【田坂広志氏、資本主義の未来を語る】
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4492395180
本日の一冊は、ソフィアバンクの創業者であり、2009年の世界経済フォーラム、通称「ダボス会議」にも参加した論客、田坂広志氏が、資本主義の未来を論じた、注目の一冊。
田坂さんと言えば、弁証法哲学により未来を予見する手法が広く知られていますが、本書でも、その手腕をあますところなく発揮しています。
ドラッカーは、未来を予見する方法として、「自分で創ること」と「すでに起こったことの帰結を見ること」を推奨しましたが、もうひとつ、「あるべき姿を考える」というアプローチがあると思います。
本書がやっていることは、まさにこの「あるべき姿を考える」という哲学的なアプローチ。
知識資本が進化して文化にいたる過程や、マネタリー経済とボランタリー経済の融合、「享受型イノベーション」から「参加型イノベーション」への変化など、読んでいるだけで脳が刺激され、いろんなアイデアが浮かんできます。
明確なビジネスヒントをくれるわけではありませんが、既に自己を確立している企業や個人が、今度どこへ向かうべきなのか、考えるためのヒントとなります。
ぜひ読んでみてください。
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▼ 本日の赤ペンチェック ▼
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古い眼鏡をかけたまま、新たな世界を見ることはできない
複雑系全体の挙動を決めるのは、全体を支配するルールではなく、個々の要素(エージェント)の行動ルールである
市場における個々の企業や個人の行動ルール、倫理基準や行動規範を変えることによって、経済や市場の創発や自己組織化の結果が、大きく変わるのである
現在の経済危機の後の世界の経済秩序を考えるとき、我々は、「自由競争の維持」と「政府規制の強化」という二つの方法だけでなく、「自己規律の促進」という第三の方法を重視しなければならない
「競争に勝てないから」という理由で「社会的責任」を重視する経営者は、その思想ゆえに、必ず、流される(中略)この経営者は、いつか「競争に勝てないから」という理由で、「社会的責任」を無視することを行うだろう
ある人間観にもとづいて生み出される制度は、その制度が社会に定着するにつれ、逆に、その制度が想定する人間を増やしていく
規制と懲罰だけによって秩序を維持しようとする社会は、必ず、隠れたる堕落を生む
◆知識資本の進化
知識資本→関係資本→信頼資本→評判資本→文化資本
「社会的な高い評価」や「世間での良い評判」とは、本来、単なる自己宣伝や企業の広報戦略で生まれてくるものではなく、究極、人物であれば、その人物の「人間性」、企業であれば、その企業の「企業文化」から生まれてくるものである
ウェブサイトやブログが誰にも使えるようになり、BBS(電子掲示板)やネット・コミュニティなどに誰もが参加できるようになった。その結果、「知識」や「関係」、「信頼」や「評判」「文化」といったものが、「目に見える」ようになり、ビジネスや社会において、圧倒的な影響力を発揮し始めている
アマゾンのビジネスモデルは、実は、マネタリー経済とボランタリー経済が融合したものに他ならない
創造的発想の技法において、我々が心に刻んでおくべき言葉がある。「橋のデザイン」を考えるな。「河の渡り方」を考えよ。
「責任・義務」という言葉には、それを遵守しなかった場合の「非難・懲罰」のような否定的なニュアンスが込められているが、「使命」という言葉には、それを実現できたときの「精神的報酬」のニュアンスが込められている
仕事の報酬とは、何か。その「報酬観」が、日本的経営の強さであった
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『目に見えない資本主義』東洋経済新報社 田坂広志・著
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4492395180
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◆目次◆
第1話 これから資本主義に何が起こるのか
第2話 資本主義の未来を予見する哲学
第3話 「操作主義経済」から「複雑系経済」へ
第4話 「知識経済」から「共感経済」へ
第5話 「貨幣経済」から「自発経済」へ
第6話 「享受型経済」から「参加型経済」へ
第7話 「無限成長経済」から「地球環境経済」へ
第8話 「企業倫理」を身体化していた日本型経営
第9話 「見えない資本」を見つめていた日本型経営
第10話 「社会貢献」と「利益追求」を統合していた日本型経営
第11話 「主客一体」を追求していた日本型経営
第12話 「有限・無常・自然(じねん)」を前提としていた日本型経営
第13話 なぜ、日本型経営が復活するのか
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