【日清食品二代目のマーケティング成功方程式】
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4120040658
本日の一冊は、日清食品ホールディングスCEO、安藤宏基氏による待望の処女作。
商品開発に人並み外れた執着心を持ち、「チキンラーメン」「カップヌードル」などのヒット商品を連発、カリスマ社長として知られた安藤百福氏の後を継いだ著者が、創業者の教えを思い出しながら語った、異色のマーケティング本です。
土井は、祖父の事業の三代目として育てられ、結局は自ら起業して創業者になったという経歴から、創業者、後継者、双方の気持ちがわかる人間と自負していますが、そんな立場から思うのは、「二代目は、創業者精神を尊重しなければならない。ただし、商品・売り方に関しては、時代を見つめ、適宜変更しなければならない」ということです。
安藤宏基氏は、創業者精神を尊重しながら、マーケティングにおいては大胆な戦略を採用し、「焼きそばUFO」「どん兵衛きつね」「ラ王」「ごんぶと」「Spa王」などのヒット商品を連発。いわゆる「守成の経営」に徹し、成功を収めました。
著者の言葉で感動したのは、「創業者とうまく付き合うための『四つの教訓』」のなかで、以下の2つを説いていること。
1.会社の無形資産の中で最大価値は「創業者精神」であると思え
2.二代目の功績は創業者の偉業の中に含まれると思え
思うに、後継者が失敗するのは、その自尊心ゆえ。愛されることを求め、創業者精神を否定するから失敗するのです。
著者が、何度も何度も繰り返し、創業者の愛を理解できなかったことを悔いているのを見て、事業承継の究極のポイントは愛にある、と確信しました。
経営者にとっては、感動の一冊。マーケターにとっては生きた教科書。
著者の人生を凝縮した、珠玉の一冊です。
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▼ 本日の赤ペンチェック ▼
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正式な社内スローガンは「打倒カップヌードル」だった。ところが、社員を前に呼びかけるときに、勢いあまって「カップヌードルをぶっつぶせ」と叫んでしまった
決定は決定ではない。本当にこれでいいのかと、ぎりぎりまで考える。周りの人たちはやきもきして苦労していると思うが、物事のデ
シジョン(決定)には、これくらいの入念さが必要なのである
「草創成就」という言葉がある。(中略)「草創」とは事を起こすことであり、創業者の仕事を指している。「成就」とは事を成し遂げることであり、後継者の私が成すべき仕事だと思っている
「インスタントラーメンはヌードルのイミテーションではない。そんな屈辱的な表現はがまんならない。正々堂々とラーメンで売ろう」安藤百福が決断した。「いくら食習慣の違うアメリカ人といえども、こんなにおいしくて便利なものを食べないわけがない」
お金にはうるさい。しかし決してケチではない。「ムダなお金は一銭たりとも使うな。本当に必要なお金なら惜しみなく使いなさい」とよく言われた
状況を聞きつけた安藤百福が日本からやってきた。「すぐに生産をやめろ。売れないようなものを作るな」と言う。恥を忍んで生産ラインを止め、すべての従業員を一時帰休させた。「従業員には帰休中も一〇〇%の給料を払いなさい」これが創業者の答えだった。「給料さえ払っておれば、何も恥じることはない」と言うのだ。私はまだ若いな、とつくづく思い知らされた
「事業はすべて、進むより引く方が難しい。撤退時期を逸したら、あとは泥沼でもがくしかない」(創業者の言葉)
最後は、本当にこんな香りでいいのかというくらい、強烈な液体ソースが開発された。これがUFO成功の鍵だったと思っている
◆創業者とうまく付き合うための「四つの教訓」
1.会社の無形資産の中で最大価値は「創業者精神」であると思え
2.二代目の功績は創業者の偉業の中に含まれると思え
3.二代目は「守成の経営」に徹すべし
4.創業者の話に異論を挟むな。まず「ごもっとも」と言え
どんな狭い世界でもいい、どんな小さなジャンルでもいいから、No.1のポジションを取れ
カニバリ結構。他社に食われるくらいなら自社で食え
創業者は、「利益とは結果であって、それを目的としてはならない。会社はよい仕事をしたらもうかるのである。もうけ主義とは違う」
といつも言っていた
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『カップヌードルをぶっつぶせ!』中央公論新社 安藤宏基・著
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4120040658
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◆目次◆
第1章 創業者は普通の人間ではない
第2章 創業者とうまく付き合う方法
第3章 ブランド・マネージャーの仁義なき闘い
第4章 勝つまでやめない新製品競争
第5章 ブランディング・コーポレーションへの道
第6章 「ラーメンロード」はローマに通ず
番外編 面白くなければCMじゃない!
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