2009年10月6日

『百年続く企業の条件』 帝国データバンク史料館・産業調査部・編 vol.1905

【百年企業に学ぶ、生存の条件】
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4022732946

本日の一冊は、信用調査で有名な帝国データバンクが、膨大なリサーチのデータをもとに、百年続く企業の条件に迫る一冊。

本書によると、日本は100年以上続く老舗が約2万社ある「老舗大国」で、創業200年以上は938社、300年以上でも435社存続しています。

現在は、100年に一度の大不況などと言われていますが、どうやら数百年生き残っている老舗企業にとっては、戦争以上のものではないらしい。

では、そんなに長い間生き残っていられる老舗企業の強さの秘密とは何なのか、彼らが大事にしているものは何なのか。

本書には、まさにその答えが書かれています。

「老舗企業として大事なことを漢字一文字で表すと?」という質問に対して、「信」が圧倒的な支持を集めて一位となったようですが、やはり信用が第一。

これだけでは面白くないのですが、興味をひくのは、老舗企業が変え続けているもの。

本書には、「創業から一部、もしくはすべてを変更した」ものとして、1.「販売方法」(78.7%)、2.「商品/サービス」(72.4%)、3.「主力事業の内容」、4.「製造方法」が挙げられていますが、これはつまり、これらの要素にしがみついてはいけない、ということを意味しています。

企業に就職する人も、好きな商品を扱っているというだけで企業を選んではいけない、というのがよくわかると思います。

本書には、「老舗の財務を分析する」など、ユニークな視点もいくつかありますが、読んでいて思うのは、やはり商売において大事なことは信用であるということ。

その信用を守るために、各社が実践している内容は、若い企業の経営者にとっても大いに役立つに違いありません。

データが多く、さらりと読めますが、書かれているのが事実だけに、示唆に富んだ内容です。

経営者の方、これから起業する方は、ぜひ読んでみてください。

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▼ 本日の赤ペンチェック ▼
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老舗企業として、大事なこと、重要視すべきことはなにか。ずばり漢字一文字で表現してください、とたずねたところ、信用、信頼の「信」が圧倒的な支持を集めて一位となった。二位は誠実の「誠」で、以下、「継」「心」「真」と続いた

自社の社風を漢字で表すと──この設問では、「老舗として大事なこと」で上位だった「信」「誠」「真」「心」などの感じを抑えて、「和」をあげた企業が圧倒的に多い

創業時から一部、もしくはすべてを変更したのは、「販売方法」が七八・七%で最多となり、「商品/サービス」が七二・四%、「主力事業の内容」と「製造方法」も、それぞれ五〇%以上の企業が「変更した」と回答した

創業以来のピンチは、「戦争」をあげる企業が最も多く、三四・二%(中略)戦争に次いで多かったのは「主力商品の売り上げ激減」(二七・五%)

老舗企業は事業の継続を最優先し、そのためには規模の縮小もやむなしと考える企業が多い

「木の根は分けるな、実った果実を分けよ」(製穀・製粉)のれん分けを戒めた家訓である

近江商人の教えである「売り手よし、買い手よし、世間よし」のいわゆる「三方よし」を家訓・社是・社訓に置いている企業も多い

「美味しいものを作れば、儲けはあとからついてくる」(生菓子製造)

「原料に勝る技術なし」(清酒製造)

「財産は三つに分けて持つ 一(土地)二(株、預金、現金)三(信用)」(清酒製造)

長い歴史を持つ企業は、医療や宗教などといった、人間の根元的な、生きることへの欲求に近いところにあるものが多い

老舗企業の六三・一%が年商三億円未満

技術は変えていかなければならず、顧客満足の追求は変えてはいけない

営業外収支が良好であることにより、本業における収支が多少揺らいでも黒字を維持できるというビジネスモデルが老舗には多い

老舗企業は相対的に資本効率が悪い

日本には、家族経営で創業者一族が経営に参画している企業が多い。これが、日本が老舗企業大国となった背景でもある

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『百年続く企業の条件』朝日新聞出版 帝国データバンク史料館・産業調査部・編
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4022732946
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◆目次◆

第一章 戦災、震災、恐慌を生き抜いた老舗の社是、社訓
第二章 老舗とは何か
第三章 老舗は一日にして成らず──12社の肖像
第四章 老舗の財務を分析する
第五章 老舗が倒れるとき
第六章 変わる老舗、新しい老舗

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