2009年6月25日

『35歳までに身につけておくべきプロの経理力』 児玉尚彦・著 vol.1802

【企業参謀になれる人の条件とは?】
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4534045751

エリエスの立ち上げ時、創業メンバーの2人に、こんな話をしたことがあります。

「カスタマー担当は、人体で言うなら神経系。経理は循環器系だ。足が腐ってきているのに痛みを感じなければ肉体はやがて滅んでしまうし、それは血が巡らなくても同じことだ。カスタマー担当は、なるべくお客様と接し、本音をフィードバックすること。経理は、今いくらのキャッシュを使えるのか、いくら投下していくらのリターンがあったのか、それだけを教えてほしい」。

今でも完璧にできているわけではありませんが、このことは、土井の経営において、大切な考え方のひとつとなっています。

ただ、弊社の経理担当を見ても、このたった2つのリクエストがきちんとできているかというと、どうもそうではない。

東証1部上場企業の経理本部長を務めた方でもこうなのだから、おそらく相当数の経理担当が、経営者が求めていることとはかけ離れた業務をやっているのではないかと推察します。

本日ご紹介する一冊は、まさにその点に着目し、経理マンが今後、「経理屋」から「企業参謀」に飛躍するためのポイントを示した一冊。

そう、まさに経理マンのための自己啓発&キャリア本なのです。

では、一般のビジネスマンや経営者には関係ないかというと、そうではありません。

本書で述べられている考え方、数字の読み方、技能は、これから企業トップ、あるいは参謀となって活躍する人、すべてに必要な考え方なのです。

オフィス内のあらゆる業務がIT化、アウトソーシング化によって不要となった現在、求められるのは、どこまで合理化できるのかを追求することと、余った時間・お金で付加価値を高める活動をすること。

おそらく本書を読むことによって、その両方のエッセンスがつかめるようになると思います。

経理作業を合理化したい経営者はもちろん、将来起業を考えている人、企業内で参謀を目指す方に、おすすめの一冊。

期せずして、経営のコアスキルを学ぶことができる内容です。

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▼ 本日の赤ペンチェック ▼
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実際、経理社員に対して何を期待しているのか経営者に尋ねてみると、次のような答えが返ってきます。
「仕事の効率をもっと上げて、少人数でできる体制にしてほしい」
「経営の意思決定に役立つ情報をタイムリーに提供してもらいたい」

紙の書類や伝票がデジタル化され、世界中どこからでもインターネットに接続できるようになったので、外国人労働者を雇わなくても、外国へ経理事務をアウトソーシングできるようになった

分析力で必要となるのは、管理会計とキャッシュフローの視点です。経営的な管理会計の視点で利益を見る力と、銀行や投資家の視点でキャッシュフローや財務バランスを見る力が要求されます

経理からのフィードバックが機能せず、経営者や現場社員が行動を変えられない理由としては、2つの要因が考えられます。1つは、経理からの報告が専門的すぎたり、ただ数字を集計した結果だけなので、経営者や現場社員が何をどう変えていいのかわからないこと。そしてもう1つの要因は、結果の報告が遅すぎること

資金を任せられる人とは、会社の財布を預かってムダづかいしないようにするだけでなく、経営者と一体になって、会社の将来を考えられる能力を持った人でもあります

分析力があるかどうかは、その人の観察力で決まります。観察力とは、変化に気づく能力のことです。つまり、分析力をつけるということは、変化に気づく眼を養うことなのです。この観察力を簡単に高める手法があります。「データを記録してグラフ化する」という方法です

資金管理で最も大切なことは、資金が不足する状態、つまり危険水域に入った場合の対応をあらかじめ決めておくこと

営業サイクルとは、商品を仕入れて支払いをし、販売して代金を回収するまでの周期のこと(中略)月次の損益計算書には、その月に取引が成立したものだけが計上され、取引が完結していないものは反映されません。この取引が完了していない途中の状態のものが、在庫、売掛金、買掛金として貸借対照表に溜まっていきます。経営者や現場社員は毎月、売上と利益という結果しか見ていませんから、経理がこの途中の状態をきちんとチェックしておかないと、非常に危険です。なぜ危険なのかというと、経営がおかしくなるときは、必ずこの営業サイクルの状態が崩れてくるからです

できれば、管理職に会計を教える役を自社の経理社員にやらせてほしい

◆資金ショートにつながるリスク要因
1.売掛金・在庫の増加
2.過剰な設備投資
3.入金・支払サイトのアンバランス
4.資金調達の行き詰まり
5.赤字の累積

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『35歳までに身につけておくべきプロの経理力』日本実業出版社 児玉尚彦・著
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4534045751
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◆目次◆
はじめに
序 章 経理は中国へ――経理業務はこんなに変わった!
第1章 経理力の磨き方
第2章 「改善力」IT活用スキル/事務作業を捨てる技術
第3章 「分析力」現状を把握するスキル/異常値を発見する技術
第4章 「報告力」わかりやすく伝えるスキル/情報を共有する技術
第5章 「予測力」将来に備えるスキル/資金を計画する技術
第6章 経理のキャリアアップ戦略
おわりに
巻末資料

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