【名店「野田岩」の経営哲学】
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4785504056
本日の一冊は、200年続くうなぎの老舗「野田岩」の五代目による、珠玉の経営論。
もともと職人さんの書いた本は好きで、このBBMでも何冊か紹介していますが、この一冊はまた格別。
著者が一方的に思想やノウハウを語る本ではなく、それが代々どう受け継がれてきたか、著者が今にいたるまでどんな試行錯誤を重ねてきたかがつぶさに書かれた、じつに読み応えのある一冊です。
父から学んだ目利きの技術、交渉術、母に戒められたこと。こうした学びに、著者独自の体験を加え、完成された経営哲学。
まとめてしまえば、変化し続けること、時間を守ること、謙虚であること、人を大切にすることなど、ごくごく当たり前のことですが、そこにいたるエピソードがすごい。
甘い味が好まれると知って改善したたれの味、高級店に負けた悔しさから導入した輪島塗の器、「伝統と革新」の精神にのっとり、うなぎとワインをマリアージュさせる試み…。
変えないものは断固変えないけれど、それ以外は挑戦し続ける。
五代目の経営哲学に、思わずうなってしまう一冊です。
人材育成に関する考え方も参考になるので、後継者育成に悩む中小企業経営者は、ぜひ読んでみることをおすすめします。
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▼ 本日の赤ペンチェック ▼
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店を出すために人を育てるのではなく、人が育ったから店を出す。人材育成が先で、出店は後。店は人がすべてです
子どものころから父の後をついてうなぎの仕入れに行き、それを焼き上げる煙を吸いながら育ちました
どれほど素晴らしい焼き上がりであっても、そこで満足することはありません。今日は昨日よりも美味しくつくろう、明日は今日よりももっと美味しくつくろうと、常に高みを目指して挑戦し続ける―それが職人です
家族四人で一万円ちょっとあればお腹いっぱい食べられる―それが「庶民のご馳走」の価格として、一つの目安だと思っています
現代のお客さまは運動量が少なく、空調のおかげもあって、夏場でもあまり汗をかきませんから、身体があまり塩分を必要としません。味覚も変化してきたようで、昔よりもずっと甘い味が好まれるようになりましたから、たれは現代の味覚に合うように醤油と味醂の配合を変えています
お客様に料理を楽しんでいただくためには、相応の器も欠かせません。野田岩では鰻重に輪島塗の器を使っています
「見る目がある」「あの店におかしなものは出せない」と思われるようになれば、後々の取引が進めやすく、良いうなぎを仕入れやすくなります
自分で本場を見ていないと、説得力あるお話はできません。単なる真似事ではお客さまに見抜かれてしまうのです
父は私によく「人より早く出なさい」と、言っていました。遅い時間に仕入れに行ったら、良いうなぎが手に入らなくなるからです
「買う」ことは商売の基本だと言えます。つまり、優れた商人は購買のプロフェッショナルなのです
生産者に適正利潤を還元することは、継続して良いものをつくっていただくことにつながります
経営者は率先して遊び、人生の楽しさを従業員に伝えるべき
仕事がスローモーションでは役に立ちません。どこか早い段階で、仕事のスピード感を教えなければならない
本人が一流を知らないのに「もっと良いものを!」と強いるのは酷なことです
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『生涯うなぎ職人』金本兼次郎・著 商業界
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4785504056
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◆目次◆
第一章 頑固なまでにこだわって
第二章 父の背に学ぶ職人としての生きざま
第三章 母が説いた商人としての心意気
第四章 先の見えない時代だからこそ
第五章 次代を担う人材を育てる
第六章 人間として、教養人として
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