【「優れた頭脳」の真実】
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本日の一冊は、ジム・コリンズが絶賛したビジネス書、『トレードオフ』の著者、ケビン・メイニーによる注目の最新刊。
※参考:『トレードオフ』
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正直、最初は何の本かわかりませんでしたが、読んでいるうちに、その意味するところが、だんだんわかってきました。
タイトルだけ見ると、個人のキャリアに関する本のようですが、実際には、予測力に優れた個人の秘密に始まり、組織の予測力を高める方法、予測力を高めるためのコンピューティング・システムにまで話が及びます。
あまりに広いテーマを扱っているため、話の焦点が絞りにくいのが残念ですが、個々の実験データ、考察から得られる知見は、きっとこれからのビジネスに役立つものと思われます。
土井は、セガ時代のゲームセンター、アマゾン時代のバイイングを通じて、フィードバックの迅速さがいかに学習を促進するかを学びましたが、本書でいう「予測力」はそれをはるかに超えたコンセプト。
リアルタイムデータをもとに、今すぐ未来を読み、行動を修正するための方法論を述べているのです。
顧客の動きを察知して、効果的な販促を行い、成功しているサムズクラブ、予測テクノロジーを導入して顧客満足度を高め、カジノビジネスで成功したハラーズなど、現在進行形の「組織予測力」の事例が紹介されており、参考になります。
近い将来、このようなシステムが本格的に導入されれば、犯罪やテロ、原発事故の防止にも役立つでしょう。
もちろん、企業が導入すれば、他社に先んじて効果的なビジネス、商品を生み出すことができると思います。
近未来を予想するための本ですが、教養として読んでおいて損はないと思います。
ぜひチェックしてみてください。
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▼ 本日の赤ペンチェック ▼
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才能ある人々は一〇年後など見通せなくてもかまわない。それどころか、一〇日後の予想さえもできなくてよい。隙間や機会を見つけるのに十分なだけの「ちょっと先」を、競争相手よりも一瞬だけ早く、高い確度で予測できればそれでよいのだ
科学者のあいだでは何十年も前から、「知性は行動をもとに決まる」と考えられていたが、ホーキンスはこれに異論を唱えた。「そうではなく、知性を左右するのは予測です」
わたしたちは、予測と現実が歩み寄った結果を「見て」いるのだ
予測が正しいとわかると、この予測パターンはより強く刻まれる。他方、現実によって裏切られた予測内容は、修正されるか捨て去られる。学習とは、おおよそこのようになされるものだ
予測力の増進に最も役立つのは、同じ物語を何度も読んでもらったり、童謡を覚えたりすることだ。自分の予測が当たると充足感が得られ、耳から入った音が結びついてチャンクとなり、言語の理解を助けてくれる
脳はときおり刺激や変化を求め、予測を裏切る出来事が起きるとそれが脳にとっての刺激となる。わたしたちは予測のつかない未知の出来事に注意を引かれ、「もっと知ろう」という気持
ちになる
有能な人物は「何が起きたか」だけでなく、「何が起きなかったか」も考慮して予測を行う
膨大な情報があとから届くよりも、わずかな情報が事前に届くほうがたいていは有益である
サムズクラブは、一見したところ脈絡のないショッピングからも、出産や離婚といった人生の一大事を高い確度で予測できることに気づいた(中略)従来のクーポンは割戻率が一パーセント前後であるのに対して、イーバリューズを使ったサムズクラブの販促では二〇~三〇パーセントもの高率になっている
ワインの優劣を決める要因は星の数ほどもあるが、何より大きいのはブドウの木の水分である(中略)フルイティション・サイエンシズは、ブドウの木にじかにセンサーを取りつけて、水
やりのタイミングと分量をブドウ園の管理者に知らせるサービスを提供している
データからは、カジノの顧客のなかには損失の上限を決めていて、負けがその金額に達すると座を立って帰っていく人々がいることがわかった。サムズクラブと同じようにハラーズも、優待カード利用者について予測モデルを築けることに気づいた
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『予測力「最初の2秒」で優位に立つ!』ケビン・メイニー、 ヴィヴェック・ラナディヴェ・著 朝日新聞出版
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◆目次◆
第1部 天才の脳
第1章 ウェイン・グレツキーの予測脳
第2章 タイプ1とタイプ2、そして大脳皮質
第3章 優れた頭脳
第4章 ふつうの脳の優れたソフトウェア
第2部 優れたシステム
第5章 頭脳さえあったら
第6章 優れたテクノロジーと優れた企業
第7章 脳のようなコンピュータとコンピュータのような脳
第3部 “最初の二秒”の優位
第8章 “最初の二秒”の優位とよりよい世界
第9章 “最初の二秒”の優位とよりよい頭脳
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