【NTTに挑んだ稲盛和夫と19人の若者】
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4532167361
先日、部下と訪れた上海の高層ビル群を眺めていて、ふと思ったことがあります。
現在、上海でもっとも高い建物は、地上101階、高さ492mの「上海環球金融中心」ですが、現在、これよりも高いビルを建設中です。
この都市の活気の源になっているのは、もちろんお金もあるでしょうが、何よりもこの「一番高いビルを建ててやろう」という気概にあるのではないでしょうか。
夢が才能や技術を集め、不屈の精神がそれを実現していく。
これこそがビジネスです。
本日ご紹介する一冊は、「電話料金を安くする」という信念のもとに集い、巨人NTTと戦った、稲盛和夫と19人の物語。
リスクをおかして大企業を飛び出したものの、その後、数多くの困難に直面し、何度も挫折しそうになる。そんな挑戦者たちの姿が、じつに生々しく描かれています。
支持する者、妨害する者、裏切る者、そして困難の先に待ち構える運命…。
やはり、ビジネスの世界は、下手なフィクション以上にエキサイティングかつドラマチックです。
実用性を求めて読む本ではありませんが、困難を乗り越えさせたアイデアの数々と、メンバーの不屈の精神に触れるだけでも、読む価値があるでしょう。
起業家にとっての燃料は、新たなことに挑む、挑戦心。
本書は、その燃料補給にピッタリの一冊です。
ぜひ読んでみてください。
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▼ 本日の赤ペンチェック ▼
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困難な事業を成し遂げるのは、
知識や技術や資金に恵まれた者ではない。
ただ純粋な心を持つ者たちである。
稲盛は繰り返し自問自答した。
「この思いは正しい動機に基づいているか。ただいい格好をしたいだけではないか。心の奥底に慢心や金銭的欲望やスタンドプレーへの渇望が隠れていはしないか」──。
「千本さん、あなたは今日、ずいぶんやんちゃなことを言っていましたね。失礼かもしれないけれど、ふだんからそういう言動だと電電公社の中ではあまり受けがよくないんじゃありませんか。もしかして、あなたははぐれ狼ではないですか」
もちろん種野自身、困難なプロジェクトだとは思っている。京都の部品メーカーに電気通信事業を手がけられるのかという疑問も完全には拭い切れていない。しかし稲盛に人生を賭けてみたい気持ちになっていた。あの人は人生を賭けるに値する人だ。あの人がやろうとしている事業なのだから、人生を賭けるに値する事業であるはずだ
「勝算はあるの? 相手は強敵だけれど……」飯田の質問に稲盛は手のひらを振った。「もちろん勝つつもりでやるけれど、勝算というのとは違うな。やると決めたからには勝つまでやりぬく、そういう気持ちだね」「そういうことなら僕、稲盛くんを応援するわ」
「電電公社という巨人を動かし、日本の電気通信サービスの質を向上させるには、だれかが巨人に飛びかからないといけない。たとえ、はじき飛ばされても、それは必ず日本の電気通信サービスをいい方向に動かすはずです」(社長、森山のスピーチ)
稲盛くん、私はね、いまつくづく思うんだ」真藤はタバコを吸い、煙を吐き出した。「独占は悪だと。独占はお客様である国民や社会のためにならないばかりではない。社員もダメにしてしまうんだ」
気がついてみれば当たり前なのだが、標準仕様の施設など、少なくとも我々には不要だった。利用者が増えたりネットワークが広がったりして通信設備や機器が足りなくなったら、その時点で増設すればいい
「徒手空拳で始めた我々が楽をしようと、持てる者の真似をしてはいけない。知恵を出し、汗をかかなければ」(稲盛)
一九八八年一月、新年最初の経営会議で、稲盛は大胆な決断を打ち出した。「アダプターをただで利用者に配る」幹部社員たちの顔つきが一変した
稲盛は確信した。固定電話に続き、移動体通信の自由化が遠からず実現する
経営には中心となる軸が必要であり、対等合併ではうまくいかない
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『挑戦者』日本経済新聞出版社 渋沢和樹・著
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4532167361
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◆目次◆
プロローグ 電話料金を安くする!
第1章 渦に飛び込む挑戦者たち
第2章 若き十九人の船出
第3章 弱者がトップに躍り出る
第4章 ぶどうの房と外様大名
第5章 不死鳥のように蘇れ
第6章 小異を捨てて大同に
エピローグ
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