2009年10月9日

『「考え方」の考え方』指南役・著 vol.1908

【ホイチョイのブレーンが明かす発想術】
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/447977128X

本日の一冊は、天才クリエイティブ集団、ホイチョイ・プロダクションズのブレーンが明かす、企画作りのノウハウ。

大ヒット映画「踊る大捜査線 THE MOVIE2 レインボーブリッジを封鎖せよ!」や、夏目漱石の『明暗』、ソフトバンクのCMに出てくる「犬のお父さん」など、有名作品の裏話をもとに、アイデア発想の原理・原則を説いた、興味深い読み物です。

1年前に出され、既に賛否両論あるようですが、土井が読む限り、出版にも応用できる話がたくさんあります。

たとえば、佐藤雅彦さんはテレビCMを企画する際、何も映っていないテレビを眺めていたそうですが、これは本でもできることです。

何も印刷されていない本を見た時、そこにどんな絵や文字を入れて埋めていくか。

そんなところからアイデアが浮かんできそうです。

また、制約を作ることでアイデアが浮かんでくるという話や、一般の情報源からでも時の総理大臣を退陣させられるだけの情報が得られるという話、「引き算の美学」など、主張には共鳴できる点がいくつもあります。

ただ、残念だったのは、さほど売れなかったご自身の著書のタイトルを自画自賛されていることで、実際の売れ行きを知っている者としては、ほかの内容も主観的? と疑わざるを得ませんでした。

しかしながら、全体としては、アイデア本としてよくまとまっており、たくさん気づきが得られる内容です。

企画稼業に携わる方は、ぜひチェックしてみてください。

————————————————————
▼ 本日の赤ペンチェック ▼
————————————————————

この世にアイデアマンはいない。「彼はアイデアマンだ」そう呼ばれる人がいたら、彼はアイデアの「考え方」を知っているだけである

すぐれたアイデアはゴールシーンから生まれる

優れた創作活動を行っている人たちは、決して腕組みして、アイデアのインスピレーションが湧くのを待っているわけではない。ルーティン的に机の前に座り、とにもかくにも「書き始める」ことで、アイデアを降臨させている

推敲に9割の力を注ぐ

ルビッチならどうする?これは、映画「サンセット大通り」や「アパートの鍵貸します」の映画監督であり、脚本家でもあるビリー・ワイルダーの書斎に貼られた紙に書いてある言葉である。ルビッチとは、ワイルダーの師匠で映画監督のエルンスト・ルビッチのこと

降臨したアイデアが一石二鳥程度なら、それは「正解」とは呼べない

ヤングは、アイデアとは「0から1を産み出す」行為ではなく、自分の頭の中にある「2つ以上の知識の組み合わせ」に過ぎないと説いている。0→1ではなく、X+Y=Zであると。

「記憶とは、脳の神経細胞(ニューロン)が結びついた神経回路、ネットワークに保存されます。しかし、神経細胞は数に限りがあるため、1つの神経細胞が複数のネットワークに参加しています。このとき、ある神経細胞を介して2つのネットワーク(記憶)が結びつくことがあり、それが創造という行為です」(『記憶力を強くす
る』池谷裕二)

「人間は、制約の下でこそ、知性という翼を自由に羽ばたかせる」(佐藤雅彦)

CIAの情報源の95%は、実は新聞記事なのだ。日々、世界中で発行される新聞の数々。お金を払えば誰でも読める一般紙。だが、それらが伝える情報の断片断片を拾い集め、丁寧に繋ぎ合わせていくと、とてつもない大スクープが浮かび上がってくるのだ

「広告の読み手をスタジアムに集まった群衆であるかのように扱ってはならない。人はあなたのコピーを読むときは個人個人。だから彼ら1人1人に手紙を書いていると考えること。1人の人間として、1人の人間に手紙を書く。この作業は2人称単数である」(デビッド・オグルビー)

積極的に先人たちのアイデアを学ぶ。そしてオマージュするときはネタ元に敬意を示す。それがクリエイティブに携わる人間のモラルである

ネーミングを変更しただけで、売上げを飛躍的に伸ばした商品は意外と多い。ネピアの保湿ティッシュ「鼻セレブ」もその1つで、以前は「モイスチャーティシュ」という名前だった

ローマ時代の哲学者、セネカの有名な言葉がある。「神が人間を多種多様に分かったのは、相互に扶助させようとするためである」

————————————————
『「考え方」の考え方』大和書房 指南役・著
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4903212122
————————————————

◆目次◆

1章 始動 スターター・キット
2章 環境 シチュエーション
3章 技術 テクニック
4章 品質 クオリティ

この書評に関連度が高い書評

同じカテゴリーで売れている書籍(Amazon.co.jp)

NEWS

RSS

お知らせはまだありません。

過去のアーカイブ

カレンダー