2011年7月29日

『おいしいから売れるのではない売れているのがおいしい料理だ』正垣泰彦・著 Vol.2564

【名著】
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4822233480

本日の一冊は、サイゼリヤの創業者、正垣泰彦さんによる初の著書。

最初タイトルを見た時には、正直反発したのですが、この言葉には、じつは深い意味がありました。

著者自身の言葉を借りると、この言葉には「目の前の現実を謙虚に受け入れて、本当にお客様が満足されることは何かを見極めようという私の思いを込めている」のだとか。

自己欺瞞に陥り、現実が見えなくなる経営者が多いなか、この姿勢は見習うべきだと思います。

学生時代の仲間に誘われて千葉で開店した「サイゼリヤ」が不振で、深夜まで営業時間を延ばしたところ、ならず者のたまり場に。

「しまいには客同士のけんかで石油ストーブが倒れ、店が燃えてしまった」という強烈な体験をした著者。

それでもめげずに店を継続し、5割引きにしても売れないから7割引にしたら、「客数が1日20人から一挙に600~800人まで増えた」そうです。

「恐怖」をものともせず、あくまで数字をベースに仮説を淡々と検証していく著者の姿勢には、驚くばかり。

飲食業を極めた著者の「仮説」は、一読の価値ありです。

給料を削ってでも核商品を作ること、メニューを売るのではなく食材を売ることを考える、商品間の価格差を広げすぎない、原材料費は絶対にケチらない、仕入れは価格より品質を重視すること…。

飲食経営をする方にとっては、まさにドル箱の金言。

業種が違う方でも、不況を乗り切るヒントが満載の一冊です。

今すぐ買って読んでみてください。

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▼ 本日の赤ペンチェック ▼
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不況下で、大切なのは売り上げの確保ではなく、無駄を無くすことだ。周囲の店が値下げに走っているから、売り上げが欲しいからといって安易な値下げによる販促をすべきではない

どうすれば無駄を無くせるか? 一番効果があるのは、何かを改善しようと考えるのではなく、今までやっていたことをやめることだ。飲食店ならメニュー数を絞ることが一番無駄を減らせる。同時に、自分の店にしか出せないぞ、という強いメニューを作ることだ

個人経営・中小の店には「核商品」をゼロから作るとっておきの方法があるので紹介しよう。これは私も経験したことなのだが、店主が自分の給料を削ってお客様に還元するというものだ。店主の給料を削って、その分だけ、原価を上げる

お客様がその店の料理をおいしいと感じて、また店に来てくれるかどうかは、料理の品質と店の用途が合っているかどうかで決まる

世の中が豊かになればなるほど、消費者は用途で店を選ぶ。それは飲食店も同じで、今後も用途は多様化し、細分化していくだろう

ほとんどの人はメニューそれぞれをもっと売るにはどうするか、という視点から考える。しかし、どんな食材をお客様が口に入れているのか、というデータに変換してみると、店の料理をもっと売るには、最もお客様に食べられている食材から順番に品質を良くしていく方が効果的かもしれない、という仮説に気づく

いくら掛かるか分からないという状態は、消費者に強いストレスを与える。しかし、こうした苦痛は、商品の値付けを工夫することで取り除ける。ポイントは商品間の価格差を広げすぎないことだ

「おいしい」=「客数」と考えるようにしている

お客様が怒って再来店しなくなるのはクレンリネスに問題があるときだ

仕入れは価格より、品質を重視せよ

何が一番大切かといえば、仕入れ業者との間で、納品してもらう食材の品質について下限を決めることだ

品質の良い食材を安定して調達するには、良い仕入れ業者を選ばなければならない。これは至ってシンプルで、繁盛店に卸しているところから仕入れるようにすること

個人経営の店が繁盛店であり続けるためには、原価率は40%以上であるべきだ

人口の少ない「地方」では、ターゲットを絞る店は成り立ちにくい

人が頑張れるのは誰かの役に立つからだ

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『おいしいから売れるのではない売れているのがおいしい料理だ』正垣泰彦・著 日経BP社
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4822233480

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◆目次◆

第1章 「客数増」がすべて お客様本位の物の見方とは
付録1 サイゼリヤ流のカイゼンを徹底解剖
第2章 十分な利益を確保するには 大切なのは儲かる仕組みづくり
付録2 サイゼリヤ農場が被災でも絶望などしていられない
第3章 リーダーと組織の在り方 人が頑張れるのは誰かの役に立つからだ
あとがきにかえて 有力経営者が語る「正垣泰彦」
ニトリホールディングス社長 似鳥昭雄

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