【星野リゾート躍進の秘密とは?】
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4822265439
本日の一冊は、「ホテル ブレストンコート」や「星のや 軽井沢」「小牧温泉 青森屋」などの有名ホテルを手掛け、躍進を遂げた星野リゾートを、雑誌「日経トップリーダー」が取材し、まとめた一冊。
裏方であるゴンドラ担当のひと言がきっかけで出現した、夏の早朝だけ営業の「雲海テラス」。
渋澤栄一の旧宅や茶室を擁しながら、安宿に堕していた元名門旅館古牧温泉「青森屋」の再生。
それぞれのプロジェクトにまつわる人間ドラマが、本書の最大の読みどころでしょう。
破たんしたホテルや名門旅館を再開発し、次々と人気リゾートに変える星野リゾート社長、星野佳路の手腕と、現場スタッフの奮闘。
ここから読者は、真の顧客志向とは何か、チーム力を高めるリーダーシップとは何かを学べるに違いありません。
接客業を営む人にとっては、同社のビジネスモデルやクレーム対応の方法が参考になるでしょう。
かつて竹富島に行ったとき、現地の方が星野リゾートをよく言っていなかったため、土井のなかではネガティブイメージの会社でしたが、ビジネスのヒントとしては、学ぶところが数多くあります。
ぜひ読んでみてください。
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▼ 本日の赤ペンチェック ▼
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雲海テラスがオープンする期間は限られている。トマム山頂から雲海が見えるのは夏の早朝である。カフェの営業は夏の数カ月、毎朝数時間だけである。それでも、口コミでその魅力が伝わり、毎年、何千人もの人が全国からやってくる。雲海テラスからの眺めは、「夏の北海道の新しい風景」として、大きな注目を集めている
リゾートの再生に当って、星野は調査会社を使って詳細なデータを集めることから始める。そのデータに従って「コンセプトづくり」を進める
星野は「リゾート運営の達人」というビジョンを実現するため、施設ごとに、顧客満足度、利益率、環境に関するエコロジカルポイントという三つの指数に常に気を配る
それは伊藤の担当するリフトで、お客様がけがをしたことだった。以前ならばこうしたトラブルが起きたとき、会社はすぐに弁護士を通して、お客様に対応しようとした。そのやり方はお客様のけがを心配するというよりも、トラブルを解決するために業務的な姿勢で臨むもので、どこか冷たい対応だった。星野リゾート流はまったく違った。けがをしたお客様の訴えをスタッフが直接、とにかく聞いた。親身になって、話を聞き続けた。お客様の気持ちをたっぷり話してもらったうえで、どうしたら納得してもらえるかを考えた
「お客様にも、この眺めをぜひ見せたいなあ。ここでおいしいコーヒーを飲んでくつろいでほしいなあ」何気ない一言だった。(中略)星野はこうして誕生したカフェを「雲海テラス」と名付けた。夏の限定サービスとして人気を呼び、2007年は約1万7000人が集まる大ヒット企画となった(中略)「裏方」を自認していたゴンドラ担当の7人の取り組みが、トマムばかりか、北海道の新しい魅力を掘り起こした
「インパクトを持たせる演出をして、スタッフを少しでも驚かせたいと思ったんです。その一心で現金を用意し、ジュラルミンケースも探してきました。同じ10万円を渡すにしても、気持ちのこもった10万円にしたいと考えました」(佐藤)
米国で成功した地ビール会社は、自社レストランでなく、家庭向けの販売が中心だった
「ファミリーで旅行に来た場合、親は滞在中、子供とずっと一緒にいるのが本当に楽しいのだろうか?」
最後は星野が折れた。「分かったよ。子供のスキー用具レンタルは無料にしよう」
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『星野リゾートの事件簿』日経BP社 中沢康彦・著
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◆目次◆
頂上駅の雲海 アルファリゾート・トマム(北海道占冠村)
踊る超名門旅館 古牧温泉 青森屋(青森県三沢市)
新入社員のブチ切れメール アルツ磐梯(福島県磐梯町)
一枚のもりそば 村民食堂(長野県軽井沢町)
地下室のプロフェッショナル 星のや 軽井沢(長野県軽井沢町)
先代社長の遺産 ホテル ブレストンコート(長野県軽井沢町)
地ビールの復活 ヤッホー・ブルーイング(長野県軽井沢町)
常識との決別 リゾナーレ(山梨県北杜市)
スキー場なきスキーリゾート リゾナーレ(山梨県北杜市)
激論する未経験スタッフ アンジン(静岡県伊東市)
名おかみの決断 蓬莱(静岡県熱海市)
あとがきにかえて 社員が辞めない会社になる
解説 事件が会社を強くする 星野佳路 星野リゾート社長
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