がどんなに素晴らしい講師を招いて研修しても結果が出ない理由は、まさにここにあるのではないでしょうか。

本日の一冊は、企業の人材教育を手掛けるリクルートマネジメントソリューションズのメンバーが、年間受講者15万人を誇る企業人の成長モデル「トランジション・デザイン・モデル」を公開した、注目の一冊。

なかでも、多くの企業が悩んでいる一般社員層を4つの成長ステージに分け、どうやって育成・指導したらよいか、事細かにレクチャーしています。

◆一般社員層:4つのステージ
1.スターター
  ビジネスの基本を身につけ、組織の一員となる段階
2.プレイヤー
  任された仕事を一つひとつやりきりながら、力を高める段階
3.メインプレイヤー
  創意工夫を凝らしながら、自らの目標を達成する段階
4.リーディングプレイヤー
  組織業績と周囲のメンバーを牽引する段階

とりわけ有用なのは、「ステージの変わり目=トランジション」に注目した、指導方法。

部下が今のステージからワンステップ上に上がるための「5つのプロセス」を詳しく解説しており、じつに参考になります。

トランジションの段階で、どんな体験をさせればいいか、周囲はどう関わればいいか、どう声掛けをして意識を変えればいいか、丁寧にノウハウをまとめています。

運用できるかどうかは、マネジャー次第ですが、これは実践的なノウハウだと思います。

ぜひチェックしてみてください。

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▼ 本日の赤ペンチェック ▼
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職場における部下の能力やキャリアがバラバラな中で、それぞれの部下の成長段階に合った育成や指導ができていない

うまくいっているマネジャーは、部下の成長段階をきちんと捉え、その「段階」に合わせた仕事の任せ方、経験の積ませ方、仕事のプロセスでの関わり方を意図的に行っていた

業務の知識やスキルを身につけるというだけでなく、段階の移行においては、仕事の仕方そのものや、持つべき視界の広さなど、本人の意識や態度、価値観、姿勢といったところまで変化し成長してもらう必要がある

部下に対して、
・新たな段階に転換することを期待していることを告げる
・その「期待」とは具体的にどのようなものかを明らかにする
・サインを発信し、部下本人に気づかせることが、育成の重要なポイント

◆トランジションを促進させる周囲の関わりの例
1.スターターへのトランジション
・自分視点でなく、他社視点や多様な観点を示して考えさせる
・安心して相談してきてくれる関係性を作り、励ます
2.プレイヤーへのトランジション
・報告・連絡・相談の徹底を促し、事実と判断の根拠を求める
・一緒に振り返りを行い、できるようになったことや結果が出たことについて認める、ほめる
3.メインプレイヤーへのトランジション
・日頃から声をかけ、仕事の抱え込みの状況を把握しておく
・仕事に対する考え方や持論を語り合う
4.リーディングプレイヤーへのトランジション
・自分で手を動かして進めようとすることを注意する
・チームの成果を重視することを示す

◆スターターの育て方
・お客様や他部署の視点に触れる機会を作る
・できるだけ多くの同僚・先輩と触れ合う機会を作る
・小さな前進を認める
・社会人として求められる「基準」を明示する
・こまめに声がけを行い、職場への安心感を醸成する
・他者視点で考えさせる

「マネジャーが部下一人ひとりの育成に個別に関わるだけでなく、部下同士がお互いに関わりながらトランジションを促進し合っているチーム」を作る

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『部下育成の教科書』山田直人、木越智彰、本杉健・著 ダイヤモンド社
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◆目次◆

1章 「ものさし」を使って部下を育てる
2章 「変わり目」こそが部下育成のチャンス
3章 ステージ別に部下を育てる
4章 ステージ別育成をチームに取り入れる
5章 マネジャー自身の「この先」のステージ

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